偽者、村へ行く
村へはモンスターも出なかったこともあり、さしたる危険もなくたどり着くことができた。
まぁ実は俺が魔よけの水もってるからなんだけど。
それでも1時間近くは山道を歩いたため少しばかり休みたい気持ちではある。
村はやっぱりと言うか当たり前だけれど大きな建物はほとんど見当たらず、田舎町のそれであった。今日の宿大丈夫かなぁ。
サリィは勝手知ったる自分の村なのか、グイグイと村の中心に向かい俺を引っ張って行く。
「着きました」と普通の民家の二回りほど大きい家の前で立ち止まる。
「えーっと、なんか大きい家ですね!」
まぁどうせ、村長の家だろうけど。
俺がそう思っていると、サリィ満面の笑みで俺に尋ねてくる。
「村長の家です。一緒にきていただけますか?」
断る理由があるはずもなく、「えぇ、もちろんですよ」っと笑顔で答えサリィの後ろを着いて行く俺。
サリィがドアをノックすると家の奥から
「はい、どうぞー」
っと普通の家と変わらない返事が返ってきた。
まぁ田舎村の村長の家なんかそんなもんだよな。
「おじゃまします」とドアを開け、部屋に入って行くサリィに付いていくと、そこには、歳は50代後半くらいで、少しお腹はたるんでいるが身体つきはガッチリした男性が椅子に座ってていた。
たぶんこの人が村長なのだろう。
そう思っていたら村長らしき男も俺に気付いたらしく「サリィこちらの方は?」と尋ねてくる。
サリィは胸を張っりながら、
「私が森で怖い男の人に襲われていた所をこ
の方に助け頂いたんです」
そう言うとなぜか誇らしげな顔をするサリィ。
お前聖水溢してるの忘れてるだろ!
「そうですか、それは助かりました。この子はおっちょこちょいで心配してたんですよ
」
椅子に座りながらも朗らかにお礼を述べる村長さん。
「しかも、魔法使えるですよ。勇者様なんですよ。スッゴい魔法見ちゃいましたから。」とやはりなぜか誇らしげに話すサリィ。
「魔法?勇者?」
何故かポカーンと口が開いている村長。
そして、俺の顔を見るなり土下座を始めた。
「私はこの村の村長をしていますブラウンといいます。勇者様とは知らずご無礼な態度をお許し下さい」
といきなり謝る村長ことブラウンさん。
「そんなに畏まらないで下さいよ。私はまだ、なにもしていませんよ。」
とりあえず謙虚に出る俺。
「いえいえ、勇者様は私を炎の魔法で助けて下さったじゃないの」
「何?炎魔法だと!?確かゴメス様が最近この辺りを旅されてあると聞いていたが、こんな小さな村に来て頂けるとはありがたい。」
とサリィに言うともう一度俺の方をマジマジと見ると何故か顔が曇ってくる。
そして、サリィを呼ぶと部屋の奥に入っていった。