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東風と太陽~神話?はこうして創られる~  作者: 三神 凜緒
第一章 太陽さんの長い一日
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回復中です。

伝「この錬金術の講座、あなたちゃんと覚えている?」

太「実は……よく覚えていません。茫然自失でしたから」

伝「話は変わるけど、あの神具に付いている赤い宝石は、神の力を溜め込む事が出来るわ。

家にある暖房や冷蔵庫にも同じ宝石が付いていて、定期的に東風が充電してるの」

太「基本的に神が、発電所扱いである事が分かる事情ですね」

伝「神具の扱いに対しては、ちゃんと受け答えしてるわね」

太「この頃には多少、気を持ち直してましたから。それに、暴走はもうコリゴリでしたし」


「錬金術の本質は、世界の真理を解き明かす存在である。占星術や哲学、歴史、化学、地質学、天文学、何でもござれな人の事よ」

いろイロ色と、僅かな時間の間にホントに色々とありました。

現在、せっかく生で錬金術師に会ったんだから色々と講義を受けてみればと、ソフィアの提案でアマノっていう子に簡単な説明をしている。


「ボクの深層心理って、ボクの願望って、ボクの趣味って…………」

もっとも、その講義を受けるべき生徒は精神的に多大なダメージを受け、椅子の上で膝を抱えてブツブツと何か言ってる。

服を構成するのを中断して、黒いスーツの上に元のローブを羽織っている。

「占星術、地質学で実験に最適な時と場所を探し、フラスコの中っていう小世界で、自然界で行われている化学反応を再現する。それをみてインスピレーションを働かせる為の精神統一。歴史を調べて暗号のネタを探したり、調合のヒントがあったりと。調合に何日も時間を掛ける時は、体力勝負になるから結構逞しい人が多い」


真相を知っているソフィアは、まだアマノの横でお腹を抱えて笑っていた。

……そんなに面白いのかな? 

実行犯としては、多少良心が苦しむ事も………特に無いか。

「一言でいえば統合学問だね。ワタシたち錬金術師たちは、化学だけでも、瞑想だけでも世界の真理には到達出来ない。どれか一つに傾倒するのではなく、全てのモノを満遍なく習得する」

「………そうなんですか」

時間経過が、隣で聞こえる笑い声が、そして諦めの境地が。

とにかく、やっとこさ少し復活した彼女がこちらを見て質問してきた。

「どうして一つのモノを極めないんですか? それはそれで良いと思いますけど」

「それをやると、暴走しちゃうのよね。科学にしろ、信仰にしろね。それに何より、それ一つではあまりにも世界が狭い。世界で一番面倒くさい職業だけど、やってみるとハマっちゃうのよねえ」


「暴走……暴走……イイ歳した奴があんな幼女が喜ぶような服を着て喜ぶのも、ある意味暴走しているよね。ふっふっふっふ………」

「……………」

死人に鞭うつような事を、よく笑っていられるよねこの人は。

危ない目をして、再び何かボソボソと呟き始めたファンシー趣味を疑われている新しい神様。

――――すでにノックアウト寸前か?


「あらあら、目が虚ろになっちゃって。やっぱり、イジリがいのある子だわ」

「その言動からして、さては一日中イジリ倒したな」

そういうワタシ自身も、真相を教えず傍観して状況を楽しんでいます。

コチ君の事だから何らかの理由があると思うけど、それが判るまでは説明すべきではないだろう。


――――しばし、時間が流れ。

「次に説明するのは、あなたに渡したブレスレットとチョーカーに埋め込まれた赤い宝石について。

それは、神の世界の設定を変える力<星を動かす力>に一定の方向性を持たせる為のモノ。通常なら精神統一して、意識を世界の裏側に送って、細かく設定を考えてって、工程が大変でね。

それを簡略化させる為のモノで、神具と呼ばれるモノには、全てそれが埋め込まれているの」

「へえ……そうなんだ……」

「……あれ、まあ」


予定ではもっと感心して、ビックリしてくれると思っていました。

瞳の色は正常に戻って来たけど、その表情はまだ暗い。

「それだけ聞くと、自転車の補助輪みたいだけど、それは熟練の神も持つ必要があるモノでね」

「そうなんですか?」

「その神具は、暴走しやすい新神向けでなく、力を行使しても神の力を使っているようには見えにくいのが特徴でね」

「へえ~」

「あなたもさっき習ったと思うけど、神は基本正体を大衆に隠すモノだからね。人前で戦う時はきっと役に立つわよ」

制作者として、色々と取り扱いを説明しているのに、まだ半分死んでいるね、この子は。

「あなたはまだ見ていないようだけど、あなたの武器となる神具にも三つの赤い石が埋め込まれてるんだよ。ちょっと、袋から取り出してみて」

「…………」


紙袋に手を突っ込んで、中のモノを取り出す。彼女が手に握っているのは短剣ほどの長さの棒。中央に一つ、左右に一つずつ例の赤い石が埋め込まれている。

「どの武器にするのか悩んだんだけど、殺傷力が少なく扱い安さから棒術を覚えたら良いかなと思ったんだ。不満があったら後で変更するよ」

「棒にしては短いみたいですけど?」

「棒の長さは左右の石のどちらかに力を込めて軽く回すと自由に伸び縮みするから、使い勝手は保証付きだよ」

「武器と云うよりも、地震の時に家具を転倒させない為の『つっかえ棒』みたいですね」

「仕方ないでしょ。力を込めただけで伸びるんじゃ危険だと思ったし、上下どちらが伸びるか指定できないと自爆する可能性があるからね」

「いや、まあ良いんですけどね。剣でも棒でも、ボクには得意な武器なんてありませんし」


自由度が高い分、本当はどの武器よりも使いこなすのが大変なんだけど、黙っていよう。

きっとこの神具は、彼女が地震に見舞われた時に力を発揮してくれる事だろう。

「武術に関しては、コチやヨミに相談すれば教えてくれる筈。ワタシにはその辺、よく判らなくてね」

「はい………」

「…………」


大丈夫なのかな、この子は? 自分が幼女向け趣味(誤解されそうな単語…)だったからって、そこまで気にする事か? 

「開き直っちゃえば良いのに………」

「無理ですよ……」

もっともワタシたちは、どうして彼女がここまで落ち込んでいるのか原因を知らないという設定だから、ヘタな事を言うとバレる危険があるので、あえて触れないでいる。

「………神具は使うだけなら簡単だから、あとは実践経験で覚えてちょうだい」

続きは、明後日です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 実行犯なのかーーー。
[良い点] いろイロ色と言葉遊びが楽しそうです。
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