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東風と太陽~神話?はこうして創られる~  作者: 三神 凜緒
第一章 太陽さんの長い一日
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洋式よりも和式が好き

伝「言い忘れたけど、あのケーキはパウンドケーキなので落としても問題はありません」

太「……どうしてそれを本編で言わないんですか?」

伝「深い意味はないだけどね。当時の太陽ちゃんにはどれでも一緒だという描写をしたら、そうなっちゃった」

太「―――そうですね。昔はそうだったかも知れません」

伝「それが今ではほら、立派にカロリー計算をするようになったんだよ。成長したね」

太「それって厭味ですかっ! まだ、大丈夫っ! まだ、大丈夫な筈………」

イヤな予感と云うのは、大抵の場合当たると相場は決まっている。

何故なら、良い予感と違って希望的観測が入る余地が無いからだ。

そして、今回の場合もそれは外れる事なく、現実に姿を現す事となる。

「何なんですか? これは………」

寝間着から外着に着替えて、ソフィアさんと二人外へ。コチさんは宣言通りにベッドへ。

去り際に『三日も寝ていないと死ぬ……』なんて、ぼやいていました。


時刻はまだ昼前。

太陽は煌々と空に輝き日差しは眩しいけど、気温はまだまだ低い。

初冬という季節を考えれば、まだまだ暖かいのかな? これで、雪でも降ってくれればもう少し暖かくなるんだけど………

「何なんですか? これは………」

ボクの眼の前には、堂々と豪華な木彫りの装飾がされた長方形の箱が一つ。ちょうど、人一人が入れるぐらいの大きさ。蓋には両開きの小さな窓が一つ、中を覗けるように設置されてて、底の方には、動かしやすくする為の車輪まで付いている。

誰がどう見ても、この物体は………


「ビックリしすぎて、二回も尋ねたくなる気持ちは分かるわ。まあ…見た通りの棺桶よ」

「そんな事は判ってますっ!」

問題はもっと、別の部分にある。

「どうして、こんなモノを運びながら歩かなきゃいけないんですかっ!? こんなモノ引っ張って歩いていたら、周りの人たちから奇異な目で見られ続けるじゃないですかっ!」

「ちなみに、雪が積もると車輪からソリに変えるわ。もうすぐ雪が降るから、その時は手伝ってね?」

にこやかに毎年の恒例行事だから、手伝ってね? 何て顔されても困る。


「考えてみれば……」

見た目は最悪なんだけど、本当に問題なのは中身が何なのかじゃないかな?

安全で無害なモノだったらまだ大丈夫だ。

「何が入っているんですか? 武器ですか? それともまさか……死体ですか?」

棺桶に武器を入れて運ぶ人って、どういう趣味なのか何を考えているのか不明だけど、本の世界とかで見た事がある。

もしかしたら、それを真似ているのかも知れない。


「ハッキリ言っちゃえば、両方かしらね」

「そう……ですか」

逃げたかった……逃げたかったけど、無理だった。逃げられないように、ガッチリと腕を掴まれているから。

何とか抜け出そうともがくけど、全然抜けれない。

力はあまり込めていない筈なのに、どうして抜けれないんだ?


「あっはっはっはっは、冗談よ―――――半分はね」

「半分っ!? それって、どっちが冗談で本当なんですかっ!」

「死体ってさあ……冬場だとそんなに腐らないから、長時間運んでも匂わなくて便利なのよねえ~~~」

「い~~~や~~~~~~~っ!」

本気で暴れている筈なのに、全く抜けれそうにない。

どういう掴み方をしているんだ?


そんな状態が三十秒ぐらい続いた頃だったかな? ガタガタと変な物音が足元からする。

「うるさいっ!」

突然、ドンッと棺桶の中から衝撃が。

そして、誰かのイライヤした雄叫びが……


「生きているじゃないですかっ!」

「おかしいわねえ。陽がのぼっている間は死に体も同然なのに。煩くし過ぎたのが不味かったかしら?」

陽がのぼっている間は死んでいるって……夜行性の動物じゃあるまいし……

だけど、さっきの声…何処かで聞いた覚えたある。

「さっきの声ですけど、あの時、ボクを助けてくれた人ですよね?」

「そうよ。あなたが同行者を欲しいって言うから、連れて来たのよ」

連れてきた? 運んで来たの間違いじゃないかな……


「どうして、こんな運び方を?」

「彼が言っていたのよ。生きてるんだか死んでいるんだから分からない奴は、棺桶に入れて運ぶのが自分の国の常識だって」

「……絶対に嘘ですよ」

それを真に受けた訳じゃあるまいし。口元は普通だけど、目が笑ってるよこの人。


「心配しなくても、この棺桶は高級断熱材を使用してるから、中は割と快適で凍死する事はないわ」

「どおりで引っ張り続けるのが大変そうな重さだなと思いました」

いつの間にか、棺桶を引っ張る為のロープを握らされている。車輪が付いているからそれなりに運ぶのは楽だと思うけど、長時間引っ張り続けるのは辛いかな。


「ボクが運ぶんですかっ?」

「あなたの頼みをきいてこうなったんだから、当たり前でしょ」

「えっ………そうなのかな?」

本来なら突っ込むべき所が沢山ある気がする。

だけど、頭が混乱していて上手く言葉に出来ない。

このままズルズルやってたら、もっと面倒な事を押しつけるような気がする。

それが判っているのに、ボクには何も出来なかった。

………ていうか、もう諦めた。


「どこに向かうんですか?」

ズルズルズル(心境的な効果音。実際には車輪だからガラガラガラだ)と、重たい棺桶を引き摺りながらソフィアさんと二人歩き始める。

「隣町の薬剤師さんの所に行って、薬と他諸々の調達をね」

「隣町ですか。そこに腕の良い薬剤師さんがいるんですか?」

「そうねえ、自称大陸一の薬剤師さんだと言ってるけど。

まっ、実際それは言い過ぎだとしても、腕が信頼出来るのは確かよ」

自称大陸一 ――もの凄く偉そうな人ってイメージが湧いてくる。

それとも、単に頭のイタイ人なのか。

色々考えるけど、こういう場合想像通りの人物が現れる事はまずない。


「薬屋さんでお買い物がお仕事?」

「ええ、そうよ。毎週恒例のお仕事でね。その店で買った薬を病弱な娘に届けるの。

「病弱な娘に薬を届けるお仕事……」

それはまた、まともで平凡なお仕事だ。初仕事から過酷な事をやらされたらどうしようかと思っていた。

しかし……それは、本当に神のお仕事なのかな? 単なる、なんでも屋のお仕事のような気がする。

それで良いのか、もっと凄い仕事ばかりだと思っていたから、残念なような、ホッとしたような、複雑な気分。しかし………


「気になる事と言えばもう一つ、あったっけ」

「何を気にしてるんだ?」

「ボクのセリフの半分ぐらいが疑問符で埋まっているのは、どうしてかな?」

「新人は先輩に沢山質問するモノだろ。何もおかしい事はない」

「いや、絶対にコチさんとソフィアさんの非常識さのせいだと思う」

「何を、冗談を。そんなくだらない事言ってないで、先を急ぐわよ」

「…………」


出来ればもう、ビックリして、質問して、唖然とする一連の行動は疲れるからもうしたくないんだけど、無理なようだ。

このペースで話を進めていたら、ボクはこれから先、何回質問を繰り返さなきゃいけないのか、まじめに心配する事になった一瞬だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 4年近くも一つの物語を書き続けられるってすごいですね。
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