白妙の猫は道を選ぶ
太「こうして間隔を空けて投稿するとさ~、書き方を忘れる事が多い!」
伝「要望があれば、全部手直しが必要よね~(;'∀')」
太「その手直しが面倒で、爆走してるんだから、どうしようもない…」
伝「この前フリの会話もある程度、調子が出たら書き直すんじゃない?」
太「今回は猫たちのセリフが『』から、――――に戻ったね」
伝「少し読み直したら、ああっ!って作者が絶叫したみたいよ? 焦っております。はい」
太「内容を大体忘れてるから、読み直すと新鮮な気持ちになるんだよね!」
伝「本当に何とかせんとな…(;^ω^)」
訳の分からない生物と云えば、恐らく人間以上の存在はおるまい。
道具を生み出し、環境に順応するのではなく、変えていき都合の良い世界を作りだす。
そんな発想をする生命体は他にいないし、いたとしても争いにしかなるまい。
まだ人間の手が入っていない森の奥で、私は人間の娘に出会った。
その娘には白い月を思い出させるような…魔力を帯びた美しさを感じる。
その恐ろしさに牙を立て、消そうとするが…軽くいなされてしまった。
「疫病が広範囲に広がる~何て云うのは、結局人の責任だからね。そこに巻き込まれてる他の種族はいい迷惑でしょうね~」
人間の言葉と云うのは、そもそもの概念が違うせいか、何を言ってるか理解に苦しむ。
理解出来ないのであれば…常に適度な距離を置いていれば良い…と、同じ場所に住みながら、違う世界を構築すれば良いと…
場所も移動しておらず、先程まで殺意を向けていた相手に、その娘はリラックスした様子でくつろいでいた。
――――そんなつまらない事を責めるつもりはない。そちらにはそちらの都合があるのでしょう?
「恐ろしい程に割り切ってるのね…猫たち全体がそんな思想を持ってるの?」
この問答も何度目だろう? 人はいつだってそうだ……これが好奇心という物なのか?
切り替えの早さなら、そっちの方が凄いだろうが…やれやれ…
人間の気にする事ってのは、いちいち理解に苦しむ。どうしてそこまで、他者の事が気になるんだろう? 理解は出来ないが…それでも私なりに答えを考えていく…
――――う~ん……知らないね…他の奴らの事なんて…群れる事自体がないからね。
そもそもが、猫にとってはその日一日を生きる事で精一杯であり、気にするぐらいだったが、その日の飯を心配している方が建設的なのだ。
「隣にいる黒猫は連れじゃないの?」
――――こいつ? ……ただの気まぐれよ。
――――気まぐれなんですかっ!
「あっはっはっはっはっ!! コチみたいな事言ってる♪」
……何をショック受けて落ち込んでおるんだ? 落ち込んで、トボトボと横を歩かれても鬱陶しい…ああ~~どう伝えれば良いんだろう?
娘は娘で、何かツボに入ったのか笑い転げてるし~~もう~!!
――――私は、誰かに憐れみを掛ける趣味はないの。あの時助けたのは、あんたに未来を感じたからこそ…自分だけでも生きていけるようになって欲しいから…今はまだ慣れ合うべきじゃないと思ったのよ。
――――うううっ……姉御~~~!!
さっきまで泣いていたのがウソのように、感極まってこっちにすり寄ってくる。
……こいつは本当にあいつの妹なんだろうか? 性格が全く真逆で驚いてばかりだ。とはいえ、一度気まぐれで引き受けた以上、最後まで面倒見れるか…不安だ…はあ~
――――それで…一体誰に会わせようと言うのよ?
「ああ~それはね~私が仕えてる神様に会ってもらおうと思ってね」
――――神様だって? また胡散臭い名前の奴が来たわね…
神様って、確か人間たちの幻想上の生物であろう? と疑わしそうな眼差しを向けると、その女は爆笑していた。
夜の静寂に響き渡るその声は、森の隅々まで響き渡り、動物たちを驚かせている。
「巫女である猫がそんなセリフを口にするなんて、意外ね?」
――――その巫女って奴も、私には分からないのだけどね? 一体なんなの?
「さあ~~? 全然分からないね~♪」
――――あんたもその巫女じゃないの?
「その筈なんだけどね~自覚がない♪」
ニコニコと、最初の印象とは打って変わった明るい雰囲気。夜も更けて、どこからかフクロウのような怪しい鳴き声も響く中、スキップして歩いてる…
……こんな奴に仕えられてる神様って…もしかして、苦労性なんじゃないだろうか?
――――姉御~こんな奴について行って大丈夫なんですか~?
――――多分…大丈夫だと思う。変な奴だけど、あのアデリナと同じモノを感じるのよ…
それは、猫である自分と平気で会話出来るのもあるのだが…それによって、どこかで繋がってるような不思議な感じがするんだ…これは一体…?
――――アデリナ? って…さっき家の中で倒れていた人?
――――えっ…ええ…そうよ。
あれ? こいつにアデリナの事説明…殆どしていなかったな…弱ったね…
先程から頭の動きが鈍い…これも空腹なのが原因だろうか?
何か得体の知れない、焦りのような焦燥感を感じてる…これは何だ?
――――今は黙ってついていきましょう。
彼女の向かう先は街の方向だが…気配を探れば、彼女以外にも誰かがいる…
こちらが風下だからか、街の人間とは違う異質の空気を感じる。
この娘と同じ…いや、同じだが…違う空気を纏っている。これは、あいつと同じ空気…?
――――
――――――――
「お前はいつになったら、巫女としての自覚が芽生えるんだ? いきなり飛び出したかと思えば…変な猫を連れて来たな?」
――――こいつ‥‥‥初対面の癖に、失礼な奴だな…?
「あっはっはっは~♪ それでも、お目当てのものを見つけたよ?」
この男は一体なんだ? 何やら不機嫌そうに口元をゆがめているが…
服装は船乗りが好む、風でも靡かない厚手の布地に、皮の帽子に風よけのゴーグルをつけてる。手には真新しい弓に…背中には大き目のリュックを背負ってる。あれ…? 矢筒を持っていないのか…
「………ほう…猫の癖に喋るとは…変わった奴だな?」
「私と同じ巫女みたいだよ? 多分この街の神の…」
「そいつは都合が良い…どこにいるのか探しても全然いなくてな…困っていたんだ」
――――うん?
この二人は、一体何を言ってるんだ? ミルクと二人で首を傾げていると、向こうさんは何も気にせずに話を進めてくる。
「お前が仕えている神様は、今どこにいるんだ? こちらとしても他所様の縄張りで、神として活動する訳にはいかなくてな…結構窮屈な思いをしてるんだ」
なんなんだ…この男は…こいつが神という奴なのか? 普通の人間のように見えるが、違うかも知れない。何か半端な感じのする…あいつとは違う気が…?
――――あいつ? あいつって…私は誰の事と比べているんだ? 何だこれは…一体…
「おいコチさん、コチさん…そんな初対面の人間に鬼気迫った顔で訊かないの…ちょっと、マルティたちが倒れて余裕がないからって…」
「くっ…! 分かってるよ。そんな事は……」
猫の耳には聞こえる、わずかな鼓動の乱れに、息遣い。それに…この微弱な体の揺れ…
敵意のようなモノではないが、その様子にミルクも少し不安そうに震えている。
とはいえ…街の人間よりも理性的な部類に入るのだろうな…
「でも、マルティは大丈夫だったのでしょ?」
「そりゃな…だが症状が重かったんだぞ……リンが処方した薬が無かったら危なかった。小康状態まで回復したのが奇跡だ…俺は治療専門の神じゃないんだぞ~全く…」
森を抜けて、街まで後少しの場所。猫である自分たちにとって、街は危険であった。
そういった気遣いも感じており、信用している処がある。
――――話を元に戻すけど、この街の神って何の事? 私には覚えがないんだけど?
「えっ……!?」
そんな、ハトが豆鉄砲を食らったような顔をされても…こっちも困ってるんだけど…
もしかして新薬が開発されたのか? リンって名前はどこかで聞いた気もするけど…
――――新薬が出来たのなら、もう自体は解決したとみて良いのかな?
「材料が足りないんだよ。必要なのが東の山脈を越えた先の植物が必要らしいが…今更そんな時間もないんだよ。荷運びする人間も全員倒れて…今回に限って言えば…出遅れた」
――――そうなのね……
どうやら、私の知らない所で彼らは彼らで、事態を何とかしようとしていたみたいだ。
向こうの事情も訊いておきたい所だが、今はそんな時間もないだろう。深くは訊かなかった。
「そんな時だ…病院の方で神の力が行使されるのを感じてな。リンが追いかけてみたら、見つけたのが…君という訳だ…」
――――そんな記憶は…ないぞ?
「そうか? だが…病院のスタッフは、君のおかげで快方に向かってるそうだ。ただの巫女とは思えない、凄まじい力だ。よほど、今代の神からの信頼が厚いのだろう」
――――そう…なのか? アデリナは無事なんだな?
それを聞いて、ホっとしている自分がいる。正直、神だとか巫女だとか言われても訳の分からない事ばかりだが、それでも助かってくれた存在がいて救われている自分がいる。
「俺の知っている限りだが、この街の神は代々、生命の灯である火の神が降臨する筈なんだ。
君は神ではないが、神の力を行使する事が出来る。それを踏まえてお願いしたい…」
――――何を?
「――――この街を救ってやってはくれんか?」
それは、救いへのいざないなのか、それとも踏み越えてはならない破滅への道なのか?
大事なモノも見つけ出す事が出来ない自分に何が出来るのか…そんな疑問を抱いたまま、私は進む事になる。




