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文通はほどほどに  作者: もちょ
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予感

ドキリとした。冷や汗が出て思わずハンカチを強く握りしめる。

なぜ?私が持ち帰ったことがバレた?でもどうして?そんなことを考えているうちにまた、帰りの電車がやってくる。

駅員さんに「落し物です」と声をかけハンカチを渡すと閉まりかけたドアに向かって走ったが、電車は私を乗せる前に行ってしまった。



「.....バチが当たったんだ」



ベンチに座って、さっきの紙をまた開く。男の人にしては綺麗すぎる字だと思った。「綺麗なハンカチに、綺麗な字、」綺麗な顔かなと少し考えて思わず苦笑いが出た。

「何考えてんだか.......バカみたいね」



ボールペンを取り出し、その字の下に謝罪を込めて書き加えた。

「ごめんなさい、あまりにも綺麗なハンカチだったから。今日はちゃんと届けたので許して下さい。」

きっとこの謝罪を見ることはないだろうし、返事もないと思ったが謝らなければ自分の気持ちがおさまらなかった。同じ場所に紙を戻すと1本逃した電車がやってきた。

東京は次の電車がすぐに来る。







家に着いた頃には今日の出来事は忘れ、一日の疲れがどっと押し寄せたようにベッドに転がった。直ぐに瞼は閉じてゆっくりと夢の中に沈んだ。


















今日は土曜日だ。1週間にたった2日しかない休み。「週休4日欲しいなあ」と独りごちる。返事はもちろんない。早起きをする癖がついて休みでも朝の6時には目が覚めてしまう。



「弊害だ」



ポツリと呟いて顔を洗いにベッドを降りた。

水を流して顔を上げると、酷くやつれたそれが鏡に移る。フェイスタオルを探った瞬間に昨日のことを思い出した。


「そう言えば、どうして私がハンカチを持って帰ったことが分かったのかな」


少し身震いをして、忘れようと懸命に今日の夕飯について考え始めたがどう頑張っても気になってだめだ。



私は何故かボールペンをカバンに入れて、気づけば昨日のホームに向かっていた。











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