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139.世界を壊す槌

 突如、街中に現れた『裂け目』。そこから現れたのは――ひとりの、銀色の短髪に白いスーツを着た、細身の男だった。


『ここか? 俺が出向く程の世界とは思えないが、まあいい。久々に暴れさせてやる。()()()()()()


 その手には、彼の身長よりも長く、大きな『ハンマー』が握られていた。


 どこか、前に戦った『カミサマ』とやらよりも、人間らしいような。そんな敵は、こちらを気にする事もなく、その巨大なハンマーを軽々と、片手で振り上げようとする。


 俺は、嫌な予感がした。これがこのまま振り下ろされれば、以前の戦いのように――一瞬で、世界が消されかねない。そんな予感が。


 走り――振り下ろされようとする、そのハンマーを止めるべく、剣を抜く。


「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぁぁぉッ!!」


 ――ギイイイイイイィィィィィッ!! 甲高い音が、響き渡る。同時、ハンマーも、俺の剣も弾かれ――


 巨大なハンマーを片手で持つ彼の表情が、曇る。


『は? アクルトアスが止められた? ……訳が分からん。何の間違いだ?』


 俺は、彼の言葉も気にせずもう一撃。剣を振るう。が、それは相手に届く前に、巨大なハンマーで軽々と止められてしまう。


 弾かれ、再び互いに距離が開く。そして、『カミサマ』らしき彼は、気にも留めなかった俺たち四人の方へ、初めて視線を向けた。


『ほう。世界を壊す『槌』……アクルトアスの攻撃を防ぐ、か。

 話には聞いていたが……同胞を殺し、『加護』を得たのは貴様らのようだな。遭遇する前に、世界を破壊しろと聞いてはいたが』


『加護』……その言葉に、俺と唯葉には聞き覚え、いや、見覚えがある。


 あの時、世界結合の術式の発動、その時に『カミサマ』を倒した後に、石板で確認したステータス。あの戦いのあと、ほとんどの文字が解読不能になっていたが、唯一読むことができたもの。


「『神殺しの加護』……って奴か」


『知っていたか。厄介だな……。予定変更。貴様ら四人、加護を持つ人間からぶち壊すとしよう』


 次の瞬間。一瞬にして、こちらに間合いを詰められ――世界でさえ簡単に壊すであろう、『アクルトアス』が振われる。


「――『サンダー・シュート』ッ!」


 唯葉の放った雷撃が、その動きをわずかに遅らせる。


 同時に、俺と工藤、水橋の三人は準備をして、構える。ここには民間人だっている。一瞬で戦いを終わらせなければ、無関係の人々でさえ巻き込んでしまう。


 もう、この騒ぎでみんな逃げ始めているのだろう。周りを見ても、人はいない。


 ――戦闘、開始だ。

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