表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パラドックス・スラッグス  作者: 転転悠悠
正三角形と正四面体を繋ぐモノ
1/8

正三角形と正四面体を繋ぐモノ Part1

気が向いたら書きます。

「いいかい、よく覚えておくんだ。"追い付かれたら終わり"これがルールだ」


アイツはケタケタと笑いながらそう言った。アイツの瞳を見ようとするが、視界が曇っていてよく見えない。


「僕は"それ"を守ればいいんだね?」


僕の声は虚空に飲まれるように消えていく。返事はない。段々と意識が遠退く中、アイツの輪郭だけがくっきりと浮かび上がる。


「陽真君、大丈夫?」


千里が耳元で囁く。閃光と轟音が僕を包み込む。


「ああ、問題ないよ千里ちゃん」


目を擦りながら、小さな声で彼女に答える。銃声と弾幕をかわしながら走る男。


「そっか、なら良かった」


そう言うと、彼女は安心そうな顔をして前に向き直る。女が啜り泣く、そして波の音…


僕は大きくあくびをしながら映画館を出た。千里が不思議そうな顔をしながら、僕の顔を覗き込む。


「そんなにつまんなかった?」


彼女は僕に問いかける。


「いや、そういう訳じゃ無いんだけど…」


実際、映画は面白かった。故郷で待つ女を残し、一人月で戦う男の運命を描いた物語だ。まあ、多少荒唐無稽な感じもあり、手放しで評価できるものではなかったが、まずまずといったところだろう。

歩道の敷石に軽く躓いた。クスッと彼女が笑うのが聞こえた。千里とは付き合いはじめて3ヶ月になる。僕が大学のカフェテリアで彼女に声を掛けたのがきっかけだ。あの頃は僕は出会いを求めていたし、彼女も付き合っていた彼氏と別れたばかりだった。


「陽真君ってちょっと抜けてるとこあるよね」


彼女はからかいながらそう言った。


「…よく言われるよ」


僕は両手をズボンのポケットに突っ込みながら答えた。そして横目で彼女の顔を見た。真っ直ぐと前を見ながら歩く彼女は、僕とは正反対でしっかりした女性だ。一重瞼の眼は揺るぎ無い信念をもって前だけを見つめている。左目の端近くにあるホクロがとてもチャーミングだ。少し綻んだ口元は、僕を安心させてくれる。短く切った髪が歩調に合わせて静かに揺れていた。


「お昼どうしよっか?」


彼女が僕の方に顔を向けて聞いた。彼女と目が合い、恥ずかしくなって少し俯きながら僕は答えた。


「イタリアンなんてどうかな?」


僕はポケットからスマートフォンを取り出し、事前に調べていた店のページを彼女に見せた。

彼女は立ち止まり、宝石を鑑定する鑑定士のように僕のスマートフォンの画面を吟味した。暫くして、彼女は頷くと、


「よし!ここにしよう!」


そう言って、再び歩き始めた。僕は半ば彼女の後ろを追うようにして、スマートフォンをポケットに戻しながら、歩を進めた。


そのまま大通りをまっすぐ進み、対角にドンキホーテがその存在を誇示する角を曲がり、細い路地に入って2分程歩いた所にそのレストランはあった。黒を基調としたその店の外観は何処と無く潜水艦を連想させた。小さな丸窓がある扉からは、店内の様子が見える。僕は少しその窓から店内の様子を偵察して、ゆっくりと扉を開けた。安全を確認し(その必要は無いのだが)、千里を先に通した。そして僕も入店し、店員の女の子に人数を告げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ