表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東風と太陽~神話?はこうして創られる~  作者: 三神 凜緒
第一章 太陽さんの長い一日
33/72

泥沼の戦いに見える光明

太「うお~~~でりゃ~~」

伝「何やってるの、あなた?」

太「いえ、ボクも伝記者さんみたいに過去の自分に念波を送れないかと思いまして」

伝「何をバカな事をやってるの? そんなこと出来る訳ないでしょ」

太「そうでしょうか? 突っ込みはしませんでしたけど、伝記者さんは度々やっているように見えましたけど」

伝「無駄に疲れるだけだから、やめときなさい」

太「??? どういう事ですか? 巫女さん」

巫「多分、自分以外がそんな事をすると、自分に不利益を被ると思ってる」

太「ああ、なるほどね」

「…………」

「……………」

「………………」

彼女の国の遊びをして、勝負を決める。

それは大変ケッコウなのだが……問題ないんだけどさ………

「……また、遠くに飛びましたね」

「うが~~~っ!!」

通りの真ん中でボール遊びは危ないという事で、近くの公園にやって来た。

勝負する遊びの名前は『ケマリ』という。とても難しい遊びみたいだけど、勝算など関係なくボクは挑んだんだ。


「同じてつを、幾度踏み続けるつもりですか? ただ一度ひとたびとてこちらに毬が渡らないのですが?」

「そっちはどうして、そんな動きにくそうな格好で、器用にボールを蹴れるんですかっ!」

公園に場所を移したもう一つの理由は、ボクの目が見えにくくなったから、街灯の多い場所でやりたいと言った事もある。

「神は世のことわりあゆがす者。なれば、毬の動き一つぐらい捉えなさい」

「それを捉える為に、このマリ?にあの赤い石を埋め込んだのは判るんですけど……」

それでも無理なものは無理なんだと、ボクは断言しよう。

そうなんだよね。街灯を多くしても、ぼんやりとしか見えないから、急遽、目印としてあの神具にも使われている赤い石を埋め込んで、自分の力を込めたのだ。

するとどうだろう、目を瞑ってもあのマリの場所が判るようになった……


「つもりなんだけど……それでも無理なものは無理なんだと、ボクは断言しよう」

「どうして、心の中とセリフで、二度も言ったの?」

「大事な事だから、二度でも三度でも言おうかと思いまして」

「三度目は止めておきなさい。鬱陶しいから」

それにしても、ホントにどうしてこの人には心の中の声が聞こえるんだ?

不気味だなと思うけど、それよりもナルカミさんの様子がおかしい。

大きくため息を吐き、頭を抱えて何か悩んでいる。

「要約しちゃうと、不器用だから見えても上手く蹴れないんでしょ?」

「簡潔にまとめないでくださいよ! ほら、あの人頭を抱えながら、柔らかな放物線を描いて的確にこちらに毬を蹴り返してくるんですけど!?」

「本当に器用な子よね。まるで、休日のママが子供と遊ぶみたいな蹴り方で――あっ、ほら、よそ見をしていると危ないわよ?」

「えっ――?」


注意されて振り向いた時には、マリがもう目の前にやって来ていた。

鼻から脳天へと貫く衝撃。首が痛くなるぐらい後ろに仰け反る。

「イタッ――くは無いけど、頭がフラフラする~~」

この痛みを例えると、何だ? ピコピコハンマーで叩かれたような感じがする。

「脳震盪でも起こした?」

「そうかも知れませんね。少し休みます」

そっちの人、作戦会議をするからちょ~っと待っててくれる」

「………構いませんよ。わたくしも話にならず、暇を持て余しておりましたから」

休憩を挟んだぐらいで、現状が良くなるのだろうか?

休憩の提案に、向こうも歯ごたえの無さに精神的疲労を感じていたのか頷いてくれた。



公園のベンチに座って、ぼう~っと空を見上げる。

「今、何点差なんですかね?」

「さあ、二十を超えてから、数えるのを止めたからね」

「そうですか……」

余りにも差が付き過ぎて現在は競っているのではなく、ボクがまともにマリを返せるかどうかで勝負していたりする。

とにかく、三回連続で相手に届ければ勝ちだという事になったんだけど……

「全然当たらないよ~、どうすればイイんだろう………」

もう何もかも忘れて、このままココで寝てしまおうか? 切羽詰まって、本気でそんな事を考えていた時だった。



「は~い、ここで楽しい楽しいソフィアさんの抗議のお時間です~~~」

何とも場にそぐわない。能天気な人の声。ボクは別の意味で脱力してしまった。

「どうして、またこんなタイミングで?」

「いや、残り三つを説明する機会を虎視眈々と伺っていたら、こんなタイミングになっちゃったのよねえ」

「絶対にウソですよねっ!」

「もちろん。本当はノリの良いツッコミをしてくれそうなタイミングを待ってただけ」

「…………」

これよりずっと先の話ではあるが、彼女はボクにこんな事を言っていた。

『あたしが人をいじる時は、必ず相手が泣き出す一歩手前に納めている。何故なら、泣き出されると後の収拾が大変で、その上、これを繰り返すと自分の周りには誰もいなくなってしまうからね』

この時のボクは知る由も無かったけど、彼女は弄りがいのあるボクを前に、自分のSっ気を抑えるのに苦労してたとか、していなかったとか。


「…………はあ~~~。未来のボクも苦労しているんだな~~~~」

「な~にを、次元の彼方に意識を飛ばしているの? ――ダメだこりゃ、目が死んどる」

呆けてしまったボクを余所に、話し声を聞かれないように、ソフィアさんはベンチにうずくまるボクを抱えると、茂みの中へと連れ込む。

「あらら~~~、一方的な勝負がそんなに堪えた?」

運ばれるままな、無抵抗な状態のボクを見て、ソフィアさんは苦笑い。

「いえ、……あのそれだけが理由じゃないんですけど、半分はソファアさんの日頃の行いが原因で……う~ん、どうなんだろう?」


本当にそれだけなんだろうか? この無気力感はもっと別の理由もある気がする。

「………聞いた話だけど、神は力を使えば使う程に、精神力を消費していくみたい。

さっき、マリが当たっても痛くなかったのは、あなたが無意識のうちに力を使っているからだと思うわ。何度もぶつかったら、精神力が無くなって倒れるわね」

「ああ……それでか……納得した」

それで、こんなに身体を重く感じるのか。

考えてみれば、マリチカさんとの戦い?でも結構力を使って、今はマリの動きを追うのに神経を尖らせているもんなあ。

自覚した途端に、身体も重さが倍増したみたいに、何だか疲れて寝てしまいそうだよ。


「『心得9 神は労働に見合った対価を受け取る事』」

「…………?」

この人は何を喋り出すつもりだろう? 寝ぼけた頭では良く理解出来ない。

「この心得は、神は人の便利屋じゃないという事を言ってるんだけど、ただの盲目な善人じゃあ神は務まらない。ある程度は俗っぽい人の方が立派になれたりするのよね」

俗っぽい人か……確かにコチさんも、あの図書館のお爺さんも、清廉潔白とは無縁そうな人たちだ。ボクは…ボクはどうなんだろう? 自分では良く判らない。

「このままじゃ、あんたタダ働きよ?」

「それは……イヤだな」

こんなにヘロヘロになって、何の報酬も貰えない。それはあまりにも切なくて悔しい。

なのに……なのに、身体が言う事をきかない。


動く事が出来ないボクを見て、ソフィアさんは何か思い付いたのか、顎に手を当て考え始めた。

何だか……とてつもなく嫌な予感がする――――

「………この状態だと、悪戯し放題ね。丁度、観客もいる事だし」

「―――さあって、気合いを入れてもう一試合するかっ!」

何処から湧き出したのか判らない元気に、勢いよく立ちあがると思い切り背伸びを一つ。

毬を片手にもう一度彼女に挑戦しようと意気込むボクを、後ろからソフィアさんが呼び止める。

「なっ、何ですか……?」

ソフィアさんの呼び声に、ビクッと背筋が凍る。振り返りたくない。振り返ると、怪しい笑みを浮かべたソフィアさんが、いやらしい事を始めるんじゃないかと。

それでも、後が怖くて無視して行く事は出来ない。

恐る恐る振り返ると、ソフィアさんは――ソフィアさんは、真面目な顔をしていた。

ビクビクしていたボクに、『講義はまだ続いているわよ』と一言。


「『心得10 共に戦ってくれる仲間を集めなさい』」

「仲間……ですか?」

「神は強大な力を持っているけど、万能な存在じゃないからね。不得意な分野を補う為に、志を同じくする仲間を見つけないと、これから多種多様な局面で苦労する事になるの。今度の事もそう。あなたは火を出す事は出来ても、球技は出来ない。ここで、球技の得意な仲間がいれば、勝てたかもしれない」

「そう言われても困ります。ボクはまだ神になりたてで、自分の事で手一杯ですし……」

仲間を集うには、その仲間に対して一定の配慮と思想の共有を持つべきだ。しかし、残念ながらボクには何もないんだ。


「でも、未来永劫そうだという訳じゃないでしょ。『未来』は『今』でしか考える事が出来ないんだから―――その助けとして、これを持って行きなさい」

「これは……ネックレスですか?」

ソフィアさんから受け取った三つの緑色の石が付いたネックレス。見慣れない形だけど、似ているとすればカシューナッツあたりかな?

「ヒスイの勾玉まがたまよ。これには持ち主を災いから遠ざける力があると言われているけど、もう一つ効果があって、これには自分が独りじゃないと感じる力があるわ」

独りじゃないって、別に独りだからと泣いていた訳じゃない。途方に暮れていただけ。

「不思議な感じがしますね。胸元が何だか暖かいような……」

それがただの石だとは思うんだけど、何故か不思議な力を感じる。

リンさんの赤い石とは違う、もっと強い人の想いを感じる。



「(―――ああ、テステス、聞こえてますか、聴こえていますか、こちらヨミです、ど~ぞ~)」

「うわっ、なんだっ、なんだっ!?」

突然、頭の中に響く一本調子なヨミさんの声。

驚きながらも周りを見回すけど、姿が見えない。

「何処にいるんですか?」

「(その勾玉を付けてやっと通じたね。あなとはどうも波長が合いにくかったから、ソフィアに頼んで渡して貰ったの)」

「???」

「(面倒だから、大事な事だけ話すよ。私と協力してナルカミに勝とう)」

あゆがす 揺り動かす


晩御飯があたったのか、えらく気持ち悪い。体調が良かったら明日も夜の十時に投稿します。出来なかったら、多分死んでいます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 楽しかった。今日は、普通に読めました。ありがとう。古語、勉強したいです。
2019/11/17 14:55 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ