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6.引きこもりは配信者になることにした

 自分自身の態度が原因で引きこもりになり、心配してくれていた家族のことも自分を責めていると決めつけて無視を決め込んでしまうようなダメダメな自分を神様?がくれたチャンスを無駄にせず、胸を張れる人間に成ろうと涙を流しながら決意してから早くも1週間が経っていた。

 新しい戸籍作ったり、女の子について教えてもらったり、学校を辞めちゃって勉強をサボっていた分を取り戻そうと勉強を始めてみたりとやることは沢山あったためあっという間の1週間だった。


「う~ん、1年間勉強してなかっただけなはずなんだけど、全然分かんないや。まあ、2年生始めの時には不貞腐れてたというか絶望してたから実質2年ぶりの勉強とはいえこんなに分かんないものなのかなぁ。学校行かないと無理なのかなぁ。でももう一回学校に通ったとしても上手くやれる自信がないし。実際、僕がもう一回学校行くのは厳しいだろうってことでお母さんが気を使ってくれて戸籍的には義務教育から外れた16歳にしてくれたんだよね。どうやって戸籍が問題なく取れたのかは分かんないけどきっと大変だっただろうなぁ。」


 ちなみに綾斗は新しい戸籍を取った際に、戸籍上別の人間と成ったため名前が彩になった。名前に関しては、家族で話し合い決めたのだが、自分の名前をもう一度作るというものは何とも言えない気分になるとともに生まれ変わるんだという気持ちが膨らませた。その時に、楓と灯からせっかく可愛くなったんだし、母さん姉さんの呼び方をお母さんとお姉ちゃんにしてくれないと頼まれ、その嬉しそうな顔に断ることが出来ず、呼び方を変えることになった。父の健斗も呼び方を変えてほしそうな顔をしていたものの直接頼まれなかったし、なにより母と姉をお母さん、お姉ちゃん呼びにする時点でとんでもなく恥ずかしかったこともあり、見ないふりをしたため呼び方は変わっていない。


 リビングでどうすれば家族や神様?に胸をはって生きられる人間に成れるのかと頭を悩ませていると大学の講義が終わったのか灯が帰ってきた。部屋の中に聞こえてくる音からであるため、確実なものではないが、以前はもう少し帰宅が遅かった気がする。女の子の体になった彩を心配してくれているから帰宅が早いのだと思うと感謝と申し訳なさの気持ちがわいてくる。


「おかえり、お、おねえちゃん」

「ただいま、彩。なんだか悩んでいるみたいだけどどうしたの?お姉ちゃんに言ってみなさい」


 ものすごく上機嫌なお姉ちゃんは帰宅して手洗いうがいを済ました後、悩んでいる僕の顔を覗き込みながらお姉さんぶっている。なんというかお姉ちゃんは美人だしすごくしっかりしているから頼りになると感じてもおかしくないはずなのに今のお姉ちゃんを見るとそこはかとなく残念な感じがしたものの、お姉ちゃんが頼りになるのは事実なので僕の心の内を全部話すことにした。


「う~ん、彩の胸を張れる生き方って何なのかな?勉強が出来ていい仕事に就くこと?それとも何か他の人には出来ないことを出来るようになりたいの?正直にいうと私にとっては彩が元気ならそれで良いんだけど、もしネットの有名人に成りたいとか勉強を教えてほしいとかなら協力するけどまずは本当に何がしたいのかを考えてみるのが良いと思うわ。それがどんなことだって本気で取り組めば胸を張って生きられると思うわ」


 何とも言えないくらい緩んだ顔をしていたお姉ちゃんは僕の話を聞き始めるとキリっとした顔に変わり、真剣に話を聞いた後僕が悩んでいることが漠然としすぎていることを指摘してくれた。確かに僕は胸を張って生きたいという全くもって内容がないことに対して頑張ろうとしていたから何をすればいいのか分からなくなっていることに気が付いた。


「もしそれでも何がしたいのか分からないのならまずは彩の好きなことを頑張ってみるといいんじゃないかしら」

「好きなこと...か。僕が引きこもって気持ちが落ち込んでるときでも楽しんでたことってゲームとかネットでいろんなサイトや掲示板の巡回とかiPadでのお絵描きとかぐらいだし...」


 好きなことが全然胸をはって言える何かにつながると思えず、うつむいてしまった彩に対して明るい口調で提案してくる。


「ならそれを頑張ればいいじゃない。ゲームが楽しくて得意なら動画配信とかしてみればいいし、ネット巡回が好きなのなら、人気の出るサイトやブログの書き方を何となくは分かるでしょ?それにお絵描きだって本気で取り組んで極めることが出来れば漫画家とかイラストレーターになることだってできるでしょ?何をすればいいのか本当に分からないのならその好きなことを頑張ってみるといいわ。何か必要な機材とかあるのなら母さんとか父さんは間違いなく協力してくれるはずよ。もちろん私も出来る限り協力するわよ。お金関連に関しては手伝えないけど必要な本とかあれば探すし、大学の友達にこういったことに詳しい人がいないか聞いてみるし」


 お姉ちゃんのその言葉を聞いて僕の中で覚悟が決まった。絵を描くことやゲームをすることは昔から好きだったけどネットにあげてみるっていう発想は正直なかった。たしかに僕は世間一般の価値観で言えば1年間をほぼ無駄な時間を過ごした人という扱いになるかもしれないものの、視点を変えれば学校にも行かず、勉強をする暇も惜しんでゲームやお絵描きを頑張ったともいえる。最初は上手くいかないことだろうけど、僕の好きなことや特技を活かして活動するっていう選択肢もありなのかもしれないと思えてきた。


「僕、お絵描きとかゲームで動画投稿してみる。あと動物とか好きで調べてて多分詳しいからそれでもサイト作ってみたり動画投稿してみたり頑張ってみるよ。その、お姉ちゃんにもさっき言ってた詳しい人について教えてくれたらすごく助かる!」


 その夜、父と母にもこのことを伝えると、ようやくやりたいことが出来たんだねとすごく喜ばれ、家族も全面的に協力してくれることも決まり、僕は配信者になることにした。

ナヒーダ強いし可愛い。

森林書のストーリー長かったけどすごい面白かった!

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