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東風と太陽~神話?はこうして創られる~  作者: 三神 凜緒
第一章 太陽さんの長い一日
31/72

太陽さんは、雷さんと出会った。

巫「この日は冴えわたる星々が綺麗だったよ。星月夜だったから、私の目では周りがよく見えるぐらいの明るさはあったんだよね。

私もおいしい物は好きだから、太陽の気持ちがよく分かる……」

伝「今までにない長セリフ……あなた、本編ですぐに退場したから前書きで目立ちたいとか思ってる?」

巫「そういう訳じゃないけど、この時は特にやる事がなくて星を眺めていたんだ」

太「やる事がないって、やっぱり飛ばされた先でノンビリしていたんですね」

巫「一人でも大丈夫だと思ったから、その証拠にほら、本当にピンチの時には駆けつけるじゃない?」

太「そう……なんでしょうか? 今一つ、実感があるような、ないような……」

巫「わっはは、はっはっは~~~~」

伝「何かしら、この異様なテンションは? 三日間で何かあったの?」

雨が降りそうだなと空を仰ぐ。聞こえるは、ソフィアさんの叫び声。

何だろうと、振り返ろうとすると、何かが身体を貫いた。

「――――――っ!」

脳天から身体の表面を、何かが走り抜ける。衝撃が強すぎると、悲鳴を上げる事さえ出来ない。実際に頭の中では、ただ???が埋め尽くされているだけ。

「あっ、もう二・三発きそうだね」

こっちはもの凄くテンパっているのに、それに反して能天気なソフィアさんの声。

「(あんた、さっき心配そうに叫んでたよねっ!? 何、落ち着いちゃってるのっ!!)」

一言ぐらい何か文句でも言ってやりたいけど、衝撃で声が出ない。

「――――何を言ってるのか、サッパリわかりません」

両手をあげて、お手上げのポーズを取るソフィアさん。何だか、とっても腹が立つ。

三度の衝撃が自分を襲う。そろそろ、日本なしで立っているのも辛いかも………

………意識が薄れる瞬間、自分が倒れる音は聞こえなかった。



真っ白に染まる視界。力の入らない身体。自分がどんな状況なのか判らない。

――――――

「――――あれっ?」

目を開けると、ボクは道の真ん中に倒れていた。

「え~っと、何があったんだっけ? ボクはどれぐらい気を失っていたんだ……」

地面に触れていた頬がとっても冷たい。というか、汚い。

嫌だなと思いながら、とりあえず立ち上がろうと四肢に力を入れる。

すると、誰かが自分の傍に座っているのに気づいたんだ………そう、座って―――

「大丈夫? 雷が三回ぐらい落ちたけど、傷一つないわね? さすがは、リンの創った装具だわ」

―――座って……ボクのお尻を触っていた。

「ぎゃ~~~~っ!!」

飛び起きながら、反射的に回し蹴りをするけど、軽くかわされた上にバランスを崩してまた倒れた。

「あらあら、そんなあられもない恰好で、スカートの中が丸見えよ?」

「――――っ!?」

どんな姿勢なのか細かい描写は省きますが、蹴れなかったのはくやしいがとにかく立ち上がろう。

「う~~~~~~っ! ソフィアさんっ、人が気絶している傍で何をやってるんですかっ!」

撫でられた感触がまだ残っているお尻を庇いながら、涙目で抗議をする。

「何って、介抱という名のセクハラをしていたんだけど?」

「うわ~~~っ! この人、自分の下心を隠すつもりが欠片もないよ~~~~っ!」

前々から思っていたけど、この人って妙に男気と云うか潔いところがある人だよね。



「実際、ボクはどれぐらい気を失っていたんですか?」

「大体、三日ぐらいかな?」

「いやいやいや、それはないでしょ? せいぜい、数分ですよね」

「それがそうでも無いのよね。何しろ、この辺りで作者?が具合を悪くして、三日ほど筆が止まっていた所だから。あたしは三日間、あなたのお尻を堪能したわ~~」

「すみません、何を言っているのか、サッパリわかりません」

―――などと、訳の判らない会話を挟みながら、ボクは現状を把握すべく辺りを見回す。



この現象は、どうみても誰かの仕業。…というか、他の神にやられたと考えるのが妥当だった。

「一体、誰だよ~~。ボク、まだ誰にも恨まれるような事はしてないのに~~」

「……それはどうかな(汗)?」

何やらソファアさんが訳のわからない事を喋っているけど、服に付いた埃もそのままに周りを見回す。

―――が、暗くてよく見えない。

「おかしいな。ボクってこんなに視力が悪かったっけ?」

あまり、夜間に外出した事がないから比べられないけど、もう少し夜目がきいていた気がするんだけど?

「太陽の神になった弊害かしら? 日の入りで弱体化するのかな」

「うわ~~、それって致命的じゃないですか」

思わぬところで自分の弱点を発見ちゃったよ~~。

「まあ、弱点といってもそれ以外には何も支障がないか……あれっ?」

「これは、足音かしら? 何か草が地面と擦れるような音がするわね」


暗がりの向こう側。見慣れない服装で、誰かがゆったりとした足取りで近づいてくる。

身構えていると、十メートルぐらいの距離を置いて、立ち止まった。

相手の顔は……薄い布で上半身を覆っているので見えない。

昨日さくじつ返礼へんれいとして、軽く放ってみたのですが……」

「………」

浅手あさでは負うと思ったのですが、あんたがえましたか」

「……………?」

何だろう? 何を言っているのか何となく判るんだけど、確信が持てない。

古風と云うか、時代と国が違うと云うか、対応に困る人だな。

―――それが、ボクが初対面で彼女に抱いた印象だった。


「あれは、あなたがやったんですか?」

「ええ」

あっさりと認める相手に、ボクは色々と言いたい事があるんだけど、どれから言ったらいいか判らない。

あれだけの事があったのに、ボクは無傷だった。

実質的な被害と云えば、着ていたローブが………ローブが…………

「ああっ! ローブが焼け落ちてる………」

「アマノちゃん、今頃気が付いたの……」

もちろん、中の服は……装具の方は無傷だ。

いや、確かに裸よりはマシだけど、マシだけどさ~~~~

しかし、問題は……問題は、別にあるっ!


「今夜は月が出ていないから、ハッキリとは見えないんだけど……可愛らし~~~い服ね」

「うわっ~~~~~! よりによって、Sっ気全開の人に見られた~~~~~っ!」

ソフィアさんの、ホントに楽しくて愉快そうで、意地悪な笑み。

これが自分の深層心理だなんて信じられないと、恥ずかしさで悶え苦しむ。

「まあ、いいじゃないの。世の中にはイイ歳してファンシーなキャラクターグッズを買い漁る人だっているんだから、あなただけの嗜好じゃないから。安心して」

何を安心すればいいのか、ポンポンと肩を叩く。軽く叩いている筈なのに、叩かれる度に地面に突っ伏しそうになる。

「そりゃ、自覚があれば開き直る事も出来るけど、どう考えてもボクにはそんな趣味が無いですよっ!」

確かにボクだって、小さい頃はこういう類いの物を好んでいた時期もありましたっ!

だけど、年齢が二ケタになる前には卒業したと思ったんだよっ!

――――もしかして、もしかしてだけど、それが表面だけで深層心理では……


「違うんだ違うんだ違うんだ違うんだ…………」

ボク自身に言い聞かせるように、何度も何度も同じ言葉を繰り返し呟く。

そんな様子を、まるで冤罪に苦しむ囚人を見つめる真犯人のような、意地悪な笑みを浮かべるソフィアさん。

「………そろそろ、宜しいですか?」

「んっ?」

「…………あれっ? そういえば、あなたと話している途中でしたね」

随分と醜態をさらしたと思うけど、律義に待ってくれているよ。


それにしても、誰なんだろう、この人は? 

何処かで……何処かで会った事がある気がするんだけど、思い出せない。

「何となく、コチさんに似ている気がするんだけど?」

「それって、同じ黒髪だから?」

「彼女、黒髪なんですか? やっぱりよく見えないんですけど、いえただ、雰囲気がそうだなって思ったんです」

この暗がりの中で、薄衣を挟んでよく見えるなと感心していると、相手から不機嫌そうなオーラを感じて、慌てて視線を向ける。


「ごめんなさいっ、先をどうぞ」

自分でも失礼な態度だなと思いながら、相手のご機嫌を伺う。

不機嫌そうなオーラとは対照的に、彼女の物腰は静かだった。

「わたくしの名はナルカミ。新たな天日あまのひの神を調しらむために、此処まで渡って来ました」

その物腰が、何とも恐い感じがするんだけどね。

「別に、来なくてもイイんですけどね。ハッキリ言って、迷惑です」

「それゆえに、あなたの力を試させて貰います」

「いえ、遠慮させて貰います」

ボクとしてはさっさと帰って、ご飯を食べて寝たいのだ。

どこかに飛んでいったヨミさんも探さないといけないし、

―――ていうかこの目でどうやって帰ろう? 明かりがなければ本当に前が見えない。


「これを見初めても、同じ事が言えますか?」

彼女は袖?の中から出したモノを見て、ボクの視線は釘付けになった。

「それはお菓子っ! それも、まだ食べた事がない『和菓子』っ!」

それは夢見ながらも、ちょっとお高くて手が出なかった『和菓子』。

包みから取り出されてそれは、恐らく豆大福と呼ばれるモノだろう。一体、何処でそれを手に入れたのだ?

「目が見えないんじゃなかったっけ?」

「ソフィアさんは、黙ってくださいっ!!」

「………甘い物への執念か。彼女があれを持っているのは、あいつの入れ知恵かな?」

外野のうるさい声は無視して、ボクは敵意にも似た感情を向ける。

暖簾のれんを下ろす頃だったので、安く手に入りました」

「そうか~~~っ! その手があったか~~~っ!」

「心の底から絶叫してるわね。何かあったのかしら?」

そうと知ってれば、あの時……いや、止めよう。もう過ぎ去った話だ。

「これを欲しければ、わたくしと手合わせして頂きます」

――――大切なのは、過去ではなく未来だ。

要約すると、いかにあの豆大福をゲットするかなんだけど………勝算あるのかな?

返礼へんれい 仕返し

浅手あさで 浅い傷

あんたがう 予想外

調しらむ 調べる

・手合わせ 勝負

星月夜ほしづきよ 月が出ない夜。つまり新月であり、星が月のように明るい時に用いる言葉。




三日ほど開けたおかげで、体調が何となく戻りました。

次の投稿は、明日の夜の十時過ぎになります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 豆大福おいしそう。 [一言] そろそろ、日本なしで立っているのも辛いかも。二本足で立っているのも の間違い?
2019/11/19 14:13 退会済み
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