ゴールデンウィークの予定
5月1日。ゴールデンウィーク初日。春初めの長期休暇の期間であり、この休暇を活かして旅行に行ったり、友達と遊びに出かけたりするのが陽キャの休みの過ごし方であるが、大学生一年生の影山陸は同級生冬野雪と昼間からオンラインゲームをしていた。
「なあ冬野、ゴールデンウィークなんか予定ある?」
ゲーム中何気なく影山は話してみた。というのも本当にこのゴールデンウィークはバイトの予定しかいれておらず、勇気を出して雨野に遊びに行こうと提案したがサークル仲間で2泊3日の函館旅行に行くというキラキラした予定を聞かれてからは陽キャと陰キャの差に嫌気がさしていた。そんな気分のなか冬野はどうなのだろうかと、影山は気になった。冬野からは「予定かぁ。ないよ」と返答があり、影山は同じ境遇仲間がいて少しホッとした。
「ゴールデンウィークは詰んでるゲーム消化期間にするつもりだよ。バイトでほしいゲームたんまり買ったからさ!」
とウキウキな様子で冬野からの返答。それを聞いて影山は思った。
(あー、そっか。冬野はソロ充ってやつだな…)
影山とは違いぼっちを気にしていることはない冬野。自分のやりたいことを全力で楽しむスタイルである。
「そっか。日上さんとは何か予定ないの?」
ふと冬野の友達である日上しおりを思い出した影山。尋ねられた冬野は間が悪そうに「えーと」と言って反応に困っていた。
「しおりは、何かゴールデンウィーク企画を考えてて忙しいんだって」
「へー、rutuberは大変だな」
「まあ、この前みたいに面倒を起こさないでほしいけどね…」
とため息をつきながら呟く冬野。二週間前に一人かくれんぼを配信で行い、日上は魂を抜かれた。魂を取り戻すために影山と冬野は野寺坊と悪霊と化してた少女と戦い、無事に日上は意識を取り戻した。
(あの一件で日上さんのチャンネル登録者めっちゃ増えたんだよな…)
一人かくれんぼの配信はオカルト業界で大好評をはくし、日上はrutuberとしての格が上がった。今も懲りずに心霊スポット巡りや都市伝説の検証動画を上げたりして、冬野の悩みの種となっている。
「それで、影山くんは何か予定あるの?」
「何にもなし。雨野もサークルで旅行行くみたいだし」
「そうなんだー。じゃあ、影山くんもゲームして過ごそうよ。ゴールデンウィークなんてどこ行っても人が多くて鬱陶しいだけだし、家でだらだらゲームしてる方が楽しいでしょ」
「それは言えてるかも。ただ、何か遊びたいなぁって感じもあるんだよなぁ」
影山自身も人混みはあまり好きではない。かといって外で遊ぶのが嫌いという訳でもない。影山の返答に対し冬野は「ふーん、例えば?」と返し、影山は普段雨野と外で何して遊んでるか思い返した。
「映画とか、カラオケとか、人があんまりいないとこで遊べるようなのはいいな」
影山の返答に対して「あー、それなら私もいいかなぁ」と答えた。
「じゃあ、今度二人で映画でも見に行く?次の土日バイト休みだし、その日にでも!私ちょうど見たいのあるんだよね!」
と明るい声で映画の誘いを受けた影山。まさか誘われると思っていなかったから驚きつつ、内心誘われて少しウキウキしていた。
「いいな映画。ちなみに何見たいの?」
「最近cmでやってるやつ。原作が漫画のアニメ。次の日曜日にやるんだよね。その日に行かない?」
「日曜日か。ちょっと、予定みてみる」
影山はスマホで日曜日の予定を確認した。ちょうど土日は休みだった。影山は静かにガッツポーズをとった。影山は4月から冬野に一目惚れ中であるため、内心仲を深めるイベントを欲していた。
「予定空いてるよ。映画見に行こっか」
「ホント!?ありがとうー。楽しみだなぁ」
冬野は映画に行けることに喜んでいる様子がゲーム内のボイスチャットから聞こえてくる。そして、現在進行形で片想い中である影山自身も冬野と映画に行けるということでテンションがあがっていた。ふと、バイトというワードを聞いて影山はあることを思い出した。
「そういや明日バイトに新人来る日だよな」
「あー、そうだね。どんな子来るか影山くん店長から聞いてるの?」
「んー、詳しいことは聞いてないけど、俺と同じ店長がスカウトした人らしいよ」
2日前、影山がバイト中、ガイスト店長である九十九から町で良い人材を見つけたからスカウトしたと話を聞いた。どんな人か尋ねると、影山と冬野と同じく、妖力を持つ者とだけ教えてくれた。それ以上のことは会ってからのお楽しみにとのことだった。
「妖力持ちかぁ。虚なのかな?」
虚。影山のように生まれもって妖力を持つもののこと。一般的に霊感を持ってる人のことである。その妖力の強さは人それぞれであるが、自身の妖力に気づかず日々生活するものもいれば、妖力をコントロールし、霊能力者を生業にする者もいる。
「もしくは人間社会に溶け込んでる妖怪って可能性もあるけどな」
冬野のように妖怪と人の間から生まれた半妖というのも珍しいが、人型の妖怪や人に化けることができる妖怪は人間社会に溶け込み生活している者もいる。そういう妖怪を影山は多く見てきた。影山の返答に冬野は「まあ確かにねえ」と返した。
「なんにせよ、新しい人が増えると仕事も楽になるねっと!はい、私の勝ち!」
「またか、冬野つえーなぁ」
椅子に座ってゲームをしていた影山はゲームに負けてコントローラーを膝の上に置いた。
「私そろそろお風呂入って寝るからまた明日バイトでね」
「ああ、おやすみ」
冬野とのチャットが切れて影山もゲームをやめてベッドに横になった。大きくアクビをし、眠くなってきた影山は再度起き上がり、歯磨きをしてから部屋の明かりを消してベッドに入った。その後、スマホを少しいじってから数分していつの間にか寝てしまった。




