141.再びこの身に宿った『スキル』
『原因不明の爆発事故から二日経ち――』
テレビには、瓦礫の山となった街並みが映っていた。
ヘリコプターからの映像を見ても、その事故の悲惨さが伝わってくるだろう。半径3キロメートルほどの、巨大なクレーターの中には、跡形もなく崩れたビル群の瓦礫で覆い尽くされている。
あの中にいた人々は、例外なく全員死んでしまっている、と考えるのが妥当かもしれない。
『ケガ人は多数。そして、死者は――今のところゼロとの事です』
奇妙な事に。この事故による死者は今の所見つかっていないというのだ。
***
時は少し遡り、爆発事故のあった直後、爆発跡の瓦礫の下で。一人の少女が、死体に触れる。
「――『死者蘇生』」
唱えると、既に息を引き取っているはずのその死体、その心臓が、再び動き出す。
(何が起こっているの? ……突然、この世界でも使えるようになった『死者蘇生』のスキル。そして、この不可解な爆発事故……無関係なはずがない)
雫川実里。かつて、第三次召喚勇者として異世界へと召喚され、生き残り、元の世界へと戻ってきた少女。
彼女は、この世界で何が起こっているのか。無関係であるはずのない、近辺で起こったこの事故。その真実を探し、そしてこの身に再び宿ったスキル『死者蘇生』で人々を助けるため、走る。
「……あれって……」
倒れているのは、まるで『異世界』の装備を身に纏った、一人の男。近づいて見ると、彼女も知っている顔だった。
「……死んではいないみたい。でも、どうして……?」




