偽者、説明する
「それで、ジローお前はどのくらい使えるんだ?」
サリィの腹黒さに驚いているとゴメスが聞いてきた。
使えるというのは魔法のことだろう。
「うーん、まぁ安全に使えるのは中級くらいまでかな。」
それを聞いたブラウンさんが
「ほー。なんだ中級までしか使えないのか。」
などと舐めたことを言いやがった。
それを聞いたゴメスが俺を見て、ため息つきながらブラウンさんに話す。
「村長、中級まで使えるならすごい事だぜ。中級まで使えるならそこそこでかい国でも戦士長クラスにはなれるだろーし、小さい村くらいならあっという間に消し炭にしてしまうさ。」
それを聞くとブラウンさんの顔が青ざめていく。
「いやージローさんってすごいんですね。私は最初からわかってましたよ。」
この人相手によってコロコロ態度変えるな。
「それで、ジローお前の戻りはどんなもんだ?」
ブラウンさんの態度に呆れ顔をしながらさらに聞いてくるゴメス。
「いやいや、知らない人に戻りを話す馬鹿は勇者失格だろ?」
「けちくさいな。まぁ、力のない奴ならそうかもな。ワッハッハッ!」
ワッハッハッ!って今どきそんな笑い方する奴いるんだ。しかもなんかムカついた。
その話を聞いていたサリィとブラウンさんは何の話しをしているのか解らないようで不思議そうな顔をしていた。
まぁブラウンさん達が戻りの事を知らないのは当たり前だな。言わば勇者の専門用語みたいなもんだからな。
因みに、戻りを説明するとなると魔法の源、魔力の話を知る必要がある。
めんどくさいが親切なこのジローさんが説明してあげよう。
魔力ってのはそのまま魔法を使う為のエネルギーみたいなもんだ。
例えるなら勇者の中に川が流れていると考えてもらうとわかりやすいかな。
その川に流れる水が魔力ってことになる。
その水をすくって、そのエネルギーを使い魔法を放つって感じだ。
しかし、やっかいなのが川の流れが速すぎて川から直接はすくえないんだ。
そこで勇者はみんな魔力を溜める湖をもっているんだ。 その湖の大きさは人によって違うんだ。←これ重要ポイント!
その湖が大きければ大きいだけ魔力を溜めておけるってわけ。
少なくとも上級魔法を使うだけの湖を持つ勇者なんてそうはいない。
別にゴメスを誉めているわけじゃなくて。
ただし、でかい湖を持ってるやつが強いかって言うとまた話が変わってくる。
それは、川の水の量の事。いくら湖の大きさが大きくたってそこに流れてくる水の量が少ないなら、デカイ魔法一発使ったらしばらく使い物になりませんってなるからな。
だから大切なのは湖のデカさと湖への水の戻りのスピードってわけ。
だから、勇者はほとんど湖のデカさと水の戻りが強さのバロメーターになる。
つまり、勇者にとって水の戻り、つまり戻りを人に知られるのはあんまりいい事じゃないんだよね。
だって、湖がからになったとこを狙えば勇者もただの人だもんね。
因みに俺の戻りははっきり言ってトップクラス!!中級魔法使っても使った瞬間にまた満杯になってる。つまり使い放題ってわけ。
反則だって?いやいや、中級までしか使えないからね。残念ながら。
まぁ戻りについてはこんなもんだ。めんどくさいので二人への説明は辞めておく。