太陽さんの晴れ舞台! その1
太「伝記さんは恋ってしていますか?」
伝「おいこら…それを私に言うとは…ケンカ売ってるのか?」
太「いえいえ…チロさんの恋も、コチさんの恋も真面目に考えるとドキドキするな~って」
火「何故こっちに飛び火した! あとちゃんと火と風と呼んでくれ!」
巫「大体が、この前書き本編に関係ない話が多くなったわね~」
太「関係はあるんですよ~ 作者が別に恋愛小説書いてたからこっちの完成が遅れちゃったんですもの…」
伝「恋愛小説……この作品とは随分毛並みが違うものを…大丈夫なの?」
太「要望があれば、どっかで公開するそうです~一応自信作とか…」
猫たちの集会場を後にして、私たちは北街へと戻ってきた…
一寸先も見えない暗闇の中、強く握られた手だけを頼りに前へと進んでいく。
「目的地はまだですか~?」
「まだかかるわよ~ 裏道通って遠回りしてるからね~あなたがその格好見られたくないって言うから~」
「あう~~~(;^ω^)」
アデリナさんから貰った地図を片手に軽い足取りで歩き続けるソフィアさん…
大股になって歩いても、追いつくのがやっとのスピード…
「何か雲でもあるのかな…月明かりも出てないんじゃないですか?」
「表通りにいけば街灯ぐらいはあるわよ? まあ時間も時間だから人通りも少ないでしょうが…」
もうすぐ冬なのに、まだまだ暑い熱気と、少しだけ乾燥している空気。握られた手と、足元に感じる石畳の感触だけが、今のボクの世界だった…
…………
「ああ~何でこうなっちゃうのかな~もっとまともな格好だったらな~」
わざと大きな声を出して、飢えを見上げても何もない…裏通りならきっと、狭い空が広がってる筈なのだが、やはり何も見えない…
「……猫の見上げる空はもっと違うんだろうな…」
――――当たり前でしょ? 私たちは人間よりも小さいし、視力も違うからね…
「うん…きっと、見える世界も全然違うんだろうな…って。人間はきっと、他の動物よりも盲目なんだろうな…色々な事から…」
誰かに引っ張って貰わないと行先も分からない生物という存在。
だから、神という存在が人を引っ張っていくのだろうか?
―――神とは、一体何のための存在なのだろうか…?
「ボクにはどう足掻いても、猫の世界は見えないのに…どうやったら…」
ボクには彼らの言葉が全て、にゃ~にゃ~と可愛らしい声にしか聞こえないよ…!
――――
――――――――ゴンッ!!
「あいてっ!!」
いきなり、何の前触れもなく頭が何かにぶつかる…この鼻を突きさすような錆びた臭いと…固い感触は~
「あっ…ごめん…もうちょっと道 の真ん中に寄れば良かったわね…」
「この感覚は…看板ですか? もしかして…」
「そそ…裏路地の酒場のモノね……目的地に着いたわよ~」
「もうですか…うううっ…ありがとうございます…送ってくれて…」
ズキズキと痛む鼻を撫でながら、お荷物の自分を運んでくれた事に礼を伝え、ソフィアさんは酒場のドアを開ける…
「何か集会でもしているのかな? 話声が聞こえてきますよね…」
「猫好きの集まる酒場らしいからね~」
「見た目はわりと渋めな酒場っぽいのに…なんてギャップだろう…(;’∀’)」
ドアノブのない両開きの扉。蝶番が軋む音が聞こえたと思ったら、室内から淡いランプの香りと黄色い光に眼を細める…
足を踏み入れれば、黒い染みが広がる床板が軋みをあげた。
ここれはポーチなのだろうか? もう一枚扉が向こうにあり、その横にはオシャレな金属のメニュー板が立てかけられており、地味で目立たない外装とは違い、歴史を感じるがとても綺麗な内装だった。…それは良いのだが…
「あれ? 酒場なのに…お酒もたばこも臭わない?」
どこの世界にそんな酒場があるのだろう? と首を傾げていると…
『ウォォォオオオオオオオオオオ!!! これは檄レアな…』
『こちらの縞々ネコのたるみきった顔もなかなか乙ですぞ!』
『茶トラが一番に決まっておりますぞ! この奥ゆかしさが分からぬのですか!』
『ぽっちゃりこそ至高なのだ!!』
…何やら扉の向こうから、狂気を感じるような歓声と議論が響いていた…
…………
『猫ちゃんが一番可愛く見える角度とはどんなモノなんだ・・・!』
『それは熟考すべき懸案ですな…』
『むふふふ…ネコちゃんのヒップ…美しいですな…』
「…………」
「…………」
しばし放心してる間も、議論は続いていたらしい…
「帰りましょうか…」
「そうね~ 宿をとって戻りましょうか…うん…」
ここで何かを食べた訳でもないのに、何かお腹いっぱいになっちゃった…あ~あ
外に出れば、空には満天の星空が(視力が悪くて全然見えないが)広がってる…
「外の空気は美味しいな~」
「そうね~」
――――あなたたち、アホみたいに現実逃避してないでいきなさい~~
そう言いながら、迷わず音も無く回れ右をし始めるチロさん…おいおい(;^ω^)
というか、尻尾を大きく膨らませて完全にビビってるじゃないか…!
「そういうチロさんだって、逃げ出してるじゃないですか!?」
――――あんなキチガイ共と遭ったら、私がどうなるか想像できるでしょ!!
「そりゃまあ・・・どうなるか想像できるけど!!」
「あなたたちさっさと中に入って、仕事してきなさいよ~」
ソフィアさんなんて、すでに他人の顔をして関わろうとしないし~
特にもみ合いへし合いをしている…訳ではないが、ポーチで騒げばそりゃ~、注目を集める訳で…
「どうするんですか…もう~~!!」
「そんなもの、店内に入れば良いのではないか? 同志よ!!」
「誰っ!?」
いきなり、店内への扉が開き。どこかで聞いた事のあるような野太い声がしてきた…
ランプの明かりをバックに仁王立ちし、太い腕を組んでいるその姿は…
「んっ? おおぅ!! そなた達はっ!!」
「あの時の、貨物船に乗ってた人……なのかな?」
終始、気絶してる状態しか見てなかったから、どうにも自信が沸かない…のもあるがそもそも…
「ネコミミカチューシャ……」
何かが…そう何かが可笑しいな~と思ったらこの人、タンクトップに猫耳してるよ…
そういえば、この人の船の荷物って…マタタビとかネコの遊具が積まれていたんだっけ?
――――つまりはまあ…そういう事なのであろう!
「あの時は気づいたらそなたらはいなくなっておって…満足に礼も出来なかった…本当に感謝している…」
「いえいえ…救助はほとんどコチさんがした事で…ボクなんて大したことはしてませんよ…それに治療も…」
そこにいる白猫が…と告げようとした瞬間、頭の中でチロさんの声が響いてきた…
――――アマノ…私の事は伏せておいて? 私も神の端くれだからね…正体は秘密にしているよの…
…………ああ、そういえば…忘れていた(-_-;)
「ああ~えっと…病院の先生が治してくれたんですよ?」
自分でもわざとらしい口調だな~っと、思いながら言い訳を続けると、その人はどうやら細かい事は気にしないタイプの人間だったようだ…
少しだけ首を傾げて、何事かと考えていたようだが…
「まあ、そのような事は些細な事か…さあさあ、こっちへ来てくだされ…!」
「えっ?? えええっ!!」
明るく豪快なテンションに圧され、こちらが何かを言う前に、肩を押されて中へと誘われていく…
「ちょっとちょっと…ボクにだって心の準備があるんですよ!!」
さっき店外へと響き渡った物議の様子…いや…特に猫に愛着のない人間には近寄りがたい雰囲気があるんだよ~~~
――――いやいや…あんたは人間じゃなくて、神でしょ?
「ああそうか…だったら大丈夫か~~って、そんな訳あるかっ!?」
思わずその真理に手を叩く気分になり納得しかけたが…問題はそこじゃないよ!!
中に入れば…酒場なのにお酒の香りも、ヤニ臭さも感じない。
家具や調度品に特徴もないが、白い花瓶に赤いポリネシア。
木目調のカウンターに、イス一つ一つに敷かれたクッションと、ナプキン。
「このネコ…少し毛並みが悪くなったのではないか?」
「うむ…早急に病院に連れて行かねば!」
そこで大の大人たちがカワイイネコミミカチューシャをして、どの猫がイイとか、この猫が好きだとか、真剣な顔で話しているよ…(;^ω^)
そして、まだ誰もこちらに気づいてはいないようだ…
「何となく…ボクが入っても大丈夫な状況なのかな?」
「当たり前であろう」
こういう和気あいあいとしている雰囲気にいきなり分け入るのって、勇気がいるのよね…
カウンターの向こうには空の酒瓶が調度品として並び、隣には綺麗に磨かれた大き目のグラスが沢山。
天井にぶら下がるオシャレとも言えない大きく武骨なランプ。
所々、黒い染みが抜けない壁板やランプのセンスが酒場かなと思うのだが…ファミリー向けの喫茶店? と呼んで差し支えない雰囲気だ…問題は…!!
「壁も猫の絵で一杯ね~まるでアイドル追っかけしてる人の部屋みたい…」
「なんで、クッションもナプキンもグラスも…猫のマークが散りばめられているんだ!」
僕とソフィアさんの二人の声にやっと反応した客たち…一斉にこっちに視線が集まる…
おう…皆全員ネコミミカチューシャしてるよ…女の子なら似合いそうなのに…なんで筋肉隆々のおっさんたちが…!
「「「「うおぉぉぉぅ!! これは…!! 同志よ~~~(*^^*)」」」」
そして何故か?こちらを見て嬉しそうに興奮した面持ちで絶叫しているんだ?
ていうか…おっさんがカワイイ顔文字使うと違和感が…(-_-;)
「凄かろう!! これは吾輩が全国を回りかき集めた品々なのだ!」
「ああ…そうなんですね~へえ…」
すごいな~とは思うが、何だろう…うん、理解し難い物があるなと、少しだけ彼と距離を開けながら、どう話を切り出せば良いか悩んでいたら…
「何を感心なさるか…吾輩から見ればその衣裳…一体どこでお求めになったモノですかな? とんと拝見された事のない一品…是非販売元を訊ねたい!」
「ああこれですか…う~ん、何か奇人変人から貰ったのですが、よく覚えていません」
「あっ、すでに自分の衣裳に動揺しなくなってる……」
当たり前だよ~もうこれでいちいち恥ずかしがるの見てる人も飽きるよ、そろそろ…
確かにこの衣裳のおかげで、ネコミミ軍団の警戒心は解けているのは感じる…
この衣裳で仕事が来たと思えば無駄ではなかったのか、それとも…
「そういえば…コチさんが……この衣裳を何で妹が着なきゃいけないんだ? とか真っ白になりながら嘆いていたな…」
噂をすれば影というが…その妹さんもこの街に来ていたりするのだろうか?
同じ雰囲気の黒髪の女性であるナルカミさんもここに来る途中で顔を見たが…まさかね…
太陽さんの晴れ舞台…次から本格的に始まります~
まあ…基本は羞恥プレイですな…!




