偽者、くつろぐ
サリィに連れて来られた会議小屋は小屋というよりも、大きめ民家で、その中の大きな部屋があった。たぶんここが会議室なのだろう。
「サリィさん、ここ小屋って言うわりには普通に家ですね?」
小屋の中を案内されながら尋ねる。
「そうですね。会議が遅くなっても泊まれますし、宴会や、お客様が来られたときにも使える造りになっているみたいですから。」
「なんか便利なとこですね」
そんな話をしている間に一つの部屋に着いた。
「勇者様はここをお使いください。宴会の準備が終わるまでゆっくりしてください。
お風呂もありますよ。」
そういうとペコリっとお辞儀をして出ていってしまった。
一人になった俺はベッドに座り、今日の宿と食事に酒が手に入った満足感にひたる。さらに上手くいけば女の子もだ。
そう考えると自然に顔はにやけ、鼻歌なんか歌ったりする。
「う~ん!風呂でも入るか!!」
そう一人言をいい風呂をさがす。これだけデカイ施設なのだからきっと風呂も大きいだろう。
部屋を出て少し歩くと【浴室】の看板を見つける。
浴室に入ると大人5~6人は入れそうなかなり大きいめの風呂があった。
「う~ん水しかでないのか、わざわざサリィを呼ぶのは迷惑かけるし、仕方ない。」
とりあえず浴槽に水だけを張ることにしよう。
5分もしないうちに浴槽からこぼれそうになるくらいにたまる。
「よし!このくらいでいいだろう」
そして、頭の中で魔力をイメージして、熱を発する光の玉を造り出し水の中に入れる。
更に魔力を強め、熱を強くする。すると、すぐに40℃くらいのお湯に変わる。
実は火を使わず熱を放つ魔力の塊を出すのはかなりの高等テクニックなのだがあっさり使える俺は天才かもしれない。
めっちゃ地味な技だけど。
風呂は生命の洗濯だとはよく言ったもんだ。
く~っ!キモチー!!
山道を長く歩いた為、より一層気持ちが良い。あと冷たい麦酒でもあればサイコーだな。
風呂に入って大満足な俺。
さてさて後は飯まで部屋で一眠りしようかな。身体を拭きながらそんな事を考える。
ドンドン!ドアをノックする音で目が覚める。
「勇者様宴の準備ができましたよー。一緒に行きましょー」
ドアの向こうからサリィの声が聞こえる。
まだ寝ていたい気もしたがお腹もすいてきたので、ベットから起きながら
「そうですか、今行きますので少し待って頂けませんか?」
そう言うと、洋服を着て外にでる。
部屋の外に出ると、そこには先ほどとは違い、少し露出が多いかっこうのサリィが立っていた。
正直かわいい!
「お待たせしましたね、さて行きますか?」
「はい、皆さんお待ちしていますよ。」
俺はサリィに続き外にでると、村の中心にあるらしい広場に向かった。