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115.無双の兄妹

「――来るぞッ!」


 レインが何かの気配に勘付き、注意を促した頃には既に――


「はあああぁぁぁぁぁぁッ!」


 ――スパスパスパアンッ!! 梅屋正紀が振るった剣は、白く大きなドラゴンを木っ端微塵に切り刻む。



 さらにレインは、後ろからも何かが迫っていることに気づき、


「――反対側からも――ッ!?」


 レインがそう叫んだ時にはとっくに、一本の雷撃が大きな緑色の鳥を撃ち抜いていた。


 襲いかかってきた魔物たちは、二人がそれぞれ放ったたった一撃の攻撃によって粒となって消え去っていく。


 そして、魔物を文字通り瞬殺した二人は呟く。


「「弱い……」」


 そんな言葉を漏らした二人に、レインは――


「見た目は十分強敵そうだが……実際は外見だけで大したことないとか、そういう事なのか? いや、そういうことだと信じたいな……」


 半分呆れてしまったように言うが、二人は気にする事もなく、次々と襲いかかってくる魔物をまるで何事も無かったかのように倒していく。


 そんな二人を見た女戦士、レインは溜め息を吐きながら。


「……アタシ、要らなくないか……?」


 一応、『知恵の原石』は大陸にとって、人間にとって重要なアイテムであり、魔族との取引を任されているレインがその目で知恵の原石を確かめなければならないので、必要不可欠な存在ではあるのだが……ここまで圧倒的な力の差を見せつけられては、そう思わざるを得ない。


 そんなレインをよそに、二人の兄妹は退屈そうに――


「まだ登り始めたばかりだしな……上に行けば行くほど強くなるとか、そんな所かもしれないな」


「そうだね。最高峰ってくらいだし、流石にこんなもんじゃ終わらないよね……」


 そう言い合う二人の兄妹だったが……一つの軍をまとめ上げるほどの実力者であるレインでさえも、一対一で戦って倒せるのかさえ怪しいレベルの魔物を、一撃で倒していく光景は恐怖さえも覚えてしまう。それでいてまだ物足りなさそうな様子を、流石のレインも引き気味で見ていた。


 そもそも、兄の方はスキルの影響で周りの仲間を弱体化してしまうというデメリットの代償としてあの強さを誇っているはずなのに、一緒に戦っていて『味方弱化』を受けているはずの彼女は一体……。


 レインは二人に会った事はあるものの、こうして戦う所を間近で見るのは初めてだ。その強さを噂には聞いていたが、まさかこれほどとは思うまい。


 最高峰だの、前人未到だの言ったが、場所を間違えてしまったのかと錯覚してしまうほどにサクサクと、その山を登っていく。


 こんなに簡単に進んでしまって良いのだろうか。とも思いつつ、レインは先を行く二人の兄妹の後を追いかける。

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