妹よ、余計なことはするな①
妹が出来たのは嬉しい。はっきり言って超嬉しい。夢が現実になったんだからな……。
でも、妹ってどう接したらいいんだ?しかも、義理の妹だぞ?
今まで妹のいなかった俺には接し方が分からなかった。
友達じゃあないし……家族だけど、今なったばかりだし、しかも、義理の妹……。
こんな細かい所までは妄想してねえ……もっと、後のことばかり妄想してたからな……。
実際に妹が出来るなんて思わないだろ……。
俺の可愛い、可愛い、妹様はテレビをご鑑賞になっている。
いきなり、くつろぎすぎだろ……。
親父達が出て行ってから、三時間ほどしか経っていない。
適応能力高すぎだろ、俺なんか今悩んでる最中なのに……。
「ねえ、ねえ、お兄ちゃん」
「何?マイシスター」
「ご飯どうすんの?」
あー、そう言えば、もうそんな時間か。
あの大騒ぎのせいですっかり忘れてたわ……。
「何食いたい?」
「何でもいいよ、食べれたら」
「嫌いなものとかないのか?」
「苦いやつは好きじゃない」
「じゃあ、なんか適当に作るわ」
「ふーん」
妹様はテレビに集中してあまり話は聞いてないみたいだな……。
文句言われたら、別のもの作るか……。
「おい、出来たぞ」
「へえー、ちゃんと作れるんだ」
「ほとんど、一人暮らしだからな」
親父は年に数回帰ってくるだけだし、嫌でも、料理は出来るようになるだろ。
パクっ
「お兄ちゃんは天才ですか?」
「はあ?」
琴羽は唐揚げを一口食べて、そう言った。
「だって、私、こんなに上手く出来ないもん、今までの唐揚げで一番美味しい」
「そうか?普通だと思うんだが……」
「美味しいよ!」
パクパクっ
すごいスピードで食べていく琴羽。
俺の分なくなりそうだ……。
「お前も料理出来るんだろ?」
「ちょっとわね」
パクパクっ
琴羽はしゃべりながらも食べるのをやめない。
今度からもうちよっと量増やそう……。
「お前も一人暮らしみたいなもんだろ?」
「うん、お母さんも仕事だしね」
「明日はお前が作ってくれよ」
「いいけど、あんまり期待しないでね」
「じゃあ、期待しないで待ってるよ」
それと、と琴羽が言葉を続ける。
「お前じゃあなくて、ちゃんと琴羽って呼んでよね」
「なんか、恥ずいし……」
「ヘタレお兄ちゃん」
ヘタレって言われてしまった……。
いきなり、名前じゃあなくてもいいじゃないか……マイシスターでいいじゃないか。
「マイシスターじゃあダメか?」
「はあ……」
琴羽は大きな溜息をついた。
「分かったよ、ちゃんと呼ぶよ」
そう言うと、琴羽は目を輝かせて。
「それでこそ、私のお兄ちゃんだよ」
なんか知らんが認められたらしい。
そんな話をしている間に食い終わった。
それにしても、琴羽はよく食べるな……。琴羽が太るのは防ぎたいんだが……。琴羽にはこのまま、可愛いくあって欲しい……。もうちょっと、身長が低い方が妹っぽい気がするが……。まあ、それだと、ロリ妹になっちゃうからな、これぐらいが良いだろう。
翌日、俺は琴羽が起こしに来てくれるだろうという甘い考えだった。妹が出来たんだから、当たり前だろうと……。しかし、現実は……。
「なんで、まだ寝てるんだよ……」
俺の妹はねぼすけさんだったらしい。
「なんでだよ、普通、逆だろ、逆」
普通はお兄ちゃん、起きて、朝だよ♪って言われて始まるだろ普通……。
え、何?俺が琴羽、起きて、朝だよ♪ってやらないといけないのコレ?
現実の妹との生活は少し違うようだ。
俺の妹は未だにすぅ、すぅと寝息を立てて寝ている。
「琴羽、起きろよ、琴羽」
「むぅ、ん……」
一向に起きる気配がない。
あ、分かった、これはあれだな、いたずらしていいですよっていうフラグだな、してなかったら、少し機嫌が悪くなるやつ。
いきなり、極度のやつはやめた方がいいだろう。俺の選択はこれだ!
「こちょこちょ」
和人はこちょこちょを繰り出した。
しかし、何も起こらなかった。
全然起きなかった。
「全然起きねぇ……」
なんでこんなに起きないんだ?病気とかじゃあないよな……。なんか、心配になってきた。
「おい、琴羽大丈夫か」
「すぅ、すぅ」
全然起きねぇな……。多少強引だが仕方が無い。
「起きろおおおおおお!」
琴羽の身体を強引に揺すった。
流石にこれなら……。
返事がないただのしかばねのようだ。
「これでも、駄目なのか……」
俺はそのあとも耳元で目覚まし時計を鳴らしたり、濡れたタオルをかけたり、無理やり座らしたり、色々したけど無理だった。
まだ、間に合う時間だがこの調子じゃあな……。
7時30分になった、その時……。
眠り妹が目覚めた。
「あ、おはよう、お兄ちゃん」
「え、なんで?」
なんで急に起きたんだ?何しても起きなかったのに……。
「なんでって?」
「全然起きなかったのに……」
琴羽は周りの物(起こす時に使った物)を見て気づいたのか納得した顔だった。
「あたし、決まった時間にしか起きないから」
「……」
俺はなんだか、やるせない気分になり、先程使用した、タオルを琴羽の顔面めがけて投げた。
「きゃっ!何するの!お兄ちゃん」
「そういう気分だったから」
「気分でタオル投げられたの!?」
これは、お前が悪い。
これからは起こすといったことも起こされるといったこともなさそうだ。
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