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最大幽術

さとるくんの妖術について、24時間以内限定で彼は呼び出した対象の数まで分身体を造り出すことができる能力をもつ。つまり、今回影山と冬野は同時にさとるくんを呼び出したために、合計二体のさとるくんが現れたことになる。この分身体をつくる妖術はさとるくんの妖力の半分を消費するため、強力な分デメリットも多い。


(分身体がやられて僕の妖力も半分以下。まあでも、あれくらいの奴らにはちょうどいいか)


さとるくんは余裕そうに影山と冬野の様子を見ていた。


「幽術、白冷剣」


冬野は右手に氷の剣をつくりだし、構え、さとるくんと対峙する。影山も刀を構え、さとるくんの様子を伺う。


「影山くん、あいつと闘ってみてどう?」


「傷一つつけられてないってところだ」


「同じだね。正直勝てる見込みある?」


「一人なら絶対に無理。だけど、二人でやればワンチャン勝てる」


「何か策があるの?」


「策というよりかはごり押しだな」


「いつまでこそこそ話してるの?来ないならこっちから行くけど!」


さとるくんは幽術、雷のベーゴマ遊びで四つの雷のベーゴマを放つ。影山と冬野は各々風の壁、氷の壁をつくりだし、攻撃を防いだ。


「それで、どうすればいい?」


「お互いの最大威力の幽術を叩き込む。その技ならあいつにダメージを与えられるはずだ。冬野はあいつにダメージ与えられる幽術ありそうか?」


「一つある。影山くんは?」


「俺も一つ。確実に当てるためにも、どっちかがあいつの動きを止める必要がある」


「なら私に任せて。私の氷ならあいつの動きを数秒止められる」


「よし、そしたら俺が技を当てる。冬野はできるだけあいつの動きを止めてくれ」


「了解!」


冬野はさとるくんに向かって走り出す。剣を振り、一閃する。対してさとるくんはただ黙って立ち尽くし、攻撃を受けた。さとるくんに傷はつかず、微動だにしない。


「こんな攻撃効くと思ってるの?」


「作戦があるからこれでいいの!」


冬野は幽術、流破衝を放ち、さとるくんを後ろに後退させる。さらに、幽術、水柱を発動し、さとるくんの上から水の杭を当てた。


「こんな攻撃、いくら当てても効かないよ!」


水圧に押し潰されることなく、水を多量にかけられ、全身びしょ濡れになるさとるくん。その濡れた体を冬野は凍結させ、さとるくんの動きを封じた。


「冬野、チェンジだ!」


「うん!」


冬野は後ろに下がり、影山が前に出る。そして、刀に妖力を集中させる。


「これでもくらえ!幽術、嵐王霊魔刃!」


影山の刀から巨大な風の刃が放たれる。その刃はさとるくんに直撃し、炸裂。さとるくんを数十メートルぶっ飛ばし、校舎を突き破って外まで飛ばされた。さとるくんは地面を転がり、腹に巨大な傷と頭部から出血していた。


「まさか、あの雑魚にこんな攻撃力のある幽術があったとはね…!」


完全に油断していたさとるくんは立ち上がり、口から「ぷっ」と血を吐き出した。そして、冷静に現状を分析する。


(ダメージは大きいが、致命傷というわけではない。まだ動ける。しかし、何度もこの攻撃を受けたら流石の僕もただではすまない。あの攻撃を二度とくらうわけにはいかない)


さとるくんが考えていると、影山と冬野が壊れた壁から外に出てきた。


「あいつ、あれをくらってまだ動けるのか…!」


「影山くん、あの攻撃まだできる?」


「俺の妖力はもう少ない。撃ててあと一回だけだ」


「わかった。だったらまた私がチャンスをつくる。影山くんは今の攻撃を確実に当てれるよう準備して!」


それだけ言って冬野は飛び出す。影山は「待て冬野!」と呼び止めるが、冬野はさとるくんと戦闘を始めてしまった。さとるくんには幽術で雷の剣をつくりだす。冬野とさとるくんは互いに剣で交戦する。


(ダメージがくらうとわかった今、そう簡単に俺の嵐王霊魔刃を撃たせるとは思えない。何か策を考えないといけないのだが…)


影山は考える。しかし、思いつかない。その間も冬野とさとるくんは剣で攻防を続ける。考えてもらちがあかないと考えた影山も参戦し、刀を振るって攻撃する。そして、影山の攻撃を受け止められたが、ここである違和感に気づいた。


(さっきまで攻撃を防ぐことなかったのに、今は防いでる。ということは、ダメージをくらって弱ってる今なら攻撃が通るのかもしれない!)


妖力を持つものは常に妖力で全身を強化している。故にダメージをくらったり、技を使用して、妖力が消耗すれば、全身を強化しているのも弱体化する。


(この状態なら嵐王霊魔刃使わなくても…)


「もう油断はしない。確実にお前らを殺してやる!」


さとるくんは剣を力強く振って、冬野と影山を弾き飛ばした。そして、数メートル後退し、雷の剣を消して、両手を上につき出す。


「幽術、雷のメンコ遊び!」


さとるくんの両手からバチバチと上空に雷が放たれる。そして、上空に大量の雷でできたメンコが形成される。それを見て影山は嫌な予感がした。


「逃げろ!冬野!」


影山は叫ぶ。上空に形成された雷のメンコが影山と冬野に目掛けて降り注ぐ。影山は全力で走り、冬野を守るように立ちふさがり、空に向けて刀を向け、幽術で風の壁をつくる。いくつかは受け止めることができたが、完全に防ぐことはできず、防ぎきれないものは時を戻して打ち消すが、それらも完全に消すことができず、影山は冬野を庇うように雷のメンコを背中から受けた。


「があああああああああああああああ!」


「影山くん!」


影山は感電する。ダメージが大きく、その場に膝をついた。


「影山くん!何であんな無茶なことを!」


「何でって、友達がやばそうだったら助けるもんだろ」


影山はふらふらと立ち上がる。冬野は影山の体を支えて立ち上がるのを手助けした。


「影山くんは休んでて。あとは私が戦うから」


「俺は大丈夫。俺も戦う。でも、俺の最大技はもう使えない。今度は冬野が当てるんだ」


「私の?」


「ああ。俺が最大技を出すと見せかけて冬野がやるんだ。俺への最大技を警戒してる今がチャンスだ」


「でも、私たちの作戦見抜かれてるかもしれない。そしたら、私の攻撃は当てられないよ?」


「大丈夫。俺に考えがある。俺が合図をだしたら最大技を頼む」


「…わかった。信じるよ影山くん」


「俺が技を出すふりをする。冬野はすまないがまた前に出てさとるくんと戦ってくれ」


「わかった!」


冬野は再び、走り出し、さとるくんに向かって拳をつき出す。さとるくんは避けてカウンターで冬野の顔面を狙って拳を叩き込もうとするが、冬野は腕でガードし、蹴りをさとるくんに叩き込もうとするが、腕で防がれた。


「遅いんだよ!」


さとるくんも冬野に対し、蹴りを叩き込む。冬野は腕でガードするが、威力が強く、数十メートル後退する。そして、さとるくんは幽術、雷のベーゴマ遊び・三連を発動するが、それらは冬野に対してではなく、影山に向かって放たれた。


「影山くん!」


冬野は影山のところに行こうとするが、影山が「来るな!」と叫ぶ。雷のベーゴマが迫ってくるなか、影山は「冬野、今だ!」と叫び、雷のベーゴマを防ぐことなく、感電し、倒れた。


「これであいつは再起不能だ!」


影山が倒れることを確認し、さとるくんは叫んだ。そんなさとるくんに対して冬野は手を構えた。


「幽術、氷王流霊衝!」


巨大な水の砲弾をつくりだし、凍結させ氷の砲弾を形成。「くらえ!」と叫び、冬野は巨大な水の砲弾を撃ち出した。しかし、さとるくんは余裕そうな表情でニヤッと笑った。


(男が囮に女が最大幽術を発動させるのは予想がついてたよ。これを避ければ、あとは女を片付けるだけだ)


さとるくんは全力で横に移動し、氷の砲弾を避けた。


「あはははは!お前らの全力の技もこれで無駄に終わったな!」


冬野は妖力を使い果たし、地面に倒れる。氷の砲弾は何もないところに直撃しようとする。さとるくんは勝利を確信した。しかし、さとるくんは避けたはずなのに、目の前に氷の砲弾が迫っていた。


「な、なん…!」


何が起きたのか呆然するさとるくん。氷の砲弾はさとるくんに直撃。巨大な氷山ができて、崩れた。


「な、何が起きて…」


地面に倒れながら冬野は一部始終を見ていた。さとるくんは確かに冬野の攻撃を避けていた。だが、避けたあとに一瞬で氷の砲弾の前に戻っていた。その事実に冬野は何が起きたのか理解し、影山の方を見た。影山が刀を杖にして立ち上がっていた。


「ハァ、ハァ、何とかなったな…」


影山は雷のベーゴマの攻撃をくらい、やられたふりをして倒れていた。そして、さとるくんが油断しているところに武妖具の力を使い、避ける前の時間まで戻したのだった。影山の策略通り、幽術を当てることができた。崩れた氷の山を見ながら、影山は冬野の側に駆け寄った。


「冬野、立てるか?」


「ちょっと、難しいかも」


影山は冬野に手を貸し、冬野は立ち上がる。二人は崩れた氷の山を見た。


「倒したんだね。私たち」


「ああ…」


(結局、巡礼者のこと聞く暇なかったな…)


倒すのに精一杯で、情報を聞き出すことができなかったことが影山は少し残念に感じていた。


(あいつ、北海道地区担当とか言ってたな。それが本当だとすると巡礼者代行は他にもいる。だったら、他のやつに話を聞き出せばいいな…)


影山は「帰ろう」と冬野に言って、二人は氷の山に背を向けて歩き出す。すると、突然氷の山が崩れる音がした。二人が後ろを振り向くと、そこには氷の山から抜け出したさとるくんが氷の山に立っていた。


「ハァ、ハァ、よくもやってくれたなお前ら…」


防御にほとんどの妖力を消耗し、さらにダメージも受けて満身創痍のさとるくん。二人を睨み付けながら、近づいていく。


「お前らは絶対に殺す、殺す!僕から逃げられると思うなよ!」


さとるくんは雷の剣をつくりだし、走り出す。対して、影山も刀を構え、走り出す。


「死ねえええええええええええええええええええ!」


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


刀と剣がぶつかり合う。そして、影山の刀が雷の剣をへし折り、そのままさとるくんを切り裂いた。


「がぁ、バカな、この僕が…!」


さとるくんは倒れ、消滅した。影山も力を消耗しすぎたために、その場に倒れ、気を失った。




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