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あの世からのライン

作者: 神名代洸

僕の友達にラインをやってる奴がいて、話も合うものだから時々ラインを送ったりして遊んでいた。

そんなある日、いつものように誘いのラインをかけてみたのだが、今日はあいにくと用事があって来られないという事に。


『何だよ。つまんないな〜。じゃあ、今日は何しようかなぁ〜。』


僕は退屈だった。

だから適当な文章を作り、携帯番号でできるショートメールで送ってみたのだ。

返信なんか期待してない。まずもってつながるかどうかすら怪しかった。




しばらくするとラインが入った。

差出人は…謎だった。



誰?



そう思った。

差出人は…空欄だ。

そんなんで送れるのかと不思議に思ったのだが、そもそもが知らない相手。

放っておこうと思ったのだが、文面からして楽しそうに書かれているものだから気になってついついラインを返してしまっていた。

30分くらいラインをしてお開きしようという事になり、ラインを終えたのだが、最後の文面が気になって仕方がなかった。


それがこれだ。



【私貞子。楽しかったからまたラインするね。生きてる人とするの楽しいわ。】



貞子って??

巷で騒がれてる女児で殺されたのも確か貞子ちゃんじゃなかったかな?

そう思ったら震えがきた。

でもね?差出人の名前はやはり空白のまま。

誰とラインしているのか全くもってわからないときた。怖いよね。


友人が忙しいのはわかるが、こちらとしても早急に対応して欲しくてラインを飛ばした。

なかなか返事は来ない。

イライラし始めた頃になってようやく返事が来た。


『ヤバイよ。それマジもんじゃん。』

『はあ?何が?』

『お前さ〜、知らないの?貞子からのラインはマジヤバイ奴だって。都市伝説もあるくらいだよ。何でそんなのがお前のラインに来たんだよ。なんか覚えないのか?』

そう言われても思いつくとすれば1つしかない。

適当にショートメールで送ったアレだ。

それを書いて知らせると友人が、がっくりと肩を落とした姿が見えるような気がした。


『それだよ。何でそんなことやったんだよ。知らねーぞ!俺は。』

『そ、そんな〜助けてくれよ。』

『ならラインを変えるしかないな。ショップに行って聞いてこいよ。俺もそこらへんのことはわからないからさ。わかったらメールで教えて?そしたらまたいつも見たくラインできるからさ。』


その時ラインを知らせる音がなった。

誰かからラインが入ったのだ。


開く勇気がなかった。

もしかしてまた知らないラインだったら?

怖い。

自分、思ったよりビビリだったんだなって思った。

ドキドキしながらラインを見てみる。

やはり差出人不明だ。

貞子だ。

でも友人からこうコメントが入ってたんだよね〜。

貞子って書いちゃダメだぞって。

バレたらどうなるかわからない。僕だって怖い目に会いたくはない。

だから友人のコメント通りに返事を返した。

その間友人ともラインを続けた。


【なんかさ〜、あなた私のこと知ってる?】

『えっ?な、なんで?』

【そんな気がしたんだ。で本当のとかどう?】

『知らないよ。初めてラインしたし。どうして僕だったの?』

【だって教えてくれたじゃない。退屈だって。わたしもおんなななじだったんだだだよ?クスッ。】

『そ、そう…。あっ、ご、ゴメン。他の子からライン入っちゃって。ちょっと返事してくるわ。』

【……。】



【……。】




『ヤバイかも。返事探さないとまずいよね〜。』

『いっそのことブロックかけてみる?とか?』

『相手がわからないからどうしたらできるのかわからない。』

『まぁ、確かにそうだよな〜。』

『とりあえず返信してみるよ。怒らせるのも怖いからさ。』

『ああ、そうだよな。』

『じゃあな。』



『悪い、終わったから。』

【……。】

『ど、どうかした?』

【話した…でしょ?】

『えっ?何が?』

【見えてたから…私の事話したでしょ。私の名前知ってる?】

『えっ?な、何、かな??』

【お兄ちゃん、嘘ついたらダメだよ。私わかってるから。】

そのコメントを見て僕は額から汗ががこぼれ落ちるのを感じた。なんで?わかったの?頭が回らない。

怖い、怖い、怖い。

【私これからお兄ちゃんのところに行くよ。待っててね〜。】



これ以降しばらくラインはなかった。




怖くなった僕は友達にラインを送りショップへ出かける準備を始めた。

するとまたラインが。

僕はてっきり友人だとばかり思っていたからつい携帯見ちゃったんだよね。

そこにはこう書かれていた。


【今、あなたのアパートの前に来てるのよ。待っててね。】


その文章を見てすぐに部屋を飛び出した僕は周りを伺いながらコッソリとアパートを出た。

ショップまでは車で行く事になる。

でもこの駐車場からだと貞子に見つからないかと不安になり、普段使わないバスで店の近くまで行く事にした。


【今、あなたのバスを追いかけてるところよ。どこ行くの?クスクス。】


恐怖しかなかった。

あと一歩でも遅かったら貞子に捕まったかもしれない。そう思ったら体がガタガタと震えてきた。

バス停からは徒歩5分ほどの道だ。

その時間さえも欲しくて僕は走ってショップに入り込んだ。

ショップに入ったはいいのだが、混んでて店員は皆客に張り付いていた。

僕はイライラしながら順番を待った。

その間もラインが入る音がした。


見ることはできなかった。

どうしよう…貞子がここに来たら…僕どうなる?

不安で心が押しつぶされそうになった。

、とその時店員が僕のところにやって来た。

ようやく順番が回って来たのだ。

僕はまくしたてるように店員に話し、すぐにラインを変えて欲しい旨を伝えた。

するとその時ポロンとまたラインの音がした。

顔が引きつってるのはきっとわかってるのだろう…。

今あるラインを消して、新しいラインを入れなおしてくれた。

すると音は鳴らなくなり、ようやくホッとすることができた。



そして今、用事を済ませた僕は友人にメールしてラインを新しくしたことを教えた。

友人からはラインに必要なコードを教えてもらい、また新しくスタートすることができた。


その後どうなったかって?


謎のラインは入らなくなり、貞子の呪縛から解放された。




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