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東風と太陽~神話?はこうして創られる~  作者: 三神 凜緒
第二章 白妙(しろたへ)のネコは気位が高い
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錬金術師とネコ

雷「皆様、このような所まで足をお運びくださいまして、誠にありがとうございます。

つきましては、この度、副音声を務めさせていただく雷神です」

太「どうも、前回に引き続き登場の太陽です。この後、もう一人合流する予定なんですが、まだ来ていませんね」

雷「あの方なら、次の集まりには来るでしょう。それよりも、この章では、ネコが主な演じ手のようですね」

太「そうなんですよね。この白妙しろたへのネコがメインの章です。

しかし、この白妙しろたへって何ですか?」

雷「それは、次の回で説かせて頂きます。いささか長けしくなるので」


「あなた、何時の間に忍び込んできたの?」

緑茶モドキの製造や、新しい神の為に神具を作り。果ては、友達の妹の為にこれまた同じ神具をもう一度作って。

色々あって、ようやく三日ぶりの睡眠をとったのだが……


一体、どれだけ寝ていたんだろう? 

目が覚めると目の前に、白ネコがベッドの上に鎮座していた。

何も言わず、ただじっとこちらを見つめている縦長の瞳孔。

「……もう朝なの? はあ~~、まだ疲れが抜けないけど、ゴハンでも欲しいの?」

どうしてワタシがよそのネコへご飯を世話しなくちゃいけないのか。

この子には一応、帰るべき家があるんだけど、活動範囲が広すぎてよその町に出掛ける事もしばしば。

ゆえに、それぞれの町や村に自分が休める場所を設けているらしい。


何を食べさせればイイのか。寝ぐせだらけの髪を掻きあげながら、自分と同じので良いかと、冷蔵庫に入れてあるパンとベーコンを取り出し焼き始める。

「猫って、あまりしょっぱい物を食べさせない方が良いって言われているけど……別にいっか………えっ、良くないって? ゼイタクな」

せっかく賞味期限が切れたベーコンを処分できると思ったのに、食べたくないのであればしょうがない。

「この前、ヨミから貰ったシカの肉があるけど、それで良い?」

今度は色よい返事が貰えた。一応、火を通してから出す事にしよう。

その行為に、今度も白ネコから肯定する声が聞こえた。



「あなたたちネコから見たら、ワタシたち人間は滑稽な存在に見えるんでしょうね」

皿に盛り付けた焼いたシカ肉を美味しそうに頬張るネコ。

寝ぐせも直さず、生着姿のままトーストとベーコンを口に運ぶ。

「やってみると分かるけど、薬剤師は沢山の人を救う。その代わり沢山の人を殺している」

焼き加減は……イマイチだな。全体的に、焼きが足りないね。

もう一度焼き直したいけど、面倒臭いんだよなあ~~~

「あなたたちネコは、滅多な事では争わない。それは、死に繋がる怪我のレベルがワタシたちよりもはるかに低いから」

ネコの恩返しという事で、この子にやって貰えないかなと頼んでみたけど、すげなく断られた。



「野生のネコはどうしても爪が汚れる。そんな爪で引っ掛かれたら、例えケンカに勝っても、傷が膿んで、治す事も出来ず死んでしまう。

手足の骨が折れれば、走れなくなり獲物を獲る事も、逃げる事も出来なくなる」

ちょっとした事でも、死に繋がる世界に彼らは生きている。

だからこそ、彼らは無益な争いはしない。その生き方にワタシは尊敬を覚える。

「それに比べて、ワタシたちは傷が膿めば消毒し、骨が折れれば繋ぎ直し、安全な家の中で安静にしていればいい」

だからこそ、ワタシたちはくだらない争いを繰り返す。中々死ぬ事が出来ない技術を確立してしまったから。

それが最終的に自分も死ぬ事になるとしても、それをイメージしにくくなる原因になるのが、医療の発展だ。

医療の発展と云うのは、人の死ぬ場合を極限まで低める。

それが良いのか悪いのか、ワタシは常に自問自答を繰り返していた。


「―――? それならなぜ、薬剤師を続けているのかって? それは生活の為に、何て答えは期待していないよね。ふ~~ん、どうしてだろうね?」

しいて言えば、感情の赴くままに選んだ結果だろうか?

このネコは、ワタシに呆れているのかな? その表情からは何も読み取れない。

「ただ、そうだねえ。医療が発展しなければ人は争わないかって訊かれれば、おそらくそれでも人は争いを繰り返す」

この世界に飢えがある限り、差別がある限り、農耕によって土地に特別な価値を持たせてしまった限り、人は争いを繰り返す。

ネコにも縄張り意識があるようだが、人のそれに比べて随分と緩く、縄張りが重なっても目線を合わせず、意識の外におく術を持っている。

「本当にあなたたちは凄いよね。多分、人間には真似できない」

だからこそ、ワタシはネコが好きなのだ。そして、尊敬もしている。



ネコの世界は本当にどうなっているんだろう? 

飢えが進めば小競り合いぐらいは起こるだろう。個人レベルの差別意識はあるかも知れないが、種族レベルの差別意識はあるのだろうか?

目の前には、食事が終わり、顔を洗っている白ネコが一匹。ワタシもまた食後のほうじ茶を飲んでゆっくりしていた。

やがて、突然やって来た猫は、前触れもなく再び姿を消していた。

綺麗に舐めとられた皿だけを残して………

「おかしいわね。普段はもう少しゆっくりしてゆくのに」

そう呟いた時だった。部屋の静寂を破るようにハトの鳴き声が響き渡ったのは。

どうやら、また何か依頼が来たようだ。

「はいはいはい、今開けるからもう鳴かないの。ええっと、大量の絆創膏と傷薬を宜しく? 何に使うのかしら――――って、そういえば、もうすぐ彼らの健康診断の季節だっけ?」

だから、あの白ネコは急いで帰ったのか。仲間を率いて、今度こそ人の魔の手?から逃れる為に………

「………どちらもストックがあるから、もう一度寝直そう」

第二章の開幕です。

頑張って、体力が続く限りは、二日か三日置きに更新したいです。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 頑張って、体力が続く限りは、二日か三日置きに更新したい。そうできるといいですね。猫、抱っこしたいな。もふもふ。
2019/11/10 13:40 退会済み
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