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東風と太陽~神話?はこうして創られる~  作者: 三神 凜緒
第一章 太陽さんの長い一日
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太陽さんの決断

伝「変なテンションから、少しは落ち着いた?」

巫「うん、ごめん。どうにも前回は頭がおかしかった」

太「あの~、お二人とも、雷神さんが出てきてますが、何かコメントないんですか?」

伝「あの子のコメントについて? 特にこれと言って無いわね」

巫「同じく」

太「うわ~~、全キャラクターの中で一番、特徴があると思うけど、逆にそれ以外の特徴がなくて、コメントしにくいのかな?」

巫「―――というか、コメントがそのままネタバレに繋がる恐れがある」

太「ええっ、この前書きに、そんな価値観ありましたっけ?」

伝「あったんだね、これが―――すずめの涙ほどだけど♪」

太「…………」

「はあ~~~、お兄様から伺ってはいましたが、まことに忘れているとは……」

「…………?」

何を言っているのかやっぱり判らないけど、いまとっても残念な、ガックリした様子が見て取れた。

ボクがしきりと首を傾げていると、ソフィアさんは、『あれが例の妹さんか………しかし、あいつを…おにい……さま…だなんて、なんてご奇特な……人なの』なんて言いながら、バシバシと地面を叩いていた。

「どうしたんですか、突然?」

「いや、ゴメンね。ただ、ちょっと……予想外の事態に気が動転しちゃって、なははははっ―――――」

何かが彼女のツボを刺激したみたいで、今度はお腹を押さえながら笑い転げている。

この人って、時々だけどこうして笑う事がある。ボクには理由は判らないんだけど、きっと彼女なりに深~い理由があっての事だろう。

「何やら知りませんが、その笑い方は止めた方がよいでしょう。見ている人を心付き無くさせます」

「あっはっはっは………ゴメンなさいね――――はあ~~~」

ひとしきり笑って気が晴れたのか、ソフィアさんが再び真面目な顔をする。

相手の人――ナルカミさんだっけ?――は口元を引き攣らせて、こめかみの辺りに血管が浮き出ている―――

――ように見えた。実際には暗くて見えなかったけど、雰囲気でそうじゃないかと。

「………それで、手合わせって、何をすればいいんですか?」

彼女が現れてからそれなりに時間が経過しているのに、まだ肝心の事を訊いていない。

「ボクはさっさと『手合わせ』して、帰って食べて寝たいんですっ」

「あなた、日が沈んでからやけに帰りたがっているわね」

「そりゃまあ……あれですよ。何となくですよ」

夜目が効かないわ、お腹は空いたわ、疲れているわ。

理由は色々あるけど、口にするのも疲れる。それにこれ以上の脱線は彼女を本気で怒らしてしまう。

目が見えなくても感じる。さっきから向こうから発せられる圧力が恐くて、恐ろしくて、脱線せずにさっさと話を進めたかったのだ。

神同士かみどしの挑み事は、力を使わない事をすすめられております。

ゆえに、この度は穏やかな仕方で決めましょう」

再び袖の中に手を突っ込み、何かを二つ取り出すナルカミさん。

あれは……ボールかな? でも、サッカーボールよりは小さいような気がする。

「わたくしの国里くにざとでは蹴鞠けまりという遊戯いうげがあります。この毬を出来るだけ長く蹴り続けて、落とした方が負けというモノです」

『イウゲ』って何って訊くと、ただの『遊び』だって教えてくれた。

それは、良いんだけどねえ、良いんだけどさあ………

「(どうしてこの人は、いちいち判りづらい表現をするのかな?)」

「(そういうキャラクターなんでしょ?)」

「(何ですか、そのキャラクターって? ソフィアさんも、たまにおかしな事を喋りますよね)」

若干、訳の分からない会話を挟みながら、ボクはナルカミさんからマリを一つ受け取る。

それぞれでマリを同時に相手に蹴って、落とした方が負け、手の届かない場所に蹴っても負けらしい。

「問題なのは、アマノちゃんはそのマリを目で追う事が出来ないんじゃないの?」

「あっ………」

ボトリと、手からこぼれ落ちるマリ。

「なんか、エラい重い音がしたわね。これもしかして鹿の皮で作ってるの? 無茶苦茶に固く出来てるわね」

一瞬で、どうやって勝とうかという気持ちから、ワンサイドゲームになる予感というか、確定した未来に愕然とする。

「ええっと、ナルカミさんだっけ。あなた、その履き物で大丈夫なの?」

「御心配なく。慣れておりますので」

「頑丈な足してるわね」

何やら、ボクを余所に二つで話しているけど、何も聞こえない。

正直、負けたからってどうだという訳じゃないけど、一方的に負けるのは面白くない。

「やばいよ、やばいよ。勝てる気が全然しないよ~~~~」




月の出ない夜。星々の明かりが照らす町の民家の屋根で、俺は彼女たちを見ていた。

暗雲から怒りを込めて発せられる稲光が、一つ、二つ、三つ………

双眼鏡の向こうで、ローブを着ていた少女が雷に打たれて倒れている。今はもうローブは焼け落ち、中から痛々しい服が姿を現す。

「あいつ……やり過ぎるなと言っただろうに………」

言っただけで、あいつは首を縦に振らなかった。だからまあ、予測出来る事態ではあった。

あの様子では生きているというより、無傷なのか。

「それが装具のおかげなのか、あいつの実力なのかは判らんが……」

ソフィアの奴が、倒れているアマノに悪戯している。

一発目は焦っていたが……あれは完全に、楽しんでいる顔だな。

「それで、今度は何を企んでいるの?」

「企むだなんて、人聞きが悪いなあ」

隣にいたヨミが、俺が持っていた双眼鏡を奪い、向こうを覗いている。

手持ちぶたさになった俺は、代わりに彼女の横顔を眺める事にした。

刀で受け止めていたとはいえ、マリチカに殴り飛ばされたヨミ。

それを偶然?受け止めた後、戦力バランスが悪くなるからと、連れだって少し遠くの家の屋根に来ていた。

道中、どうしてナルカミがこのような事をしているのかは説明してある。

「ただ、俺がラクをして皆がトクをする方法を考えて実践してるだけさ」

「人はそれを『陰謀』を呼ぶ」

「お前には理解出来ないだろうが、企みとは人の高尚で知的な楽しみなのだよ」

「…………手遅れだったか」

「ぐはっ………!?」

胸を貫く痛みと、漏れるうめき声。言ってはならない――というよりも、自覚したくない事を言われてしまった。

「この子は、どうして穿うがったもの言いをするかな~~~?」

「うがった? どういう意味なの」

「ああ、いかんな。久しぶりに妹に逢ったから影響されたてるな」

意味は後で説明すると言って、ジッと向こうを観察し続ける。

「ケマリで勝負を決めろって、どうしてそんな事を提案したの?」

「昨晩の二の舞は御免だと懇願してね。あいつも、しぶしぶ了解したよ」

詳しい経緯は聞いていないが、よほど恥ずかしかったのか、顔を赤らめながらそこだけは頷いてくれた。

「ふ~ん、何年もほったらかしにしたのに、よく言う事をきいてくれたね」

「やかましいわっ―――って、そうだ。お前、あいつに色々と吹き込んだようだけど、どうしてそんな事したんだ?」

「コチって、すぐに見栄を張って、無理をするから。そうなる前に、手を打っておいた」

「……聡いというか、よく見ているというか……」

………自覚があり過ぎて、何も言えん。きっと、俺の事を心配して言ってくれたんだろう。

気づかなかった己に、溜息を吐いている俺を余所に、ヨミは変わらず観察を続けていた。

「何やら揉めているようだけど、あっ、始めるみたいだよ」

「少しは手抜きしてくれよ、ナルカミ……」

アマノは己に自信が無いと、そう予想していたナルカミなら、空気を読んでくれる筈。

もしナルカミが本気を出してコテンパにしたら、アマノの奴がどれぐらい落ち込むか判らないからな。


―――そんな俺の期待を余所に、試合はナルカミの一方的な展開になっていった。

・心付き無い 不愉快

すすめられる 推奨される

同士どし 同士どうしの古い呼び方 意味は一緒

・挑み事 勝負事

・立ち会う 勝負する 『手合わせ』に動きを付けた言葉

国里くにざと 故郷 祖国

蹴鞠けまり 貴族たちの遊び。『革靴』を履き、複数の人で鹿革製の毬を出来るだけ落とさずに蹴り続ける(英語ではリフティングかな?)遊び。今回は、難易度を上げる為に二つ同時にやりましたが、本来は一つの毬でやります。

・遊戯(い(ゆ)うげ) 遊戯ゆうぎの古い呼び方。最初の文字は『い』と『ゆ』の中間の音を出しましょう

・穏やか 平穏

仕方しかた 方法

穿うがった 核心を突く


次回の更新も、明日の夜の十時には何とかしたいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 文章の途中のところどころに情景描写があって、動画を見ている感じです。やっぱり、上手ですね。構成。
2019/11/18 15:06 退会済み
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