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未来へ続く道~Wings to flap~  作者: 禾楠
第一章
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運命の出会い?




ガチャ――バタンッ!


玄関に走り込み、勢いよく扉を閉める。

扉に背中を向けたまま、あたしは座り込んでしまった。



「す……すっごくかっこよかった……!! 何あれ!? いきなり現れて解決していっちゃった……!!」


「おかえり、深雪。夜は危ないから散歩にいっちゃだめだって言ってるのに……って、そんな所で座り込んでどうしたの……?」



そこに、あたしの家族……姉が、部屋から顔を出す。

あ、今更だけどあたしの名前は水城 深雪。


今年咲島高校に入学したばかり。

そんなあたしは、座り込んだまま姉である、水城 さくらに鼻息荒く話しかけた。



深雪「お姉ちゃんっ!!! 今ね、今ね!?」


さくら「はわっ!? と、とりあえず落ち着いて? 深呼吸して……」


深雪「深呼吸なんてどうでもいいっ! 今ね、変な人に絡まれたんだけど……すっごぃカッコいい人が助けてくれたの!!」



最近は、退屈な毎日に少し嫌気がさしていた。

だから、ほんの少しだけ……


何か、少女マンガのように運命的な事が起こらないかと期待して、危険を承知で出た、夜の散歩。


そしたら、本当に起きてしまった。

それもとびっきり、運命的な事が!!



さくら「ッ! 変な人って……だから危ないって言ってるじゃない!! 変なことされなかった? 大丈夫!?」



お姉ちゃんが怒りを露わにしながら早口でまくし立てる。

いつもの、おっとりとした様子からは想像できない。


本当に心配してくれてるのがわかるから、あたしはお姉ちゃんの事が本当に大好きだと思う。



深雪「大丈夫だよ……だって、助けてもらったし……♪」



少し頬を赤らめながら、夢心地で答える。

あたしはこの数分で、所謂一目惚れをしてしまったのかもしれない。



さくら「無事ならよかった……。でも、当分夜中の散歩は禁止だからねッ!!」



一瞬、安堵の表情を見せた後、すぐに怒って見せたお姉ちゃんは家の奥、居間へと小走りで入っていく。



さくら「お母さん聞いてよ~、深雪が……!」



お姉ちゃんの声が聞こえる。

どうやらお母さんからも圧力を掛けてもらおうとしているらしい。


これは、今の内に部屋に逃げ込んだほうがよさそうだ。

あたしはそう思って、すぐに部屋へと繋がる階段をあがっていった。



バタンッ――



部屋の扉を閉めると、あたしはすぐに勉強机の上で充電している携帯電話を手に取った。


高校の入学祝いに買ってもらった、真新しい携帯。

そのメモリの中には、家族と中学時代に仲の良かった友達、高校に入ってできた友達しか入っていない。



深雪「えーっと、美咲はっと……」



そのメモリの中から、中学からの親友で、高校のクラスも一緒になった女の子の名前を出す。

そしてそのまま通話ボタンを押した。



プルルルッ……ガチャッ――



美咲『はいはーい、もしもし? こちら貴女の美咲ちゃんだよー。どったのー?』


深雪「あ、美咲!? 聞いて聞いてっ!」


美咲『おぉぅっ……深雪、声おっきいよ……? ボリュームダウンプリーズ……』


深雪「それどころじゃないんだってばっ! もうすごかったのっ!!!」


美咲『私の鼓膜もそれどころじゃないんだけど……? まぁいいや。とりあえずあんたは主語を言えっ!!』


深雪「あのね、あのね!!」



騒ぎ立てながら、さっきあった出来事を話す。

知らない男の人に絡まれた事、それを助けてもらった事。


その人が凄く格好よかった事。

一目惚れしてしまったかもしれない事。


この興奮を、胸の高鳴りを、今すぐ誰かに伝えたくて仕方がなかった。



美咲『まぁたあんたは夜の散歩とか危ない事して……』


深雪「お説教はお姉ちゃんにもらったからもういらないよ!」


美咲『さくらさんも気苦労が絶えないなぁ……で、その相手の名前は聞いたの?』


深雪「へ? ……あーっ!!!!!!」



美咲に言われて気がついた。

あたし、助けてもらったのに名前聞いてない!!


動転してすぐに走り去っちゃったから……



美咲『深雪うっさい!! やっぱ聞いてなかったか。まずは人捜しからだねー、がんばっ♪』


深雪「うぅー、あたしのバカバカバカッ!」


美咲『はいはい、続きは明日学校で聞いてあげるから。今日はもう大人しく寝たら?』


深雪「うぅ~……」


美咲『ダメだこりゃ、聞いてないわ……んじゃ、バーイ♪』



ブツッ……ツーッツーッ――



一方的に通話を切られ、携帯からは無機質な音が流れる。

携帯を閉じて、ベッドに放り投げながらあたし自身もベッドに倒れ込んだ。




深雪「……はぁ……なんで名前聞かなかったかなぁ、あたし……」



名前を聞かなかった事を改めて後悔。

気が動転していたとはいえ、かなり手痛いミスだった。



深雪「歳は同じくらいだったから……多分高校生だよね……。うん、探せば会える。島に高校は2つしかないんだし。……よしっ! 後悔終了っ!」



自分に言い聞かせ、これ以上後悔する事をやめた。

後悔する事をやめると、頭の中ではさっきの出来事が思い出されていた。


変な人にからまれて……

力じゃ適わなくて、凄く怖かった。


あの時も頭の中では後悔していた。

何か起きないかな、なんて思って夜の散歩を始めた自分自身に。


でも、助かった。

知らない人が、助けてくれた。


それも、殴り倒すとかじゃなくて冷静に、まるで映画の刑事さんが犯人を捕まえるみたいだった。


ケンカとかは正直好きじゃないし、人が殴られる所を見ても怖いとしか思えない。

あたしからしたら、ボクシングやプロレスなんて何がいいのか全くわからない。


見てるだけで痛くなる。

だから、そんな所が自分の中で更にプラスに働いているのかもしれない。


名前もわからない、助けてくれたあの人。

なんて名前なんだろう?


彼女いるのかな。

格好よかったからいても不思議じゃないな。



深雪「……また、会えるかな……」



ポツリと呟く。

逃げるように帰ってきてしまったから、変に思われてないかが心配。


もしかしたら、怒らせちゃったかもしれないなぁ……

せっかく助けてもらったのに……


もう一度、ちゃんとお礼を言う為に……あの人を探してみよう。

まずは、明日咲島高校の全クラスを見て回ろう。


もちろん、美咲を連れて。



深雪「よしっ、お風呂はいろっ!!」



決意を新たにして、起き上がるとあたしは寝間着を手に持ってお風呂場に。


明日から、きっと忙しくなる。

でも、高揚したあたしの気持ちは、留まる事はなかった。




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