偽者、人気を得る
広場に近づくに連れて大勢の声が聞こえてくる。
「サリィさん、大体何人くらいいるのですか?」
少し不安になったので尋ねる。
「そうですね村のほとんどの人が来てるから500人くらいかしら。」
500かぁ…なかなか多いなぁ。
そんな話をしていると広場に着き、誰からか俺に気づいたようで、だんだんと村人の視線が集まる。
「ブラウンさん勇者様を案内しましたよー」
他の人の目線を気にせずブラウンさんに話すサリィ。流石は村のアイドル。(俺判断)
すると村人達が
「おぉ!やはりあの方がゴメス様か」
「思ったより弱そう」
など騒ぎ始める。
弱そうとか行った奴顔は覚えたからな。
とりあえず俺達はブラウンさんの隣に行くと、座りごごちの良さそうな椅子を進められたのでそこに座り周りをみわたす。
広場の中心には薪が高くつんであり、その、まわりを村人達が囲んでいる。
もう、薄暗くなっていたので、そろそろ火を焚くのだろう。
そんなことを考えているとブラウンさんの声が広場に響き渡る。
「みんなしずかに!!」
ブラウンさんの声に注目が集まる。
横を見るとなぜかサリィも座っている。
まぁ可愛いので好都合だが。
「皆さんこちらがゴメス様です。サリィを助け、この村まで送ってくださったのだ。」
ブラウンさんがそういうと村人から
「おー、やはり」
「想像と違う」
などの声がザワザワと聞こえてきた。
自分の悪口ってなんか耳に入るんだよな。
そこで俺はスッと立ち上がり炎の玉を手の上に浮かべそれを真ん中の薪に向かって放つ。
薪に当ると一度炎が消えてなくなり、いきなり大きく燃え上がる。
それを見て、驚き戸惑っている村人に向かいこう言い放つ。
「私こそ、真の勇者だ。私が来たからにはこの村はもう安心だ!!」
すると村一同から
「うぉー」「キャー」
などの感激の声が広がり、いつの間にか、ゴメス!ゴメス!とゴメスコールが広がっていった。
これぞ必殺とりあえず魔法を使って人気もの作戦!!
魔法を見たことのない人には絶大な術だ。
これで村人の心はがっちり掴んだのであとは可愛い子を探すだけだ。
ぐへへ
村での俺への歓迎会は俺のパフォーマンスもあり、大いに盛り上がっていた?
「ねえねえ、勇者さま今日は本当ありがとうごさいました。」
そういうとお酒を差し出すサリィ。
それをコップ一杯についでもらい、一気に飲みます。
く~っ!うまい!仕事あとの一杯はサイコーだ。
たいして、仕事してないけど。
いや、これが本業なんだが。
「あら!?勇者様お酒お強いんですね?」
「まぁ、嗜む程度ですよ」
実際俺は、はっきいって強い!
自分も沢山飲む事で女の子に安心感を抱かせ、酔わせるのが得意だったりする。
今回もその作戦でサリィを酔わせる事にした。
「せっかくですし、サリィさんもどうぞ飲んで下さい。」
そういうとサリィのコップなみなみに注ぐ。
「うわぁ~勇者様からお酌して頂いただけるなんて夢みたい。」
と可愛い事をいいながらそれを一気に飲み干す。そして、俺のコップに並々とお酒をついでくれる。今度は俺が、負けずに飲み干してサリィにつぎ返す。
そんなことを二、三回繰り返すがサリィは顔色一つ変わらない。
もしかして、この子めっちゃお酒強くないか?
結果的に言うとサリィはエグかった。
もう、強いとかのレベルではなく、あの後イッキ競争が樽三杯程続き俺がギブアップして倒れてしまったのだ。
てか、明らかに体の体積より飲んでた量のほうが多かったはず。女の子の身体にはまだまだわからない所があるようだ。
そんなこんなで、気付けば朝になっていて、サリィを酔わせようとした事を後悔する事となった。
だってサリィが一番可愛かったんだもん。
グスン。