4話 シャルロット・グランバニア
「ももも、申し訳ありません!」
「なに、気にするなって。来てくれただけでもありがたいんだから」
「はぁはぁ...ふぅ」
少女は息を整えてから自己紹介をした
「申し遅れました、私はグランバニア家3女のシャルロット・グランバニアというのです。気軽にシャルとお呼びくださいなのです。武器は剣を使うのです。盾の勇者様、杖の勇者様、よろしくなのです」
「グランバニア家っていうと、あの名門貴族のご令嬢か!?」
酒場のおじさんはその名を聞いて俺達も驚いた
「おまえ、貴族なのか?」
「あ、はいなのです!といってもお姉ちゃんにいじめられてばっかりで、大変ですけど...」
「本当に驚くことばかりですね...そういえばあなた大丈夫なんですか?」
「へ?何がでしょうか?」
「いや、だって盾と杖ですよ?」
「?、はい、存じてますが?」
...これは理解してないな
「いいか?俺達は直接攻撃することが出来ない。俺は攻撃力がないし、優花さんは防御力がない」
「優花でいいですよ?私も一馬と呼びますので」
「そ、そうか」
一馬は少し恥ずかしそうにしていた
「それでだ、このパーティだとお前...まぁシャルが前に出ないといけなくなる。なぜなら、俺は優花を守るために、少し下がることになる。優花は防御力がないから一撃で殺される可能性もなくはない。」
「「!?」」
「そう考えるとお前が前に出て戦わないと、俺達はこれから先の戦いに勝つことが出来ない。最悪シャルが死んでしまうかもしれない。それでもいいのか?」
「はい!覚悟はできてるのです!」
シャルロットは即答した
「それに、私にはこの子がいますから」
「「この子?」」
そう言うとシャルの後ろから、小さな鳥のような動物が姿を現した
「紹介するのです!この子はピリカというのです」
「キュア!」
「お嬢ちゃん、ビーストテイマーなのかい!?驚いたねぇ。そんな年でもうフェザーリドラなんて」
一馬と優花は不思議そうにしている
「ビーストテイマーとかフェザーリドラってなんだ?」
「あんちゃん達そんなことも知らないのか?」
「何分異世界から来たんでな、ほとんど知らん」
「ビーストテイマーってのはこの世界の職業の一つだ。色んな職業があるが、ビーストテイマーはランクSのレア職だ。それにフェザーリドラなんてランクAの激レアモンスターだぞ?ちなみにランクはF〜Sまであるぞ」
「...ちなみに盾の勇者と杖の勇者は?」
「一応Sにはなってるが、実質初期はFだな。他の勇者は全部Sだ」
なんてこった!
ほんとに職業で負けてやがる
「だからといって俺は弱いとは思わんがな」
「どういうことだ?」
「盾の勇者っていうのは、複数人を同時に守れるスキルを覚えられる。Lvを上げな。Lv5になればすぐにでも覚えられるぞ。あんちゃんの懸念も払拭されるわけだ。つまりあんちゃんの頑張り次第ってこった」
「俺の頑張り次第か...」
「俺は応援してるぜ?なんかあったらうちに来い。防具とか道具を買うならオススメを紹介してやる。これでも元冒険者なんでな」
「だから詳しいことも知ってるのですね」
俺達は知識からしてあいつらにまけてるんだな...
「そうだ!あんちゃん達ギルドで冒険者登録してこいよ」
「冒険者登録?」
「おうよ!そこに行けばギルドカードを作れるから身分証代わりになるし、金の貯金とかもそこで出来る。ステータスも他人のやつを見る時に、パーティにならなくても見れるんだよ。冒険者ランクってのもあるけどな。それはF〜SSまであるぞ。本とかも色々あるから、情報も得られるはずだ」
「じゃあまずはギルドに行こうか」
「そうですね」
「あのぅ!」
「「?」」
「私は仲間にしてもらえるのでしょうか?」
一馬と優花はお互いを見合って笑い出した
「ど、どうして笑ってるのです!?」
「なんでそんなこと聞くんだよ」
「私達がいつあなたを拒んだのですか?」
「むしろちゃんとシャルって呼んだしな」
「で、でも...」
「なんだ?一緒に来たくないのか?」
「そそ、そんなことはないのです!これから先、迷惑をかけるかもしれないのですが、よろしくなのです!」
「先に言われると断りたくなるな...」
「ふぇぇぇ!?」
「コラ!一馬!冗談はやめなさい!」
「なんで命令口調なんだよ!?ってかその口調どっかで聞いたような...」
「!?...いいから早く行きますよ」
「あ、誤魔化しやがった!ったく...行こうぜ、シャル」
「あ、はいなのです!」
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「ふぅ...」
一息ついた酒場のおじさんがふとため息をついた
「こりゃあ今後は面白くなりそうだな」