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アゼイリアの献身

お読みいただきありがとうございます。アゼイリアの想いが実を結びました。

 セリーナは家族や使用人に自分の事を色々聞いた。小さな頃のことから楽しそうに学院へ通っていたことまで。

屋敷全体にキースの事は話すなと伯爵から緘口令が敷かれたのは言うまでもない。使用人たちも自分達のお嬢様が馬鹿にされたことに怒っていたので他所で話すつもりはなかった。


元々優しい性格のセリーナは使用人たちに好かれていた。どうやらアゼイリア様がお嬢様にアプローチなさっているようだと屋敷の者は気がついていた。皆でお二人の恋を見守る会まで出来ていた。


キース様がお茶会に来ていた時はどことなくお嬢様を下に見ていた感じがあった。いくら顔が良くてもあれではお嬢様は幸せにはならない。

使用人達はやきもきしながら見守っていたのだ。


アゼイリアを義弟だと聞いたセリーナはきちんと距離を開けて付き合おうとしていた。

「セリーナ散歩をしよう」

「私達会ったときから名前を呼び合っていたのかしら?」

「最初は姉上と呼んでたよ。僕は他所から来た子供だったしね。セリーナは馴染めない僕を心配して色々屋敷の中や庭園を案内してくれた。記憶を失うまでは姉上のままだったけど名前を呼ぶなら今だと思って思い切って呼ぶことにした。それがどういうことか分かる?」



セリーナはアゼイリアの積極さに押され気味になっていた。一つしか違わないとしたら十四才よね。なんなの?色気を感じるんですけど。

「アゼイリアが私を・・・」

「そこからは僕に言わせて。セリーナに会ったときに一目惚れしたんだ。ただの養子縁組だったから口には出せなかったけどずっと好きだった。セリーナを口説くことを許して欲しい」


髪をひと掬いして口付けをした。セリーナは恋愛に免疫がなかったので真っ赤になってしまった。


「可愛い。存在そのものが愛おしいよ、僕の生きる希望だ」

「アゼイリア私あんまりそういうセリフには慣れてないみたいなのでお手柔らかにお願いしたいわ」


跪いたアゼイリアは

「僕と婚約してください」

と隠し持っていた赤い薔薇の花を差し出しながらセリーナに申し込んだ。

「アゼイリアの事は嫌いではないの、好きのほうが大きいかも知れない。でも急で気持ちがついて行っていないの」

「待つよ、今までだって待ったんだから。ちなみに両親の許可は取ってあるからね」

「お父様たちが納得しているの?」

「もちろんだよ、許可は取ってあるよ。一生セリーナだけを愛すると誓うよ」



セリーナはアゼイリアの真剣な眼差しを見て本気なのだと思った。何年も一緒に暮らしてきたのであれば人柄も信用できるだろう。数日だがセリーナに対するアゼイリアの態度で絆されかけている自分がいた。


「よろしくお願いします」

「本当に?嬉しい。夢じゃないことを信じていい?愛してるセリーナ」

そう言ってセリーナをぎゅーっと抱きしめるのですっかり真っ赤になってしまった。



そっと陰から見ていた使用人達は微笑み合って拳を握りしめた。見守る会はそれからもずっと継続されることになった。


二人は父親の執務室に行き婚約したことを報告した。

父母は穏やかな顔で

「幸せになるんだよ、私たちの子供達」

と言い祝福をしてくれた。


と言ってもアゼイリアが成人の十八まで後四年もある。学院にも通わなくてはならないし領地経営の勉強も今まで以上に力を入れてやる必要があった。婚約するのであれば籍を抜いて実家の男爵家に籍を戻したほうがいいだろうということになった。ただし住まいはこのままだ。節度を持って付き合うようにと父に釘を刺されたのは言うまでも無い。

誤字報告ありがとうございました。助かっています。訂正しました。

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