窓から
電車の窓際に座ると、片手は窓のほうへ行く。もう片方の手は隣の座席へ。これが一番落ち着く。
電車がゆっくりと発車して、目に留まらない速さで動く額縁に、中の絵である景色たちも大変だ。
コンクリートのマンションばかりだったり、
よくわかりづらい広告のオンパレードだったり、
電線の走った古き良き田園風景であったり。
東京で乗った額縁は人だらけ。
小さな小学生から、小さな老人。
何かを手にしたスーツ姿の怖いお兄ちゃんがそれを埋め尽くしている。
田舎の私鉄に乗ると窓が開けられるくらいガラガラだったりする。
額の下には小さな置き場があって、そこにおにぎりやペットボトルを置いての昼食も楽しめる。
それらも額の中に納まって、味のある絵の出来上がりだ。
富士山を見たければ新幹線に乗ればいい。
小さな額になってしまうけれど、その小さな額に入りきらないほどに大きな絵がそこにはある。
島を見たければ飛行機に乗るといい。
飛行機の小さな額から見えてくるのは、まず空だ。
羽が空を切っているのが見えるだろう。
雲の下がきっぱりと切れている光景も見ることができるだろう。
下を見ると、エメラルドグリーンのきれいな海が見えるようになる。
そしてその中に浮かぶ小さな島も。
一つの絵としてとても楽しめることだろう。
さまざまな額縁から見える風景を、貴方方も楽しんで欲しい。