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5.引きこもりは決意した

 胸に手を当てて、目を閉じて深呼吸をする。このままの自分では駄目だと思い、何故か外出できたあの時とは違って玄関から足を踏み出した瞬間、緊張と不安で心臓がバクバクと激しく鼓動しているのを感じる。もしかしたら、僕の体が女体化したあの日、一人で外出が出来たのもあの不思議な教会が影響してたのかもしれないなと感じつつ、灯姉さんに手を引かれ、母さんに見守られる形で記憶にある不思議な教会の場所へと歩を進め始める。教会があった場所を目指して歩いている間、僕は視線を下に向けたまま何も話すことが出来なかったものの、そんな不安を抱えている僕の心を見透かしてか灯姉さんは優しい口調で最近あった面白いことや僕が引きこもっている間に変わったことなんかを話してくれていた。


 灯姉さんの明るく優しい口調で語られる話のおかげで心が折れることなくしばらく歩いていくと、大体あの教会があった場所の近くに来ていた。そこには、僕が引きこもる前にあった懐かしい風景と小さめの一軒家が立てられそうなぐらいの空き地が存在していた。


「綾斗、あなたが言っていた教会の場所って大体この辺りなの?やっぱり教会なんてないし特に変わったところもないわね」

 綾斗の歩く速度が落ち始めて、周りをキョロキョロとし始めた様子を見た灯は件の場所がこの辺りなのかと確認をした後、辺りに変わったものや場所がないか注意深く観察し始めた。


「たぶんだけど、この空き地が教会のあった場所だと思う。でも、何にも無いみたい」

 僕の感覚として明らかに敷地の広さや周りの風景も違う何もないこの空き地こそがあの時に自分が長時間の間、お祈りした教会があった場所だと確信できた。理由は分からないし、もうそこには何もないもののここしかあり得ないとなぜか感じていた。


「何にも無いみたいだけどお祈りして今の姿に変わったんだし綾斗、もう一回そのお祈りをしてみたらどうかしら?近くに人もいないみたいだし、少しの間だけ空き地に入ってみるといいわ。もし、人が通りかかっても今の綾斗の姿なら問題にはならないし、もしかしたらもう一回お祈りすることでこの問題が解決する可能性もあるかもしれないわ」

 綾斗が真面目な表情で何もない空き地を指さしてここに教会があったというのを信じることにした母の楓は軽い口調で綾斗に提案する。それを聞いた灯も綾斗に目配せしてその提案を促す。綾斗は二人の考えに同意し、空き地へと足を踏み入れてあの時にしたようにお祈りをすることにした。


「う~ん、たぶん何にもないと思う。でも、今あの時と同じような気持ちでお祈りしたことで何となくだけど僕がこうなった理由も分かった気がする。たぶんだけど、あの時僕は物凄く必死にそれこそ心の底からこれまでの自分の行いを反省して、新しい自分に成りたいって祈った僕に変わるためのチャンスを与えてくれようとあの時に祈った神像が叶えてくれたんだと思う。はっきりとではないけどそんな感じがしたからたぶん間違いないと思う。だから、これを信じて僕頑張ろうと思う!」


 僕は再びお祈りしたもののおそらく体がもとに戻るというような変化は起こらないだろうと感じていた。やはりその考えにも確証はないものの、お祈りしたときに頭の中にあの神像の少し申し訳ないという感情と頑張れという励ましを与えられたように薄っすらと感じたというか声が聞こえた気がしたからだ。具体的には、あの懺悔で一から新しい自分になりたいと心から思う僕へのプレゼントとして今の肉体を用意してくれた神像が(あれ?解釈が間違っていたのか、それはすまないことをしてしまったな。だが、今のあなたはあの時よりも少しばかり晴れやかな前向きな顔をしているようにも見える。私のしたことはお節介だったかもしれないがせっかくの体だ、あの時の心を忘れず生きると良い)と言ってくれているように感じた。心の中で、困惑したものの結果としては家族とも再び仲良くなれるチャンスになりました。ありがとうございました。と感謝を送った後、このことを姉さんと母さんに伝えた。


「そう、じゃあ帰りましょうか。もう男の子に戻れないのだとしたら、戸籍の作り直しとかその体で出来ることをちゃんと把握しておくとかいろいろやることもあるしね」

 何となく戻れないんだろうと確信していたのか母さんは特に驚いた様子もなくこれからのことを、姉さんは特に何も言いはしなかったものの優しく軽くハグをしてくれた後に、行きの時と同じように手を繋ぎ、これから何しようかと優しく話しかけてくれながら、少しだけ先行して同じぐらいの歩調で歩いてくれた。


 家に着いて、昼食を食べているときに父さんにもおそらくこれからは女の子として新しい人生を生きていくことになったということを話した。

「そうか、まあお前が元気になったんならそれで良い。それに、女の子になったからといって、女にはそれをやらせるな!みたいな考えも減ってきてるし大抵のことは出来るだろうし問題ないだろ?たぶんもう一回学校に通うとかは今すぐは厳しいだろうし、やりたいことが出来たらすぐに言いなさい。その時は、お金は出すし教えられることなら教えるからな」


 僕は、家族の優しさにご飯を食べながら涙があふれてきた。突然泣き出した僕に少しオロオロしている父さんに頬に手を当てて優しそうに微笑む母さん、背中を優しくさすってくれる姉さんを見て絶対に家族やこんな恵まれているのに失敗した自分にチャンスをくれた神像に恩を返せるような胸を張って生きれるような人間になろうと涙を拭いながら決意した。

ナヒーダ楽しみすぎる。刻晴と組んで激化パーティー作ろ

ぼっち・ざ・ろっく面白すぎて漫画も買っちゃった。もう既に5巻が楽しみ!

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