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67.さらなる高みへ

「……しかし、二人なのにこの部屋は広すぎないか?」


「狭すぎるよりはいいんじゃない?」


 しばらくの間、このマーデンディアで暮らす事になり、用意されたこの部屋。魔王城という名のビル、高層階の一室なのだが……二人で使うには広すぎる部屋だった。


 ベッドはフカフカで、冷蔵庫やキッチン、冷房にテレビまで、様々な電化製品(全て魔力で動いているらしいが)が揃っていた。


 テレビをつければ、何やらバラエティ番組のようなものが放送されていて、日本に戻ってきたかのような錯覚を覚えてしまう。


 唯葉はというと、人間に戻った後でも魔法で戦えるようにと、今は上級無属性魔法の魔導書を読んでいる。最近は色々とあって、魔導書も読めていなかったし、唯葉のこの世界で見つけた唯一の趣味のようなので、すっかり魔導書に夢中になっている。


 ふと、唯葉はつぶやいた。


「私が人間に戻ったら魔法も使えなくなって、戦えなくなっちゃうのかな」


 ……寂しそうに、唯葉は言う。


「……人間に、戻りたくないのか?」


「もちろん、人間には戻りたい。――でも、この身体にも何度も助けられてきたから、ちょっと寂しくて」


「……大丈夫。例え、唯葉が魔人に改造されてなかったとしても、唯葉なら今までの危機だって乗り越えられてたはずだ」


 唯葉に規格外の力がなくても。道は違えど、困難も乗り越えてこの世界を生き抜く事ができていたと思う。唯葉もまた、あの王国に捨てられて、一人でこの世界を生き抜けるほどの強さを持っているから。


 それはスキルや魔法、ステータスではない。……真の強さとでも言うべきだろうか、そんな力を。


「そうかな。……ありがとう、お兄ちゃん」

 

「ああ。それに、もし危険な状況でも、もう俺たちは一人じゃない。俺たち二人ならどんな困難も乗り越えられるさ」


 一人である事の厳しさは、俺もよく分かっている。……どんなに高いステータスがあっても、一人というだけで不安になってしまう。


 ――ところで。


 魔族との戦いにクラーケンとの戦いを経て、俺たちはかなりレベルが上がっているはず。確認する暇も無かったので、久しぶりにゆっくりできた今、見てみることにした。



【梅屋 正紀】


《レベル》201

《スキル》味方弱化

《力》721

《守》421

《器用》652

《敏捷》508

《魔力》225



【梅屋 唯葉】


《レベル》195

《スキル》状態付与

《力》887

《守》599

《器用》1002

《敏捷》719

《魔力》930



 ……前に見た時よりもレベルが跳ね上がっている気がする。俺はプレシャを、唯葉は大量の魔物を。そしてクラーケンを二人で倒したので、こんな物だろう。あまりにも敵が強大すぎたのだ。


 強くなってはいるが、唯葉の異様なステータスの高さは魔人に改造されたからだ。人間に戻れば元の非力な唯葉へと戻ってしまう。


 ……なので、今まで唯葉に助けられていた分、俺が強くならなくてはならない。この程度の強さで満足していては、唯葉を守ることはできないのだ。


 魔王、プレシャと戦った時に痛感した。この世界にはまだまだ俺たちよりも強い敵がたくさんいる事を。今の俺では太刀打ちできない強者がたくさんいて、それらと戦う事になるかもしれない事を。


 だから、俺は……まだまだ強くなろうと、そう心の中で静かに誓ったのだった。

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