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郭公の森  作者: 山田木理
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第3章 ワタシの価値


 大勢の警官が来て、私達はドアの外へ出た。血の臭いから解放された安心感からか、足下から崩れそうになった。哲平に後ろから腕を掴まれ何とか倒れずに済んだ。

「アッちゃん。大丈夫…?」

 優しく、でも、どこか悲しそうな瞳を私に向ける。冷たい夜気が私の頬を撫で付ける。

 哲平の声にも、疲れた。

 青木さんが何かを言いたそうに青ざめた私を見ている。何を訊きたいか分かっている。

「覚醒剤のこと訊きたいんでしょ?」

 青木さんの眉がピクリと動く。

「私は持ってなかった。彼等が奪い返していたみたい。だから、訊くなら彼等に訊いてよね。私は知らない。何も知らない」

 哲平の腕を振り解き、ふらつき、膝から座り込む。切れ長の黒い瞳が私に近付く。屈み込んで私を見返してくる。ブラックホールのような奥の深い目。

「君は誰だ?」

 心に響く低い音。吸い込まれそうな瞳。

「『椎名篤子』じゃないな」

 私の奥の奥まで見透かす瞳。

 喉から乾いた嗤いが漏れそうになる。

「コイツ何言ってるんだ?」

 青木さんの言葉を把握できない哲平は訝しげに青木さんを見てから、私に肩を貸そうと手を伸ばす。でも、私の手はそれを振り払い、一人で立ち上がった。

「アッちゃん?」

 私は見慣れないマンションの非常階段までふらつきながら歩き、そこにドッと腰掛けた。

「『椎名薙子』か?」

 頭上からさっきと同じ声が掛かる。私の前に立った男から事実を問われる。

「コイツ変じゃないのか?『薙子』は死んだんだぜ」

 私の前に座り込んだ哲平が私に同意を求める。普通じゃないよね。普通、自分を殺したことにして、他人に成り済ますなんてしないよね。犯罪歴もない普通の女子校生がする事じゃない。

 考えることもしないよね。

 でも、生まれ変わりたいって思ったことなら誰でもあるでしょ?今の自分を捨ててしまえたらって思っても不思議じゃないよね。

 自分を、『薙子』を捨てたかった。

「『椎名薙子』さんだね」

 音にならない嗤いが喉から漏れる。

 私は笑ってる?

「…どうして、そう思うの?会ったこともないくせに」

「君は、何も知らな過ぎる」

 それが、理由?

「ハ…アハッ…ハハ…」

 私は本当に何も知らない。

「アッちゃん?」

 肯定も否定もしない私を哲平が不審に思って声を掛ける。

「…だったら、どうする?」

 私は笑ってる?

「アッちゃん?」

「では、死んだのは『椎名篤子』の方か?」

 指で形の良い顎をさすり、少し考え込むような仕草をする。この男は、死んだのが『篤子』でも、『薙子』でも、構わないのだ。いや、『篤子』が生きていた方が事件の真相を掴めるから、その方がコイツにとっては良かったのかも知れない。

「嘘だろ…」

 震える声は、哲平の物。『篤子』が大好きだった哲平。私は足下に続くコンクリートの地面を限りなく見つめる。目に力を込め留る事によって、聴覚を麻痺させようとしていたのか。

「アッちゃんは死んでいたのか?」

 怖かったのは、

「アッちゃんは、どうして…?」

 一番、怖かったのは、

「殺されたのか?あの火事で」

 間近に迫る、悲しい顔を見返すなんて出来なかった。震える声が鼓膜に叩き付けるように降る。彼の絶望を予感する掠れた声が、未だ生きている『薙子』の心臓を震わす。

「…どうして、『薙子』が生きている?死んだのは『薙子』だろう?」

 怖いのは、たった一言。

 『薙子』が死んだ方が良かった…。

「アンタが死ねば…よかっ…」


 ゴンッ

 ギュッと瞑っていた目を開くと、哲平が壁に靠れかかるように座り込み、左頬を抑えていた。

「頭を冷やした方が良さそうだ」

 哲平を殴った右手で哲平の襟を掴み、哲平を立たせた。

哲平は未だに呆然としたまま立ちつくしている。

青木さんは私に向き直り、いつもの冷めた声で平然と言った。

「病院に行くぞ」

「…病院って?」

 ぼんやりと聞き返した私を青木さんは、もう一度振り向き今度は私の腕を掴んで無理矢理引っ張った。どうして、病院に?私はどこも怪我はしていない。

「私は大丈夫だよ」

 何度言ったか知れない言葉を、階段を駆け下りながら、青木さんの背に向かって言ってみる。それでも、手を引く力は緩まらず私を引きずっていく。見覚えのあるセダンに近付くと後部座席のドアを開き、有無を言わさず私を押し込む。

「待って。オレも行く」

 走ってきたのは哲平だった。青木さんの返事を聞く前に私の横に座り込んで来た。青木さんはチラッと見ただけで運転席に座り、車を発進にさせた。

「さっきは悪かった」

 隣の彼は私の顔を見ずに、短く言った。彼もずっと好きだった『篤子』が死んでショックなのだ。

「でも、どうして…『篤子』に…?」

 答えることが出来なかった。

 答えても、無意味だと思った。

 私は、ただ『篤子』になりたかっただけである。私は話を変えた。

「青木さんはどうしてあそこが分かったの?」

 今まで、黙っていた青木さんが口を開く。

「匿名の電話があった」

「匿名の?どんな?男?女?若い?」

 哲平が矢継ぎ早に質問する。

「警察にオレ宛に掛かってきたらしいが、オレが出たわけではない。どんな人物か聞く前にここに来ていた」

「そうか…」

「ところで、あの部屋は君の父親の名義になっていたが、どういうことだ?」

 確かユウリの部屋とか言っていた。

「悠里はオレの義理の妹だ。妹って言っても同い年だけどね。オレが中学生の時、親父の再婚で兄妹になったんだ。でも、結婚して二ヶ月ほどで彼女の母親、つまり、オレの義母は死んだけどね。車ごと崖から落ちたらしい。自殺かどうかも分からなかった。でも、オレは自殺だと思っている。悠里の母親は、親父を少しも愛してなかった。綺麗な人でさ。オレは最初、絶対、財産目当てだと思ったね。親父みたいな男、誰が好きになるモンか」

 皮肉たっぷりの冷たい感じ。

 これは、あの時と同じ顔。今と同じように3人で車に乗っていたとき、警察と暴力団の癒着を皮肉っていた。

「あの人は死にたがっていたんだ。だけど、娘のために死ねなかった。それで、自分の代わりの保護者を求めていた。そう言う意味では財産目当てだな。でも、あの人は間違っていた。大切な娘の保護者を、オレの親父に求めるなんて。アイツは、悠里の母親が死ぬと悠里を邪魔者扱いして、悠里にマンションとカードを与え、家から追い出したんだ。中学生で一人暮らしだ。金は有り余るほどある。どうなるか簡単に想像できるよ。学校には殆ど行かなくなり、昼夜問わず遊び回る。酒、煙草、男、ドラッグ。アイツの体はボロボロになっていった。オレは何とかしようとしたけど、結局何もできなかった。出来たのは、中途半端な反抗だけ」

「『篤子』とは?」

 青木さんの質問に、哲平は僅かに目を細め、窓に流れるイルミネーションの光を追った。

彼の瞳に弱い光が流れ始めた。

「アッちゃんは、そんな時、悠里の前に現れたんだ。本当の姉妹みたいに仲良かったよ。アイツは寂しがっていた。アッちゃんはそれを解ってくれて、アイツに一生懸命に接してくれたんだ。二人は偶然知り合ったと言ってた。悠里は興奮して話していたな。もしかしたら生き別れの姉妹じゃないかって。二人はそっくりだったんだ」

「そっくりって?」

「似てると言っても、悠里はその時、随分やせていて髪も茶髪で、肌も日サロで焼いていたから見分けは付くけどね。でも、アッちゃんの親父が死んだ時、『篤子』に似た人物が屋上から走ってきたという話を聴いて悠里かと思った。アッちゃんに会いに来ていたんじゃないかと思った。でも、あの時、アッちゃんは、もう、死んでいたんだよな」

 その時、私と青木さんは同じ想像したに違いなかった。

「アッちゃんがドラッグと関わるようになったのは悠里のせいだよ。オレが高校に入学したころだったかな。悠里はやめていたドラッグにまた手を出したんだ。アッちゃんに会った当初、好転していた悠里の状態は、結局覚醒剤のせいで徐々に蝕まれていった。アッちゃんは何度も病院に行くように説得したが、悠里はガンとしてそれだけはアッちゃんの言葉でも聞かなかった。悠里はいつの間にかドラッグを手に入れてて、静脈注射までするようになっていたんだ。悠里は高校へは行ってなかったし、オレもアッちゃんも高校があったから悠里を一日中見張ってるわけにも行かない。誰も悠里を止められなかった」

 私の恐ろしい想像は確信に近付く。

「アッちゃんは不思議なくらい悠里を何とかしようとしていたんだ。そして、遂に悠里がドラッグを買っていた相手を突き止めてしまった。悠里は暴力団から直接買っていたんだ。アッちゃんは悠里をヤツらから引き離そうと必死だった。きっと、その時に、例の覚醒剤を手に入れたんだ。悠里に禁断症状が出始めると、オレ達ではどうしようもなくて、結局、そのドラッグを少しずつ与えた。クスリを求める回数は増えていき、精神状態は最悪だった。そうなった時、アッちゃんは、何故かその覚醒剤を売り捌き始めたんだ。ワザと、ヤツらを挑発するように。そして、アッちゃんはヤツらに追われ始めた。だんだん執拗にアッちゃんを狙い始め、あの火事の前の日、オレに『もう、関わるな』と電話して来た。同じ頃、悠里も消えたんだ」


 『篤子』は生きている。


 僅かに開いた窓から、夜の風が金髪に染めた哲平の髪を揺らし、その隙間から見える瞳は暗い闇を追っていた。そして、口元を僅かに歪め呟いた。

「悠里は、自分を郭公の子供だと言っていた。郭公は自分で自分の子供を育てないんだ。別の鳥の巣に卵を産み落とし、去ってくんだ」

 彼女は自分で自分を傷つけていた。淋しい彼女の心が悲しいくらいに伝わる。親に捨てられ自分を守る者を失い、どうすることも出来ず足掻いていた。そして、突然現れた温かい『篤子』を、自分によく似た彼女を、自分を守る母のように慕った。

 可哀相な郭公の子供。

「でもね、ユウリのお母さんは自分で最高の巣を子供に与えたつもりだったんだよ」

 私は言葉にならないくらい小さな声で呟いた。哲平はゆっくりとこちらを振り返り、さっきよりも更に悲しい微笑みを浮かべた。

「その巣は、卵を孵らすには冷たすぎたみたいだ」

 彼は、ずっとずっと親を憎んでいた。その言葉は、それを証明するには寂しすぎる響きを持っていた。


「着いたぞ」

 青木さんの声がして、窓を見上げる。白い建物が、月の光に不気味に浮かんで見えた。夜の病院はひっそりと、それでもその存在を忘れさせることのない大きさを持っている。

「…青木さん。私は本当に大丈夫だから…」

 外に立ち、私を見下ろす彼の顔が病院をバックにうっすらと翳る。この人の困った顔。彼のそんな顔を見るのは何度目かもう忘れてしまったけど、沈着冷静な彼には似合わなくて自分がそんな顔をさせているのかと思うと酷く申し訳ないような気がする。彼はその視線を救急センターの出入口に向け短く言った。

「とにかく来い」

 そう言って、動こうとしない私の手を無理矢理引っ張り出口に向かう。

「もう、とっくに面会時間は過ぎているから静かに入るんだ」

「え?待って。面会って?」

 ピタリと足を止め私に向き直る。

「君がオレに無言電話をよこして、オレは心配になって、すぐに君のマンションに向かったんだ」

「え?でも、青木さんは抜け出せ…な…」

「マンションには鍵が掛かって、誰もいないようだったが、あの無言電話が気になって無理矢理管理人に鍵を開けさせた。」

 何度か彼に会うようになって理解できたことは、彼の冷たい無表情の中に表情が結構あることだ。困っていたり怒っていたりしているのだ。その作り物のような顔の上で。そして、今はかなり戸惑っている。私の目を見ているようで少しだけ逃げている。

「チェーンが掛かっていた。でも、どんなに呼んでも返事は返らなかった。オレはチェーンを切って君のマンションに入ったんだ。バスルームで君のお母さんが手首を切っていた」


 う…そ…嘘…そんなの嘘だ。ガクガクと震える私の体を支え青木さんは言った。

「落ち着くんだ。未遂だった。命に別状はない。今はこの病院で治療を受けている」

 どうして?

 どうして、皆私の前からいなくなろうとするの?

 私が嫌いだから?

 みんな、みんな、私のことが嫌いなの?

 やっぱり『薙子』では、ダメなの?

 きっと、ダメなんだね。

 私だって、『薙子』より、『篤子』の方が好きだから。

 だから、『篤子』になった。

 でも、それでもダメだったの?

 『篤子』じゃないと…。

「薙子」

 ナギコ…

「行くぞ」

 そう言って青木さんは私を支え、入口に向かう。

「大丈夫だよ。ナッちゃん」

 ナッチャン…

そう言って、哲平が背を押す。だから、私は自分を持って何とか自分で立った。

「大丈夫…」

 そんな不確かな言葉を噛み締めて。


「どうやら、今は精神安定剤を投与されて眠っているらしい」

 母さんの病室を前に青木さんが私に耳打ちをする。

「どうする?」

 今、会っても母さんは眠っている。ホッとした。怖かったから。自分ではダメだったと言われるのが怖かったから。

「無事な姿見てから、明日の朝出直す」

 私はぎこちない笑顔を彼に向け、彼は小さく頷いた。

 プルルル…

 彼の胸から電子音が響いた。

「おい。ここは病院だぞ」

 哲平の音を消した声に青木さんは、慌てて携帯の電源を消した。

「忘れていた」

 青木さんらしくないミスだと思った。この人は完全無欠の人だと思っていた。

 私が人質に取られたとき、彼は寸分の狂いもなく私を盾にしていた男の肩を撃ち抜いた。私のこめかみのすぐ横を彼の銃弾が通りきったのだ。僅かな狂いで私の頭を撃ち抜いていたかも知れないのだ。余程の自信か、人の命を何とも思っていないかのどちらかだ。

「署の方からだ。公衆電話で掛け直してくるから、倉本君は彼女に付いてやって欲しい」

「そんなの分かってるよ」

 哲平の抗議も待たず、青木さんは公衆電話に向かった。私は静かにドアを開いた。薬のツンとした独特の臭いが鼻を突く。窓から差し込む僅かな月明かりを頼りにベッドへと近付く。

 母さんが横たわっている。

 酷く顔が青白く見えるのは、怪我のせいか月明かりのせいか分からなかった。一ヶ月前そこに横たわっているのは私の方だった。

 母さん。どんな気持ちでベッドに横たわる私を見てた?

 娘を一人失い、更にもう一人の娘が、死を彷徨うのをどんな気持ちで見てた?

 残った娘を、一人置き去りにしてもいい程、父さんの死が辛かったの?

 どんなに心で叫んでも、返る答えなどなかった。私はただ青白い母さんの顔を眺めるしか出来なかった。眠っている母さんを、こんなにマジマジ見たことはなかった。母さんは年を重ねても、綺麗だった。小さい頃は自慢の母さんだった。僅かにカールした細い髪。小さな形のいい顔。長い睫毛。今は瞼に隠れて見えない大きな瞳。その大きな瞳がピクリと動いた。

「母さん…」

 しかし、その大きな瞳を見ることは出来なかった。首を少し捻り、僅かに息を漏らす。

「…う、う…ん…ん…」

 苦しげな息が母さんの口から漏れる。私は起こした方がいいのか迷った。苦しそうな息を漏らすが、一向に起きる気配はない。

「母さん」

 私は小さく呼んでみた。

「…ん…ごめ…な…さい…」

 ごめんなさい?

 母さんは苦しそうに謝る。しかし、その瞳は閉じたままだ。悪い夢でも見ているのだろうか?

「…ごめん…なさ…」

 誰に謝っているの?

 死のうとしたこと?

 あまりにも苦しそうな寝顔に、私は起こそうとした。

「母さん」

「…キリ…ちゃ…」

「何?何て言った?」

 掠れ声の寝言が聞き取れず、腰を屈め母さんの口元に耳を近付けた。掠れた声が耳に届く。

「…ごめ…ん…双子…、…生…んじゃ…なかった…ね…」

 屈めた腰が冷たい床に沈んだ。床に付いた両手がカタカタと震えている。座り込んだ私の瞳に母さんの横顔が入る。

 双子を生むんじゃなかった?

 そう言ったの?

 両手にまとわり付いていた冷えた空気が、ゆっくりと体中を浸していく。

 否定された…の?

「ナッちゃん?」

 尻餅を付いた私を変に思ったのか、哲平が近付く。ゆっくりと私の手を取り、私を廊下に連れ出す。

 否定されたのはどっち?

 『薙子』?『篤子』?両方?

 それとも私の演る『篤子』?

「大丈夫?」

 覗き込む哲平の顔。

 いつもキラキラしている髪が今は暗い。

 ナースステーションの脇を過ぎる。今は看護婦が奥なのか見えない。

 暗い廊下に緑の非常灯が蛍のように鈍い光を放っている。

 窓からの月明かりが、廊下にその形をうっすらと残す。

 廊下に足音が響く。

 これは、私の足音。

 ワタシの、足音?

 誰の足音?

 外へのドアをグッと押す。

 それは、私の手。

 ワタシの、手?

 誰の手?

 冷たい風が私の頬を突き刺す。

 突き刺しているのは、誰の頬?

「ナッちゃん?」

 不思議そうな顔。

 何が不思議?

 何が?

「大丈夫?」

「何が?」

「何がって…」

 どうして、そんな顔するの?

 何がそんなに不思議なの?

 何が分からないの?

 誰か、分からないの?

 誰か…?

「誰?」

 ワタシの言葉は空を切る。

「ナッちゃん。どうしたの?」

「誰?誰?誰…?」

 強い風が吹き抜け、木々の音が激しくざわめく。暗い闇の中、私はグルグルと何かを求める。

「ナッちゃん!」

「誰なの?」

 私は頭を両手で抱え立ちつくす。

「私は誰なの?」

「ナッちゃん!」

 哲平の両手が私の両腕を掴み私を自分の方に向かせ、真正面に私を見つめる。

 哲平の瞳に写るのは?

「ナッちゃん…」

「違う!違う!私はアッちゃんじゃない!」

 気付いたら思いっきり哲平の胸を突き飛ばしていた。

「アッちゃんじゃない!私は『薙子』だよ。どうして、みんな『篤子』なの?『薙子』じゃダメなの?」

 自分の口から叫び声が溢れる。

「みんな、私が嫌いなんだ」

「ナッちゃん。オレは…」

「私なんか誰も好きになんかならないの。知ってる。私は酷い子だから…」

 哲平が近付こうと一歩前に進む。

「イヤ!来ないで!」

 悲痛な哲平の顔を見たまま、足が後ろへ踏み出したとき何かにぶつかった。

「落ち着くんだ」

 低い声が耳に滑り込んだ。両腕が後ろから大きな手で押さえつけられ、それ以上動くことが出来ない。

「私は、酷い人間だから…」

 震える肩を、強い力で押さえ込まれる。

「私は、泣けなかった…」

 篤子…

「『篤子』が死んだと聞いたときも…」

 父さん…

「父さんが血を流して死んでいるのを見ても泣けなかった」

 『薙子』は酷い子供だから。

 エゴイストで自分勝手で臆病で…

「泣いている…」

 耳元で低い声が響く。

「薙子は泣いている」

 穏やかな声。いつもと変わらない声なのに、今は体の奥に響く。

「体中で泣いているから…」

 私は泣いてなんかいないのに。

「私には泣く資格なんてない…」

「資格を取ってから泣くヤツなんかいない」

「そんなの…」

 知っている。

「でも、泣けない…」

「泣いているよ」

「泣いていな…い…」

 熱いモノを頬に感じる。

 戸惑った哲平の顔が歪んで見える。

 瞳から溢れるように流れるのは涙なのだろうか?

「泣いてもいいの?」

「もう、泣いている…」

 どうして、この人は後ろにいるのにそんなことが分かるの?

 耳元で囁かれる声がどうしてこんなに優しい響きなの?

「辛かった」

 私は何を言っているのだろう?

「あぁ…そうだな」

「どうしていいか分からなかった」

「あぁ…」

 涙はこんなに熱かった? 

 今まで溜め込んでいた想いが頬を伝い流れ出す。両腕から伝わる温もりが私の中から私の想いを押し出していく。

 たくさん辛いことがあった。

 たくさん悲しいことがあった。

 だから、泣いてもいいんだよね。

 私の声は、もう言葉にならなかった。

 喉から声を出そうとしてもしゃくり上げるだけで、言葉にすることを諦めてしまった。

 耳元の低い声が途切れ、代わりに木々の囁く静かな声が聞こえる。夜の病院の庭に静かに風が通りすぎていく。




 シンと静まり返った広い庭は、昼間は入院患者の憩いの場所であるが、今はただ白い建物を中心に暗い闇に支配されていた。芝生がなだらかに続き、ネームプレートを付けられた木々が転々と植えられている。細い遊歩道には幾つかのベンチが並んでいる。

「もう、平気?」

 ベンチの一つに座る私の顔を覗き込み、哲平は心配そうに訊いた。頬に残る涙を手で拭き、私はコクリと頷く。

 哲平は隣に腰掛け、微笑む。

「泣いたからって何も解決しないけど、体に溜まった悲しみの百万分の一ぐらいは流れ出るような気がするよね。少しは楽になった?」

 そうだね。私は、また頷いた。

 ベンチの脇の街灯が鈍い光を放っている。その下で、青木さんはジッと何かを考えているようだった。

「でも、『アッちゃん』を狙っていたヤツらが捕まったし、もう、命を狙われることはないよな」

 ホッとしたように哲平が呟いた。その声に青木さんをこちらに近付き、淡々と言った。

「まだ、終わってない」

 その言葉に、私も隣に座る哲平も青木さんを見た。

「木澤…、やつらのボスである男が殺された。連行しようと車に乗せる間際に撃たれた。覚醒剤も見つかってない」

「アッちゃんを狙っていたヤツが殺されたって事は、もう、二度とこっちは狙われなくて済むんだろ」

「どうかな」

「木澤って、確か山岸組の傘下の一つ正道会の会長だろ?一ヶ月前に射撃された山岸組の若頭の跡目争いをしていたんだ。殺されても不思議じゃない。何が問題なんだ?」

「空薬莢が残っていた。レミントン700。一発で仕留めたそうだ」

「狙撃銃か…」

「正道会と跡目を争っていたのは、護摩堂組だ。ヤツらはシマだけはデカイから、若いヤツを走らせれば済むことだ。わざわざヒットマンを雇う必要はない。それに…」

「逮捕された人間をわざわざ危険を冒して殺す必要もない。然も警官の前で。ってこと?なら、口封じだろ?」

「それにしては、早すぎる。オレは匿名の電話を貰い、急いでマンションに駆けつけた。そして、逮捕され連行されるまで30分も経ってない。口封じにしては早すぎる」

「事件は迷宮入りってワケね」

 哲平は、バッと立ち上がり青木さんを真正面に見遣った。

「どっちにしても関係ないね。『篤子』を狙っていたヤツがいなくなったなら、オレ達はもう狙われないで済むんだ」

「青木さん」

 今まで黙って話を聞いていた私は、意を決したように立ち上がり、ポケットをまさぐる。

「これのせいかも知れない」

 そう言って、手にしたのはSDカード。

「何が入っているのか分かんないけど。関係あるような気がする」

「SDカード?」

「たぶん、彼等の弱味かな…」

 でも、何か分からない。

「そういえば、なんか携帯のパスワードがどうとか言っていたよな?なんか関係あるのか?」

「わかんない。あの時は想像で言っていたから…」

 哲平が唖然と私を見た。本当に何も知らないであそこまではったりをかましたのだ。それは驚くだろう。しかし、彼らの様子から私の想像がそれなりに当たっていたことを物語っていた。

 青木さんは携帯を取り出した。どうやら携帯からデータを読めるか試すらしい。

「どうやら、何か音声が入っているようだ」

 3人で携帯を囲むように、その音を聞いた。

『…コレか?…さすが…だ…、あの野郎、唯じゃ済ませねぇ』

 聞き覚えがある…。木澤と呼ばれる男の声かな。モノが置かれたり、椅子が引かれたりそんな音で、彼が会話しているもう一人の男の声がなかなか聞き取れない。

『…、…分かってるな』

 くぐもった声。マスクか何かを通して声が出ているようだ。フッと横を見ると隣の青木さんの顔が凍り付いている。神経を耳に集中しているんだろうか?

『金だろう?…あお…きさんは、しっかりしてるな』

「青木さん?」

 嘲笑を含んだ木澤の声は確かに青木と言ったような気がした。薄暗い病院の庭。わずかな月光。しかし、その薄暗い中でも、確かに青木さんが動揺しているように思えた。

『ガタン!』

 ステレオから激しくドアを開く音が響き、次いで木澤の声。

『誰だ!』

 その瞬間、二つの乱れた足音が続く。

『キャッ』

 女の…篤子の声?一瞬すぎて分からない。

 ッシャーン

 鋭い破壊音の後、無音状態が続く。どうやらコレで終了のようだ。冷たい空気と沈黙が3人の間を流れた。それを破ったのは黙って聴いていた哲平だった。

「どういうことだよ。青木って言ってなかったか?」

「の、ようだな」

 淡々とした感情の欠片もない声。さっき一瞬見せた動揺は消えている。

「薙子。コレはどこで手に入れた?」

「郵便で、差出人は山田花子。知らない人」

「入っていた女の声は?」

「…『篤子』だと思う」

 哲平の眉が、ピクリと上がる。

「アッちゃんは、ヤツらのこと調べていた。その時のか?でも、どうしてそれが今になって郵便なんかでナッちゃんの元に届くんだ?」

「本人が送ったんだろう」

 やっぱり抑揚のない声。

「天国からの贈り物?」

 笑おうとしたが笑えない顔で哲平は皮肉る。そんな哲平をチラリと横目で見て、次に視線を私に寄こす。

「彼女はどこからコレを送ったか分かるか?」

 哲平の皮肉を無視して私に鋭い視線を突き付ける。私は首を横に振る。明らかに『山田花子』は偽名と分かる。

「おいっ。どういうことだよ」

 私達のやり取りを見て不審に思った哲平は青木さんの肩を乱暴に掴む。私は哲平を押さえつけて言った。

「篤子は生きてるの」

 私を見る瞳が、止まった。

 理解できない彼は私の言葉を繰り返す。

「篤子が生きている?」

 コクリと頷いた。

「『篤子』は『薙子』として死んだんじゃないのか?ついさっき、お前がそう言ったんじゃないか」

 確かに、哲平に真実を告白したときは、そう思っていた。

 『篤子』は、死体になって家で見つかった。それが事実だと思っていた。哲平から悠里という人物の話を聞くまでは。

 死体からは多量の薬物が検出された。それを調べた監察医は行方不明になり、もう一度調べようにも死体は骨だけで、今は家の白い箱に入っている。

 しかし、私が最後にあった『篤子』は微塵も、薬物を使った気配を感じさせなかった。死の間際に多量の覚醒剤を摂取し、ショック死した。そう考えても不思議ではない。しかし、『篤子』が死亡した直後に行方不明になった悠里は、薬物中毒だった。

 これは、単なる偶然だろうか?私の家で死んでいたのは、『篤子』ではなく悠里では?理由は不明だが、そう考えれば幾つかの辻褄は合う。

「『篤子』は生きてる。死んだのは悠里だと思う。想像だけど…」

 青木さんも同じ結論に達した。彼は何も言わずに私達を眺めていた。サラサラと流れる金髪の隙間から垣間見れる瞳に動揺が走っていた。『篤子』が生きている。と同時に得たのは義妹、悠里の死だ。

 複雑な表情を浮かべたまま呟く。

「どうして…」

「悠里は私達にそっくりだったんでしょ?死体になったら、きっと、私の両親でも気付かないよ。他人が自分の娘の部屋で、娘の格好で、死んでるなんて思わないよ」

「じゃあ、アッちゃんがやったっていうのか?『薙子』の格好をさせて悠里を殺したって?」

 そんなわけない。

 『篤子』が人を、自分が可愛がっていた人間を殺すわけがない。では、別の人間が?例えば、木澤とか?

 でも、ココアの甘み…。

 アレは、『篤子』が私に飲ませた。


 『次、死ぬのは、あんた。許さない。』


 冷たい想像が、背筋を走る。『篤子』の字で書かれたメッセージは、『篤子』の本心なのだろうか?

 掴み掛けた『篤子』の心が、私の手を擦り抜け消える。頭の中で、なかなか絵にならないジグソーパズルを掻き回す。

「真実は、『篤子』を見付けるか。悠里を見付ける他ないか」

 どっちでも良さそうな青木さんの声が、溜息混じりに聞こえる。その言い方にピクリと哲平の眉が跳ね上がる。

「悠里はオレが散々捜しても見つからなかった。アッちゃんにしたって、高校生が一ヶ月以上もどこに隠れられるんだよ」

「したたか女だ。どこにでも隠れられるだろう」

「アッちゃんは、そんな女じゃない」

「どうだかな」

 運転席から私を見上げ、青木さんは口元にうっすら笑みを浮かべている。この人はどんな人なのだろうか?さっきまで私を慰めていたのもこの人だったのだろうか?

「どっちにしろ、まだ何かある…。このSDカードは預かる」

 私は頷きながら、青木さんを見遣る。この人は事件さえ解決すればいいのかも知れない。

 わかったようなわからない複雑な人だ。

「まだ、オレ達は命を狙われるのか?」

 哲平の呟きに、青木さんはクスッと笑みを浮かべていった。

「お前は誰にも狙われないよ」

 冷ややかな微笑みを哲平はギッと睨め付け、掻き上げた金髪の隙間から今度は私に視線を投げる。

「どうするんだよ。ナッちゃんは?」

「どうするって?」

「このまま『篤子』として暮らせるわけないだろ。アッちゃんが狙われていたんだ。アンタは関係ないんだから…」

 関係ないか…

 何故か、胸がチクリと痛む。

「薙子には、暫く『篤子』でいて貰おう」

 淡々と私にそう言った主を見下げた。でも、先にそれに反応したのは私ではない。

「アンタ、アホか?このままナッちゃんが『篤子』でいれば、変なヤツらがまた出て来るんじゃないのか?警察のくせに一般市民を巻き添えにして事件を解決する気か?」

「…私、いいよ」

 振り返って私を見る哲平の瞳は痛かったけど、私はまだ何一つ知らないような気がしてならない。『篤子』の本当の顔は、『篤子』にならなければ分からない。

「ちょっと、アンタ。わかっ…」

「決まりだな」

 冷ややかな声が、哲平の反論を遮る。青木さんは運転席から立ち上がり、今度は私を見下げる。

「大丈夫だ。オレが守る…」

 自信に満ちた大人の顔。優しいけど冷たい言葉に、私は頷く。

「信じらんねぇ。コイツ」

 本当にとんでもない刑事である。哲平の呆れたような声に私は微笑む。

「アンタもだよ。」

 そして、私を見る彼の瞳がワタシを映す。

「本当に姉妹揃ってバカだ」

 何だか可笑しくて頬が緩む。

 笑える状況じゃないのに、何だかすっきりしたような感覚。

「何、笑ってんだよ」

「だって、哲平って心配性だなって。バカみたいなのはアンタも同類でしょ。血の繋がらない妹の心配をしたり、思ったより情に弱かったりして…」

 そうなのだ。私の倉本哲平像は、軽い嗤いを終始顔に浮かべた軽薄な人間だった。

「情って…。オレは別に…。椎名薙子の方こそ、こんなバカだとは、思わなかったぜ。もう少し利口なヤツじゃなかったのか?」

「頭のいい女は嫌いじゃなかったの?」

 前に『篤子』に言った言葉の揚げ足を取る。

「つくづく嫌な女だ」

「大いに結構よ。アンタに好かれたいなんて全然思わないから…」

 今まで、『篤子』として、かなりイイ子にしてきた反動が、一気に爆発したように皮肉を言いまくった。私は元々こんなヤツなのだ。

「その性格は死んでも直らないんだな」

「全く、そうみたいね」

 ニヤリと哲平を見て、笑ってしまった。久しぶりに笑った。青木さんは、その間、煙草に火を付けて上へと向かう煙草の火を見つめていた。



「一人で、大丈夫か?」

 後部座席の窓から私を見上げて心配そうに哲平が聞いてくる。青木さんがマンションまで送ってくれたのだ。マンションにはもう誰もいない。母さんが入院して、今夜は一人になる。

「全く、守るって言ったんだから、ずっと付いていてやればいいのに」

 聞こえるように哲平は運転席を見る。

「オレは別に彼女の家に居てもいいが…」

 落ち着いた声で、私にとってはとんでもないことを言ってくれる。

「いい。そこまでしなくていい」

 慌てて両手を振ってそんな申し出を断る。「じゃあ、オレがついててやろうか?」

「いいってば!」

「でも、おばさんが退院するまで一緒の方がいいんでない?一人にするのは危ない」

「アンタと一緒の方が危ないんじゃない?」

「お前なぁ。人が心配してるっちゅーに」

「私はアンタに今まで泣かされた女の子のことを心配してしまうけどね」

「この女は…」

 額の血管が浮かんで見えそうな哲平を見下げる。いつの間にか真剣な表情の哲平に心臓が一旦停止しそうになる。

「お前にもしもの事があったら、おばさん、本当に生きていけないぞ」

 その言葉に忘れていた母さんの自殺未遂を思い出される。哲平は全開にした窓枠に両腕を組み、顔を乗せる。

「お前の母さん、あの人を思い出させるよ」

 俯いた瞳はアスファルトを見ているのだろうか。私からは彼の瞳に宿る悲しみが今は見えない。自分の母親を想っているのか?それとも、愛のない結婚を娘のためにした継母を思っているのだろうか?

「薙子」

 運転席から私を呼び、いつの間にか付けた煙草の煙を燻らせながらしっかり言った。

「戸締まりはしっかりしろ。チェーンは直させたから。知らないヤツは家に入れるな」

「分かってる」

「火の後始末もな」

 皮肉。

「…分かってる」

 それだけ言うと、青木さんはアクセルを踏んで私の前から消えた。エレベーターに乗り重たい足を自分の家へと運ぶ。家が荒らされたのも、捕まって銃を突き付けられたのも、母さんが自殺しそうになったのも随分前のことに感じる。全部、今日起こったことなのに。

 鍵を開き、緊張した面持ちで中に入る。妙に整理された部屋は、私が荒らされた部屋を元に戻した時の名残。バスルームの前で足を止め中を覗く。綺麗に全て洗い流されていたが、バスマットにピンクの跡が残っている。

 リビングに腰掛け、空虚な空間に自分の存在を確かめる。

 ここにいるのは、誰?

「薙子だよ」

 誰かの替わりに自分で言う。不意に手前のソファの下に視線が止まった。

「写真だ」

 箱にしまっていた写真も部屋を荒らされた時、かなり散らかされていた。その時の一枚がソファの下に潜り込んだのだろう。そっと写真を拾い上げる。その中で『薙子』と『篤子』が笑っていた。小学生か、もっと前かな。私は他の写真をしまい込んでいた箱を開ける。箱から懐かしい思い出が吹き上げる。ソファの下で見付けた写真を中にしまい、目に映った別の写真を拾い上げる。

 母さんが、赤ちゃんだった『薙子』か『篤子』のどちらか一方を抱いている写真だ。やはりどちらか見分けることは不可能だ。

 思い出さないようにしていた母さんの言葉が蘇る。

(双子なんか生まなければ良かった)

 唸るような母さんの呟き。聴かなければ良かった。私も、何度となく双子に生まれた自分を呪った。双子でなければ、もっと、『篤子』に優しくできたのでは?

 きっと、それは無い物ねだり。双子でなくても私はワタシで、嫌な人間になっていたかも知れない。でも、母さんがそう思っていたことがショックだった。

 私は何も知らなかった。『篤子』のことも、父さんのことも、母さんのことも何も知らなかった。母さんはどうしてあんな事を思ったのだろうか?手にした写真の母さんは赤ちゃんを抱き、唯、儚げに笑っていた。

「母さん…。どうして?」

 写真を手にしたまま、私はドサリとソファに横になった。写真を片手に持って宙に浮かせ、写真の母さんに尋ねるように呟きを続ける。

「どうして…」

 答える訳のない母さんが悲しげな微笑みでジッと私を見つめる。この赤ちゃんを抱く母さんは何故かとても悲しそうなのだ。

 ガバッと私はソファから身を起こした。

「そうか…。そうだったんだ」

 ジグソーパズルの欠片の居場所が一つ見つかった。



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