偽者、本当と会う
「勇者様起きてます?村長さんのとこにご飯食べにいきましょー」
扉の向こうからサリィの声が聞こえてきた。
「はい。起きてますよ。すぐに出て来ますので少し待って頂けませんか?」
俺は急いで顔を洗い、外に出る事にした。
昨日と同じ服だが問題ないだろう。
そして、サリィと二人でブラウンさんの家に向かった。
ブラウンさんの家に着くとすでに朝ごはんが出来ていて、テーブルの上には三人分の料理が並べてあった。
「スミマセン。私までご一緒させて頂いて。」
テーブルに座りながらブラウンさんに声をかける。
「いえいえ、私も独り身でして、料理が趣味なんですが食べてくれる人がいなくて、毎朝サリィに食べに来てもらってるんですよ。」
「村長さんの料理はとっても美味しんですよ…モグモグ」
こいつ、何時のまにか食べ初めてやがる。
食事はパンとスープとミルクと目玉焼き、という普通のメニューだったがサリィのいうとうりブラウンさんの顔からは想像出来ないくらい美味しかった。
食事も終わり食事後のホットミルクを楽しんでいると誰かがドアを叩く音が聞こえてきた。
ドンドン
ドンドンドン
ドンドンドンドン
はっきり言ってうるさい。
「おやおや、朝から珍しいですね」
そういうとブラウンさんは嫌な顔せずお客を迎えに行った。
てか、朝から強くドア叩きすぎ。俺だったら文句の一つもいいたくなる。
意外に器が大きいのかもしれない。腐っても村長か。
まぁ腐ってはないだろーけどね。
ブラウンさんがドアを開ける音がすると男の大きな声が聞こえてきた。
「ここに、有名な勇者がいるって聞いたんだがな。本当に居るのかい?」
お世辞にも丁寧と言えない口調で喋る男の声を聞き、どうせ俺を倒して名を上げたいやつか、弟子にして下さいといったところだろうと思い、しぶしぶ玄関に向うことにした。
玄関に向かうと困った顔で話すブラウンさんと歳は20代後半ぐらいの男が立っていた。
男は身長180センチくらいでガッチリとした筋肉がついている。
一目でこいつ強いとわかる、道であったら絶対に道を譲りたくなるタイプだよ。
俺に気づいたブラウンさんが困ったように話しかけてきた。
「すいません。ゴメスさんどうしても貴方に会わせろとしつこいもんですから。」
やっぱり、そっち系の相手かと思いブラウンさんに
「大丈夫ですよ。私から話します」
といい、もう一度男をよく見る。
男は大きなバスターソードをからっていて、肩には鉄のショルダーガード、洋服こそ布の服を着ているがその中心には炎のマークが描かれている。
「やべ、本物来ちゃったぢゃん」
つい本音が出ちゃった。
それを聞いた男がニヤリと笑うと
「ほう、さすが偽物。本物かぐらいはわかるようだな」
っと顔は笑っているが目は全くわらっていない。
「一体どういうことですか。」
と完全にパニックになっているブラウンさんにさらに男がさらに続けた。
「あんたそいつに騙されてんだよ。本物のゴメスはこの俺だ!」
そういうとその男ゴメスは手の上に火の玉を作り、ブラウンさんに見せる。
ブラウンさんは驚きながらも
「しかし、私はこの方が魔法を使う所を見ましたよ。」
「火薬かなんか使ったんだろ。よく有る手だ。」
それを聞くとこっちを睨んでくるブラウンさん。
あんた一回俺のこと試した時に火薬とかじゃ無いこと見せたじゃん。
あの時は納得してたのに…
はぁ…めんどくせぇ。