メインクエストその1: 彼は昨日運命を蹴飛ばした
はじめまして。よろしくお願いします^_^
どうぞ、楽しんで読んでください。
ーーー真っ暗だ
「こな、、、む、、、ロンド!」
ーーー声が聞こえる、、、誰かいるのか?
「おい、、、ろ!おい!ブロンド!おい寝ぼけてんじゃねぇ!起きろ!」
バッと勢いよく僕が起き上がると前髪がファサッと上がった。
ガタッ!ガタッ!
今、僕はどうやら馬車の上にいる。
そしてこの馬車は広大な野原を猛スピードで駆け抜けているようだ。
「やっと起きたか、寝ぼけてる場合じゃねぇぜ」
目の前には耳のとんがったエルフの女が立っていた。
金髪で目が青く美しい顔立ちをしている。
彼女は僕のことを知っているようだが自分は一切何も思い出せない。
「誰だ?何故僕は馬車にいるんだ」
僕がそう聞くと今度は、馬車の運転席の方から声が聞こえてきた。
「無理もない、強く頭を打ったからな。」
その男は見るからに屈強で髭を生やし熊のような男だった。そして、僕に構わず話を始めた。
「ところでヴィン!(おそらくエルフの女の名前)あと何人追ってきてる?」
追ってきているという言葉を聞き僕は視線を馬車の後方へと向ける、すると盗賊のような男たちが馬に乗り追いかけてきていた。
「残りは8人だな」
そう言ってヴィンは弓を構える。そして、一気に弦を弾くと。一本の矢を飛ばす。
ヒョォッ
勢いよくそれは飛んでいき一人の盗賊の頭を貫いた。
「3人目、、、やっぱり私ははずさねぇが、敵もそろそろ本気を出してくるつもりだな」
彼女のその言葉を聞き盗賊の方へ視線を向けた。
すると呪文を唱えているのか周りに紋章が浮かび上がっている。
「おい!ダニエル(大男の名前)魔法がくるぞ」
彼女がそう叫んだ瞬間、
ビュンッ
そう音を立ててその呪文を唱え終わった一騎が馬車の真隣に瞬間移動してきた。
そして、僕に向かって弓を引く。
「おい!ブロンド」
バッ!
すると、彼女が僕に飛びかかり助けてくれた。
矢は僕達二人の頭上を高速で通り過ぎていった。 彼女は僕の胸ぐらを掴むとイラついた声で言う。
「バカヤロウっ!なにボケッとしてんだ!」
敵の魔術師は次の魔法の詠唱を始めている。
赤い紋章がそいつを包み込む。
「矢の次は火炎魔法がくるぞ!どうにかしろヴィン!」
ダニエルがそう叫ぶ。
「あぁ」
すると今度は彼女の左手に紋章が浮かび上がった。
一本、矢を手に取り一言放つ、
「ウィンドッ!」
ギュルギュルギュルッ
彼女の手から小さい竜巻のようなものが発生し矢が巻き込まれ、ぐるぐると回転しながら魔術師の方へ飛んでいく。
グサッ
矢は魔術師の喉に刺さり、力を失った彼の体は馬から落ちた。
災難去ったかと思われたが、後方の他の敵はその速度を緩めることはない、このままいけば追いつかれてしまうだろう。
ダニエルが喋りかけてきた。
「おい2人とも、もうすぐ村に着く」
そう言われて前を確認すると確かに村が見える。
「このままじゃあやられるだけだ、馬車を村で捨てて民家に逃げ込むぞ」
「おいおい、そんなことしたら囲まれるんじゃないか?」
僕がそう聞くと、
「あぁ、だが馬車だと戦いづらいだろう?」
とダニエルが答える。一方ヴィンは、
「どうせ迎え撃つなら戦いやすい方がいい」
と言ってにやけていた。
2.
僕らを追ってきた敵のリーダーらしき人物が、僕らが逃げ込んだ建物の前に立っている。
目が鋭く隙の無さそうな男で、咥え煙草を吹かしていた。
「バーンズさん(目が鋭い男の名前)奴らは中に」
「よぅし、全く手間かけさせやがってさっさと終わらせて酒でも飲もうぜ」
そんな子分とバーンズのやりとりをヴィンは入り口から見つからないようにして観察していた。
ちなみに僕らが逃げ込んだこの建物は雑貨屋のようで色々なものが置いてある。
もちろん店主はすでに逃げ出した後だ。
そして、僕とダニエルはというと店のカウンターに入りヴィンが合図するのを待っていた。
「なぁ、ブロンド」
ダニエルが話しかけてくる。
「どうだ?頭打ってだいぶ混乱していたみたいだが」
「あぁ、それなんだけど全くなにも思い出せない。
あんたやヴィンがどういう人間だったか思い出せないし、なんで追われているのかもわかってないんだ」
「おいおいそりゃあ困ったな、でもまぁ俺たちは敵同士じゃあないから安心しろ。
説明はこれを切り抜けた後してやるからな」
「あぁ、頼むよ」
ドタドタドタドタドタドタッ!
慌ててヴィンが俺たちの方へ向かって走ってきた。
そして、
バッ!
とカウンターを飛び越えると言った。
「2人とも!伏せろ!」
ボォォオッ! ガガガガガッ!
その言葉の後、炎、水、雷などさまざまな魔法が入り口の壁を突き破り僕たちの頭上をすぎていく。
室内は濡れていたり、焦げていたり意味不明な状態になる。
「無茶苦茶しやがる」
そうダニエルがボヤいた。
その後、ヴィンが立ち上がり矢を一本弓にセットした。
「やられっぱなしってのも癪だな」
「え?おい、なにするつもりだ?」
僕は思わず立ち上がりそう言った。そこから彼女と僕は軽い口論になった。
「次の魔法が来る前に全員始末するんだよ」
彼女はそんなことを言い出す。
「何人いると思っているんだ!裏から逃げた方がいい!」
「どうせ裏にも何人かいる。表は私がやるから裏を頼む」
「1人で行くのか?」
「もちろんだ。心配してるのか?お前らしくない」
「当たり前だ。1人であんな魔法の中につっこんでいくのを見送ることなんてできない!」
すると彼女は僕の方に振り返りにやけた顔でこう言った。
ー「頭打って別人にでもなったか?」ー
別人という言葉が少し引っかかったが、今聞くべきことではないかもしれない。
なので、今はなにも聞かないことにした。
「突っ込むのはいいが、矢は足りるのか?」
ダニエルがヴィンに聞く。
「心配するなダニエル。1本あれば十分さ」
さて、バーンズ達は次の攻撃の準備をしていた。もう店ごと吹っ飛ばすつもりなのか魔法の詠唱に時間をかけている。
「バーンズさん誰か出てきます。」
「ああん?」
誰かというのはもちろんヴィンのことだ。
「おいおいおいおいおい!のこのこ出てきやがって。自分の状況が分かってんのか?」
バーンズの言葉を一切意に返さず、彼女は弓を構える。
「お前、、、何か勘違いしてるみたいだな。いいか?今この状況で絶体絶命なのは私じゃなく、私を目の前にした、、、」
「お前らの方だ」
彼女のその言葉はバーンズの怒りを買った。ブチ切れたバーンズは荒い口調で手下に指示を出す。
「やれ!こいつを魔法でぶっ飛ばせ!」
バッタッタッタッタッタッタ!
彼女は軽い身のこなしで、魔法攻撃をヒラリヒラリと避ける。
敵の人数はバーンズを合わせて5人といったところだ。
「風の精霊よ。我は汝と共にあり。汝は我の生命を我は汝の力を」
彼女がそう唱えると馬車で見た時より手の紋章がさらに大きくなっていく。
そして、光が1番強くなった時彼女は唱えた。
「レッドストームッ!」
ゴルルルルルルルッ
巨大な竜巻が発生し、敵の方へ向かっていく。そして彼女はその竜巻に矢を一本放った。
今のところレッドの要素はない。
「わぁ!!!!」
「ぬぁぁぁぁあ!」
竜巻に巻き込まれた敵は叫び声をあげる、そして中にある矢のせいなのか、竜巻は血でどんどん赤く染まっていくのだった。
これがどうやら名前の由来らしい。
だが、、、竜巻が止まっていくと1人まだ立っている影が見える。
「おしい、、、実におしいぜお前を殺すのはよ」
この声はバーンズだ。そして、竜巻が収まると自分の体包みを護っていた炎の魔法を解く。
竜巻に巻き込まれたヴィンの最後の矢は彼の手の中だ。
その最後の矢も、
バキッ
彼によって折られてしまった。
そして、バーンズは剣を引き抜くと、ヴィンを睨みつけて、
「さぁ、殺し合いを始めようぜ」
そう言った。
続く
読んでくださり本当にありがとうございました(^^)
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