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恋と憎しみの物語

昔、好きな男がいた。


意気地がなくて頼りない、でも人を思える優しさがある人。どんくさいところがあってなんだか放っておけない人。


話していくうちに好きな気持ちは強くなった。離れたくなくなった。アタシは自分の気持ちを告白した。彼は気持ちを受け入れてくれて、彼も好きだと言ってくれた。嬉しかった。そのときのことは永遠に忘れないだろう。


でも、彼は一緒にはいられないと言って、アタシと別れようとした。別れたくなくてアタシは、離れたら死んでしまうと冗談交じりで言った。それが彼と交わした最後の会話。


次に会ったときには、彼は別の女といた。その女は自分がよく知っている女だった。嫉妬心はあまりなかった。どちらかというと敗北感の方が大きくて、何より彼が幸せそうな表情であったのが印象的だった。


だから身をひこうと思った。ただ、彼と共にいた女は彼が好きなわけではなかった。彼を騙し、彼の魂を食らう存在、化け物だったのだ。


化け物だということを知ったときにはすでに遅かった。彼はその化け物の食い物にされ、死んでしまった。許せなかった。アタシはその化け物を殺そうとした。でもその化け物は強くて殺せなかった。アタシは、逃げた。


逃げた自分の情けなさにイラつきを感じた。そして、いつかあの化け物を殺してやろうと心に誓った。


自分の心の中には憎しみだけが残り、今日もアタシは、憎しみを持って生きている。





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