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14 どうなる?


*滞在6日目*



「叔母上、おはようございます」


「レイン、おはよう。今朝は早いわね」


「そう…ですね」


レインがいつもより少し早目の時間に起きて来た。

レインは、リビングの中へと視線を向け、ソファーの上で寛いでいるルーナを目にすると、そのままルーナの元へと行く。


「ルーナ、おはよう」


と、挨拶をすると同時に、ルーナが反応するよりも早く、またルーナを持ち上げて自分がソファーに座り、膝の上にルーナを乗せて背中を撫で始めた。

最初の頃はルーナも緊張していたが、今ではレインに素直に身を任せている。


ー本当に、この2人は相性が良いのねー


と、そんな2人の様子を、アシーナは微笑ましく見ている。アシーナは、魔力が強過ぎるせいで、リュークレインが幼い頃から人間関係に関して苦労して来た事を知っている。それでも、リュークレインが公爵家嫡男としての義務を果たそうと頑張っている事も知っている。

ただ、リュークレイン程の魔力持ちには、相性が良く心も寄り添えるような相手に巡り会う可能性は低いだろうと思っていた。


そこに現れたルーナ──キョウコ。


ーひょっとしたらー


と、2人の様子を眺める。


人当たりの良い笑顔を作る事が上手くなったリュークレインではなく、自然と微笑んでいる甥が居る。

ルーナも、無意識に尻尾を振って静かに受け止めている。


今すぐにと動く事はできないし、まだまだ解決しなければいけない事があるが、この2人がどうなって行くのか見守っていこう。





******


「ここで寝るのも最後ね。ルーナ、今日は一緒に寝てくれる?」


と、リナティアがお願いすると、抱っこされているルーナはそれに答えるように自身の鼻先をリナティアの頬に擦り付けた。




リナティアに充てがわれた部屋のベッドに、リナティアとルーナが一緒に潜り込む。


「──ルーナ…私にはね、好きな人がいるの」


リナティアさんが、部屋の天井を見つめながら話し出すと、私の耳がピクリと反応する。


「幼馴染みでね…仲も良かったの。学校でも学年は違ったけど、お互い時間を作って、一緒に過ごしたりしてたの。でも───」


そのままリナティアさんは黙り込んだ。

どうしたのかな?と思って、ヒョイッと伏せていた顔を上げてリナティアさんを覗き込む。


「───どうして、いつも()()と居るの?一体、私は……どうしたら良いのかなぁ?」


くしゃりと、泣くのを我慢しているかのように顔を歪めて、そのまま私に抱きつくリナティアさん。


“好きな人”とは、婚約者でもある王太子の事だろうか?

“彼女”とは、誰の事だろう?

“どうしたら”とは?何かあった?


私にはサッパリ分からない。分からないけど、その“彼女”と言う存在が、リナティアさんを困らせて?悲しませて?いると言う事なのかもしれない。


ー今の私には何もできないけどー


リナティアさんの頬に、私の頬をスリスリと擦り付ける。すると、リナティアさんは「ありがとう、ルーナ」と微笑んで、私に抱きついたまま目を閉じた。






*帰る日の朝*



「王都に戻る前に、ルーナと散歩して来るわ」


と言って、リナはユラとハンスを伴って森へと向かった。


「珍しいわね。レインも一緒に行くと言うと思ったけど…」


いつもなら、リナが森に行くと言うと、必ずレインはリナに付き添っていた。それに……なんとなく、昨日の朝からレインが少しソワソワ?している感じがするのよね…。


「レイン、何かあったの?」


「いえ………」


と、それだけ言って口を噤むレイン。そのまま少し視線を下にして何かを思案した後、改めて私に視線を合わせた。


「叔母上…その………ここに………黒い髪の女の子?女性は……居ますか?」


ー黒い髪って……キョウコ?ー


その質問に内心驚いたが、顔には一切出ていない筈。


ー一体、どこで見たの?ー


「黒い髪の女の子ねぇ…この家に掃除をしに来てくれている者の中に居たかもしれないけど、その子がどうかしたの?」


「いえ……特にどうと言う事は……。多分俺の見間違い?だったと…。その……夜に森に行った時に、誰かが居たような気がしたので……」


ーあー…それ、絶対キョウコだわー

 

おそらく、ピアスの魔法を発動させる前にレインに見られたんじゃないかしら?まさか、レインが夜の森に行っていたとは思わなかったわ。これは─


偶然なのか……必然だったのか──


魔力の相性も良さそうな2人。引き寄せ合う何かがあるのかしら?今は未だ、レインには教えてあげられない事が残念だけど。


「その女の子が……本当に居たとして、何かあったの?」


「いえ、少し……印象に残ってしまっただけです」


レインは、軽く頭を振った後「帰る支度をして来ます」と言って、部屋である客室へと足を向けた。


「ふふっ」


ー本当に、この先……どうなるのか……楽しみだわー




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