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テーマ詩集:ホームセンター

赤いカーペット

作者: 歌川 詩季

「ミチタリタセカイ」が、仮タイトルでした。

 歌を()らして ひび割れたのどに

 はけでハチミツ ()れたらな


 スキップ忘れて すり足のスニーカー

 (かかと)でバッタを飼えたらな


 ちょうちょむすびが ほどけたリボンに

 もひとつ むすびめ あったらな


 ミートソースを きらしたパスタ

 バジルソースをかけたらな



 満ち足りた世界がどこかにひろがってても

 ぼくの足もとまでは とどいてない

 赤いカーペットを

 こっちまで のばしてよって せがんだら

 そのぶん はばをせまくしちゃうって知ってるから

 指をくわえることにしたぼくに

 きみは あきれた笑いを浮かべてくれるかい?


 どっちにしろ ぼくは

 まぁいいや 気にしないよって

 へたくそな嘘をつきながら


 パスタにはふりかけをかけて

 リボンはぐるぐる巻きにして

 スニーカーの(かかと)には

 二本の細い紙を折って編んだ ばねをしこんで

 ひび割れたのどで いがいがの讃美歌を歌う

 ロックスターにでもなろう


 赤いカーペットのとどかない

 満ち足りてない世界でも

 それなりに からっぽでないくらしは楽しめるし

 それなりの からっぽでない自分に酔い()れればいい



 わかったら そのきたないゴザをひっこめな

 赤いカーペットのかわりにはなりゃしないよ

 とはいえ 満ち足りた世界への

 けっして 満ち足りることのないあこがれで

 きみが幸せになれるってんのなら


 どうぞ 好きにしておくれ


 ぼくは もはや なにも言うまい


 どうか 好きにしておくれ

 バジルソースのほうが好きかも。

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― 新着の感想 ―
[一言] 赤いカーペットというと貴族や王族が高級車から降りてパーティ会場まで敷かれるものというイメージが強いです。 でもあんなに長い物をロールするのも大変ですね。
[良い点] 前のタイトル通り、欠けていても見ようによったら「ミチタリタセカイ」ですね。
[良い点] >ひび割れたのどで いがいがの讃美歌を歌う この部分が何だか好きです。 いがいがの讃美歌、聞いてみたいですね~(^^) 素敵な作品をありがとうございました☆彡
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