表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

97/151

97.決戦の時

『その時』は、突然やってきた。


 リディエの前線基地へと迫る、十数人の人影。帰る方法を探して暴虐の限りを尽くす彼らが、再びこの地へとやってくる。



 ……確かに、彼らの言い分も分かる。勝手にこの世界へと呼び出され、帰る方法は見つからない。そんな身勝手なことをされて、許せないというのは当然だ。俺だって、それ以外の皆だって。あの場で『帰れない』と知っていれば、同じような事を思っていたはずだ。……ただ。


 ……無関係な人々を巻き込む理由はない。必ず止めなくてはいけない。ましてや、俺たちや唯葉のクラスの仲間が既に何人も殺されている。取り返しのつかない大損害を、実際に目の当たりにしてきた。これ以上、彼らの好きにさせる訳にはいかない。


 俺は、たった十数人で街を壊し、こちらの戦力に匹敵する敵を見据え、心の準備を終える。




 前の戦いから僅か二日後の朝。再び前にした、何度も何度も仲間を殺された相手を前にして――その場に緊張が走る。その先陣を切った、褐色の女戦士レイン・クディア。彼女は前で、声を張り上げて言う。


「作戦は伝えた通りだ。Sランクを相手にする者が、先陣を切り事前に決めた目標へと攻撃を仕掛ける。他の者は『死者蘇生』スキルを持つ雫川実里の捜索と並行して他の敵戦力の殲滅。それでは――第三次召喚勇者(サードヒーロー)迎撃作戦、開始ッ!!」


 レインの力強い声が全体に響くと――各々、俺も含めて、万全の準備を整えた『作戦の要』となっている八人を筆頭に、最前線へと向かって走り出す。


 後を追うように、こちらの軍勢が百、二百、五百、千と、束になって続いていく。


 俺も、作戦会議で決めた『目標』を捉えると、そちらへ向けて走り出した。




 ――今、かつてないほどの激しい戦いの火蓋が切られる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ