〆
「はい、どうもー。以心伝心のたかしです。」
『かずしです。』
「以心伝心です。よろしくお願いします。今日は〆の料理について考えていきたいと思います。」
かずし、何やら格闘技をやっている模様…。
『〆の料理と言えば焼肉ですよね。』
「どういう脈絡で話をしてんの?焼肉の感じがまるで出ていない。箸を使おうか。せめて。」
『〆の料理は焼肉でいいの?』
「多すぎで突っ込めなかったの。〆の料理と言えばさ、うどん、ラーメン、雑炊とかですよ。」
『確かにラーメンを〆で頼む人多いよね。』
「俺はうどん派なんだよね。」
『実は俺もうどん派なんだ。』
「気が合うじゃねえか。じゃあ、居酒屋のシーンやってみるか?」
『やる必要はないと思う。』
「どうして?」
『2人で成立してんじゃん。やる必要なくね。』
「お客さん、ドン引きしているから。」
『あ、マジか。じゃあ、やろうか。完全、再現できると思うぜ。』
「めっちゃ不安だ。」
『いらっしゃいませ。何様でしょうか?』
「俺様だよ。店長呼べ。違うんだって。」
『間違っていないと思うよ。』
「名前じゃなくて人数で聞くだろ?」
『そう?』
「入ったことあるよな、居酒屋。」
『いらっしゃいませ。何名様でしょうか。』
「1名。」
『わかりました。では、BOX席へどうぞ。』
「大丈夫か。」
『コロナ対策としてBOX席を推奨しています。』
「推奨?指定ではなくてか?」
『はい。』
「じゃあ、注文を。」
『オーダーが入りましたので少々お待ちください。』
「え?」
『お客様、相席になります。よろしくどうぞ。』
「よろしくねーわ。さっきのコロナ対策は嘘だったのか?」
『はい。』
「いや、普通にやってくれよ。居酒屋を。」
『では、〆はどうされますか?』
「〆から?まだ、食ってないから決まっていないけど、いつものうどんで。」
『当店はラーメンのみとなっております。』
「ラーメンしかねえじゃねえか。じゃあ、ラーメンで。それにしてもこの店うるさいね。」
『当店自慢です。』
「うるさいのが?まあ、密談やるにはいいかもしれんけど。」
『以上でよろしいでしょうか?』
「よろしくないのよ。カルビと上カルビ、ハラミと軟骨の唐揚げ。あとはシーザーサラダを。」
『以上でよろしいでしょうか。』
「一旦は。」
『では、復唱します。カルビと上カルビ、ハラミと軟骨の唐揚げ。あとはシーザーサラダ。〆がガチムチでよろしいでしょうか。』
「その最後の〆はラーメンで大丈夫。」
『お任せ下さい。』
「めっちゃ不安だ。」
少しして。
「やー、食ったな。」
『〆の準備ができました。』
「あー、ありがとう。隣にいるムチムチの男の人誰?」
『当店の〆を担当させてもらいます。』
「マジで。待って待って。そういう店――。」
たかし、謎の男の人へ連れていかれる。




