自信の強さだけでステータスが掛け算される男子高校生に、地球の未来を託すしかない
その男は最強だ・・・自信さえあれば
『自信ゲージ』
それは選ばれた人間にのみ付与される凄まじいスキルである。
自信の強さでステータスが掛け算される。
例えただの一般人だとしても超人になることができる。
逆に自信が欠如した場合、マイナスに掛け算される。
特殊部隊所属『揚げ手ホメル』は
上司の講習をあくびを噛み殺しながら聞いていた。
『怪獣』が来襲しようとしている。
「彼の力に地球の未来がかかっているんだッ!!!!」
「怪獣たちは自信ゲージ持ちを真っ先に殺しに来る。過去に自分たちを亡ぼしかけた力だからだ。・・・つーか起きろ、ホメル君寝るなーー!!!」
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『振り幅ジシン』
重度の人見知りでいわゆる陰キャであった。
ホメルはジシンのゲージを物陰からこっそり覗く。
(今日もマイナス・・・ダメダメね)
体力のステータスにマイナス補正がかかっているせいか
彼の足取りは重い。
どんよりと暗く、
この世のすべてを呪ってやるという顔をしている。
この人すっごい疑心暗鬼なんですけど
この世のすべてを疑ってかかる人なんですけど
可愛い私が「自信もって(^.^)」って励ましても逆に騙されてると
考える奴なんですけど
こんな人に託すしかない未来ってどうなんだ!
無線から連絡が入る。
(ホメル君・・・逃げろ・・・デスギドラが!!)
「ええ?なんですって、詳細がよく聞こえない」
ギャアアアア!!!
大きな咆哮と共に現れる巨大なドラゴンのような怪獣
ほんと来た・・・
壊れるビル、蹴散らされる自動車
逃げ惑う人々、さながら地獄絵図だ。
道路に飛び出した彼を怪獣が睨みつける。
逃げようとする彼の退路を強引に破壊する。
(は?俺・・・なんでなんで)
まずい、あいつ殺されちゃう
破壊された瓦礫、足がすくんで動かない。
・・・あたしも逃げる?
・・
・・・
・・・・
私だって最後まで足掻くんだ。
どうすればいい・・・どうすれば彼に自信を持ってもらえる?
「一か八か・・・これで!」
大声を出して、小さな何かを投げつける。
転がってきたそれをとっさに彼は手に取る。
「?」
ふぃこにゃんのストラップ
めざテレの占いのラッキーアイテム・・・
・・・
今日、運いいかも
光り輝く彼
彼の放った拳で巨大怪人が吹き飛び。
厚い雲から光が差し込んだ。
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今日もジシンは暗い顔で歩く。
その後ろをこっそり監視する特殊部隊の隊員たち
「ホメルンさー」
「なに?」
「昇進したのに未だに彼の付き人してるってどうなん?」
「・・・・・・いいでしょ別に」
ホメルはあの時のジシンの顔が忘れられない。
容姿のステータスも掛け算されるらしかった。