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135.術式・世界結合

 クリディアから『次元の扉』を通って、グランスレイフのマーデンディアへ。そこからさらに車で何もない草原の中を走り……


「到着だ。ここで結合の術式を発動する」


 広い草原の中に、神殿のような建造物がある。世界と世界をつなげる、この術式のために用意されたものらしい。


「さて、早速『世界の結合』を行うが……準備は出来ているな?」


 術式を止める為、別の次元からやってくる『カミサマ』……つまりは『神様』。この異世界で、規格外の敵とは何度も戦ってきたつもりではあるが……ここに来て、それらを遥かに凌駕する、規格外の域さえも超えた敵。


「ああ」「うんっ」「おう!」「ええ」……四人の声が交差する。


 再び異世界に来て、休む間もなく――新たな戦いが始まる。



『術式「世界結合」――発動。世界の根幹(ルート)・A・D ・X・我の名に次ぐプレシャ・マーデンクロイツ・L・術式の形成(アセンブラ)・T・T・D・R・R・T――』


「魔法……じゃ、ないよね。全く分からないや……」


 数々の魔法を使いこなし、戦い抜いてきた唯葉でさえ――魔王・プレシャのやっている事が理解できない。それほどの高度な術式を、世界を救う為に生み出してきたのだ。


 だったら、俺たちも――彼女の想いに、応えなくては。


『F・AAT・GPRNHHFDNNCON・LOETVMA・CC・QRR・第二術式(セカンド)・DD・ENT・DRZZIOXXR――』


「『カミサマ』とか、マジで出てくるのかぁ?」


「油断するな。いつ出てくるか分からないぞ」


 神様だか何だか知らないが……ここで邪魔をするというのなら、俺たちで倒すだけ。


 この異世界で戦い抜いてきた俺たちだ。三年のブランクなんて関係ない。


「……来るッ!」


 唯葉が最初に、気配を察知して叫んだ……直後。


 ――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!


 ()()()()()


 空の裂け目から現れたのは――一人の少女らしき姿だった。白く輝く長髪に、いかにもな白い衣服を纏ったそれは、足を地につく事なく、そこへ佇む。


 発声器官からというよりは、空間そのものを震わせるような無機質な声で、一言。


『私は世界同士のバランスを守る為に造られた《システム》です。警告します。直ちにその術式を停止せよ。繰り返します。直ちにその術式を停止せ――』


「――速攻でケリを付けてやるぜッ!」


 無機質な声に割り込んでいくように先手を切ったのは、工藤茂春。右手に長剣を握り、Sランクスキル『超速飛行』で、一気に間合いを詰めて剣を振るう。――が、それは当たらない。


『敵性反応を確認。術式の停止を呼びかけましたが反応はなし。よって、管理規定(マニュアル)に従い、


 ――当該世界の削除を開始します――



 ()()()()()()()()() ()()()()


 それを止めようとする少女も、魔法を放つが『世界の削除』には抗えない。


「 サン ー・ブ  ト  ―ッ 」


「 サン  ブ  ト』―  !」


「『  ダ ・ ラスト』― ッ!」


 何度詠唱しても、それは発現しない。


「 サ ダ ・ブ  ト』   !」


「『サン ー・ブ スト ――ッ 」


 何度唱えただろうか。それでも、魔法は発現しない。


「『サンダ ・ブ スト ―  !」


「『 ンダー・ブラス 』―― !」


「『サ ダー・ブ スト』――ッ 」


「『サン ー・ブラスト ―― !」


 ……


()()()()()()()()()()()()()()()()()


 奇跡的に消されず、残った言葉たちは『魔法』を作り上げ――ゴオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォッ!!


 唯葉の得意魔法『サンダー・ブラスト』が発動する。


『深刻なエラー:世界の削除は中断されました。一度復旧可能時点へとロールバックします』


「よかった……なんとか発動したみたい……」


「危なかったな……ナイスだ、唯葉!」


 一度消されかけた世界は、巻き戻っていき――再び、『カミサマ』という存在と俺たちは向かい合う。


 しかし、『カミサマ』にとっては予想外の出来事だったのか。神様らしからぬ、隙を見せている。


「みんな、倒すなら今だよっ! ――『サンダー・シュート』ッ!」


 唯葉の魔法に続いて、俺も動く。


「――『マジック・コンバータ』……《力》ッ! うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」


 俺が唯一使える魔法、『マジック・コンバータ』で、有り余る『魔力』を全て『力』に変換する。


 全身全霊で――その右手の剣を振るう! ガキィン!! 甲高い音を立てて、そのカミサマへとヒビを入れる。


「俺ももう一度……うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!」


 続けて、工藤茂春が再び立ち上がり――もう一度、剣で一撃。入ったヒビが更に大きくなっていく。


「私も。――『物質錬成』……発射ッ!」


 Sランクスキル『物質錬成』。なんでも生み出せるその力で、水橋明日香は狙撃銃を生成し――ヒビの中心、ど真ん中へと銃弾を放つ。


 パンッ! と銃声が一つ。同時、少女の姿をした『カミサマ』を貫いた。


『敵性反応――排除――――不―可――――Si223―稼働――――停―――止――――――――――――』


 無機質な声は、次第に弱まっていき――少女の身体ごと、虚空へと消え去っていった。


「やった……のか?」


「みたい、だね」


 倒した。カミサマ――神様を。あとは魔王・プレシャが術式さえ発動すれば、この世界を守り切る事ができる。


 ……元居た世界と、この世界が繋がる形で。


 そして、術式を唱え続ける彼女はというと――


『HHL・PQRECCF・最終術式(ラスト)・AAXXUEW・1SS2CC44LKK・PRY・完了(END)


 プレシャの詠唱はそこで止まる。


「術式は終わった……のか?」


()()()()()、な。さて、これからの話をしよう」

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