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元婚約者の暴走

最終回です。読んでくださりありがとうございました。

誤字報告ありがとうございました。訂正しました。

セリーナは友人の名前を名簿を使って覚え学院に復帰した。同級生はセリーナが馬車の事故にあったことを知っていたので、怪我がなかったことを喜んでくれた。

セリーナも事故のせいで記憶が曖昧なところがあると言ってあったので、少しくらい友人の名前が出てこないことは誰にも不信感を抱かれなかった。

完全に人の名前を忘れた記憶喪失だとわかったら貴族のことだ、どこで足を引っ張られるかわかったものではないからだ。


朝と帰りの送迎はアゼイリアがすると言って聞かなかった。朝は馬車を先に降りてエスコートをし、帰りは馬車の側で立って待っているのでどうしても目立ってしまう。女の子達が遠巻きにかっこいい男の子がいると騒いでいた 申し訳がないのでぎりぎりまで馬車の中にいてもらいセリーナが近くに来たら降りてくるという約束をしてもらった。


平穏に復活した学院生活もキースの登場で台無しになった。

「セリーナ、馬車の事故にあったんだって?」

「どなたか存じませんがいきなり名前を呼ばれるとは随分と失礼な方ですわね」

「僕に振られたからってそんな言い方はしなくていいんじゃないのか?」

「あなた様のことは存じ上げません。パステル伯爵令嬢とお呼びくださいませ。それに振られたなどと言いがかりもいいところですわね」

「あのときの事は謝るよ、あの女に騙されたんだ。やっぱり君しかいないよ」

「何を言われているのかわかりませんが、わたくしは婚約者のいる身ですの。気安く声をかけないでくださいませ」

「どうせ年寄りの後妻にでも嫁がせられるんだろう?僕が復縁してやろうと言ってるんだ、光栄に思うといい」

「年寄りではございませんわ、若者です。それに赤の他人の貴方様にこれ以上話す必要はございませんわね」



キースは勝手な婚約破棄と新しく選んだはずのロゼッタがとんだ食わせ物だった事で令嬢たちからの人気はガタ落ちだった。いくら高位貴族だからといって容姿だけの男は敬遠されるのである。いつ自分が同じ目に遭わされるのかわからないのだから。



元の地味で大人しい女はどこへ行ったのだろう、自信に溢れ綺麗さに磨きがかかったようではないか。婚約破棄以来女子生徒からはチヤホヤされなくなったキースは自分の行いを棚に上げ、セリーナとよりを戻そうと画策し始めた。



セリーナが綺麗になったのはアゼイリアが毎日愛を囁き褒め称え自信をもたせるようにしたからであり、お嬢様たちの婚約を上手くいかせる会(恋から婚約に結婚生活へと名称を変えるつもりの使用人たちです)のメイドが美容に力を入れ始めた成果が表れているからである。



キースがセリーナに絡み始めたことは学院に忍ばせた使用人から伯爵家へ直ぐ情報がもたらされた。

教員が騒いでいる者がいると知らせを受けて駆けつけてみれば、以前婚約破棄騒動を起こしたアビゲイル伯爵令息がパステル伯爵令嬢に絡んでいるではないか、問題ありと見たので教員室まで二人と周りにいた何人かの生徒を院長室に連れて行くことにした。

「アビゲイル君騒ぎを起こしては困るよ。お父上からもくれぐれもと頼まれているんだ」

一人だけ注意を受けたキースは不満そうだったが父の名前を出されると大人しくなった。


パステル伯爵家からアビゲイル伯爵家へ抗議の文書が届けられた。

一度婚約を壊した相手に再度言い寄るとは恥の上塗りもいいところだとアビゲイル家の当主は怒り狂った。



キースを迎えに行かせ執務室に呼びつけた。

「どうしてパステル伯爵令嬢にまた絡んだのだ、恥の上塗りという事が何故分からない。お前は廃嫡とする。二度とアビゲイル家の門を跨ぐな」

「父上セリーナは私に惚れているのです。やり直すチャンスをください」

「パステル家から抗議を受けているのだ。話を聞く耳もなくしたのか」


息子を切り捨てた伯爵は護衛に言いつけて隣国との境の辺境の地に置き去りにさせた。


そこは何も無いところだった。キースはわずかのお金を与えられ生きていくことになった。剣の腕があるがしょせんは貴族令息の嗜み程度、山賊が襲ってきたら返り討ちに出来るだろうというくらいのものだった。



街まで降り警邏隊に入っているとか、飲食業の女性のツバメになったとか男娼になったとか噂は色々聞こえて来ていたがセリーナが知ることはなかった。

甘い婚約者と両親が付いているのだから。


アゼイリアは学院の課程を最速の一年で済ませ卒業資格を取ってしまった。貴族社会に顔は売ったのでもういいだろうと卒業までした。全てセリーナの側にいたいためだった。これには伯爵も苦笑するしかなかった。


若い二人は手を取り合い領地の発展を手助けした。




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宜しくお願いします。

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