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重ねる過ち

「はぁ、ここは?」


気が付くと大広間にいた。

並ぶ生徒の列。

どうやら入学式は始まったばかりのようだ。


「はぁ、またか」


楯は頭を抱える。

多重人格症

小さい頃からの病気で人の心臓の音や胸を触られたり感情がある程度一定値を超えると決まって人格が入れ替わる。そして入れ替わった時の記憶が一切ない。


「何もなければいいんだれど」


楯は叶わぬ願いをした。

何故なら人格入れ替わりが起きた時に何もないことなど一度もないから。


「隣いいか?」


声がする方を向くと男子生徒が立っている。


「どうぞ」

「ありがと。そう言えば名乗っていなかったな俺は苗社天馬(なえやしてんま)だ。天馬て呼んでくれ」

「月篠楯だ。こっちも楯でいい」


自己紹介を終えて天馬は隣に座る。


「そう言えば知っているか?俺ら新入生には凄い奴が多いそうだぞ」

「そうなのか」

「あぁ、何だってあの神紗己家と夕暮家がいるんだから」

「神紗己?夕暮?」

楯の質問に天馬は驚きを隠せなかった。

「お前知らないのか?この業界では有名じゃん」

「悪い。ぜんぜん知らない」

「そっか、まぁ、俺もあまり詳しくないんだが日本で有名な家柄だそうだ」

「そんなに有名なら一度会ってみたいな」

「夕暮ならすぐに会えるぞ」

「本当?何処で会える?」

「お前に今膝枕されてるのが夕暮だ」


天馬が楯の膝を指差す。

指差す方をゆっくり視線を移す、見ると朱色ロングの少女が寝ていた。


「は?……………いつの間にっ!」


キューっと目を回し、楯の膝に身を預ける少女の寝顔にどぎまぎし混乱を抑えられない楯。


「何っ!?何なのっ!?」

「どうして驚いているんだ?…楯が口説いてこの状況にしたんだろ」

「お、俺が、か?」

「あぁ」


深く頷く、天馬。

楯は思考を巡らせる。

ただ、心当たりはあるのだが、記憶にない。

きっと、人格が入れ替わったのが原因だろう。

天馬、いわく。

遡ること数分前───


「隣いい?」


楯は朱髪ロングの少女に声ををかけた。


「どうぞ」

「ありがと」

「そう言えば自己紹介がまだだったな、俺は月篠楯だ。君は?」

夕暮(ゆうぐれ)紫乃(しの)

「紫乃か。いい名前だな」

「えぇ、!?」

「どうした?」

「いや、一度もそんな事言われたことないから」

「そうなんだ。可愛い名前だと思うんだけど」

「そんな……こと………ない////」


紫乃は顔を赤くして答える。


「可愛いなんて言われたことないから」

「そんなことないよ君はとても可愛いくて綺麗だ。そして君も」


楯はそう言うと紫乃の顔に触れた。

それと同時に紫乃は顔を真っ赤にして慌て始める。

楯は紫乃の顔を自分の方に向けた。


「いい素質を持っている。だから、君も俺の物にする」


そうして楯は紫乃の唇を奪った。

ボン!!

紫乃の頭では処理が追い付かなくなりショートした。

そして楯の膝に倒れた。


「ふぁ~あ、なんだか俺も眠くなってきた」


楯は目を瞑り眠り始めたその瞬間楯の髪を赤から元の黒に戻る。

人格が元に戻りそして今に至る。


「何やってんだ!!僕ぅぅぅぅ!!」


楯はまた頭を抱えて小さく叫んだ。

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