屋上で解けた
皆さんお久しぶりです!
ちょっとした気晴らしに書いてみましたたた。
適当に呼んで、「ぶふっ下手ッ」とでも思っといてくださいー☆
えっへへ
「おかん、行って来るわー」
「いってらっしゃい」
黒いネクタイを適当に絞めて、首もとから3つ目のボタンまで面倒なので止めず、
髪は邪魔なのでポニーテイルで完全排除。
・・・と言うように。
乙女の象徴の髪さえも、適当なポニーテイルで済ます私。
桐谷癒羽、城島学園の高校3年生。
趣味といえば運動。特技といえば運動。
性格?・・・とにかく短気。すぐキレる。
嫌いなものといえば、女子。
好きなものといえば、さっぱりした人。
基本的に人間は好きだけど、女子は怖い。あれはおかしい。
「癒羽ーはーよー」
のろのろと歩いていると、後ろからもまったのんきな声が聞こえた。
「はよ、玲雄」
これぞ真面目の象徴といえる、黒髪めがね。
篠出玲雄。
黒髪めがねのくせして、超イケメン・超器用・・・。
まとめるとあれだ。
何でもできるキザ野郎。・・・ケッ。
「癒羽今日も馬の尻尾?」
「ポニーテイルって言えよ。てかポニーテイルで悪いかっつの」
「ベーつーにーわーるーくーなーいーけーど」
「いちいち伸ばさなくていい。さっさといえキザ野郎。ケッ」
「ちょ、まって。最後のケッはいらねーだろ。あー・・・ほらーお前もさぁ?
い・ち・お・う、今時の女子高生じゃん?だからぁ、サイドテールだのツインテールだのって
色々あるだろ?乙女の象徴じゃねーか」
「黙れキザ野郎・・・チッ。何が乙女の象徴だっつーの。私は私、周りは周り。
区別はつかないとだろ」
「はいはい・・・。でも、俺マジで癒羽のポニーテイル以外の髪型見たことねー」
「そうでっすねー」
まぁそらそうだろ。
高校からの付き合いだし、修学旅行もまだだし。
下ろして学校に行くことがないし。
家族以外はあんまりみたことないだろうな?
「あとその口調!」
「あぁ?」
「それそれ!男みたいじゃねー?」
「知るかよ。もとからこういう風な口調なんだよバーカ」
あまりにもれおがうるさいので、私は少し早歩きで学校に向かった。
・・・別に、やりたくてやってるわけじゃねーのに。男口調なんて。
******
学校について、校門をくぐると私は轢かれた。
え?何にかって?
・・・
女子の代軍に。
「れお様!おはようございますっ」
「おはようございますぅ」
皆さん朝からめろめろですことで。
でも痛い。でも背中がとても痛い。踏まないで、退いてください。
「おはよ。癒羽、いくぞ」
「・・・この状態で動けると?キザ野郎バーカ」
そんなことを言ってると、女子達が横にささっとよけていった。
私たちがとおりすぎた後、コソコソと何か言っていたのは知っている。
・・・あぁあ。怖い怖い。
教室に入ると、またしても私は女子に轢かれた。
その後は省略するが、今度は自力で這い上がって席につけたのだ。
「はぁ・・・。車より迫力あるってどういうことだよ」
ダンプカーに轢かれるより怖いぞ、私は。
れおはというと、超さわやか笑顔を振りまいている。
・・・
「・・・キザ野郎死んでまえ」
「んだと?!」
珍しく聞き取ったらしくつっかかってきた。
「なんでもないですよーん。ハハハハハハハハハ」
「もう笑い方が尋常じゃない。怖い」
「黙れ腐れキザ野郎」
「どんどん俺の存在が下がってきているとはどういうことだ」
「知るか。ほら、さっさと屋上いくぞ」
いつもこんなことをしながらも、私とれおは毎日一緒にいる。
屋上。
「なんか今日、風強くね?」
「だなぁ・・・。でもいいぐらいかも」
手すりに体を預けて、ふぅっと息を吐く。
「なぁ」
「なに?」
「・・・なんで女子ってダンプカーより怖いわけ」
「何で俺に訊くんだ!?」
「いやだってあんたが一番女子の近くにいるだろ」
「いやだからってそれはわかるわけねーよ」
「チッ。つかえねぇ」
「うわ!今さらっと酷い事言った!さいってー!」
「ハイハイ。最低で結構です。それよりさぁ、ってうわ」
ブオンッとすごく強い風が吹いた。
私がスカートを抑えた拍子に、今日はゆるく結んでいたポニーテイルがほどけてしまった。
「あ、ゴム!」
ゴム落下。
ガーン・・・・。
私の髪は風が収まると、ひらりと腰のあたりに毛先たちが着地した。
「あ・・・髪・・・」
「ん?あぁ、ゴム落下した。うわーじゃまー」
「・・・下ろした・・・」
「何か言ったか?」
「いや、髪の毛下ろしたの初めて見たって」
「なるほど」
「・・・髪、意外となげーんだな」
「まぁね。長いからいつもポニーテイルで排除してるんだが」
私の髪は、風が吹くたびになびいた。
・・・はっきりいって邪魔なんだけど。
「今日もサボる?」
「常習犯みたいに言うなよ」
「正味常習犯だろーが」
「正論とか思うなよバーカ。ちなみに今日はサボる」
「ほらみろ!常習犯だっ」
「はいはい。常習犯で悪かったな」
サボる、っつったって、授業をサボるわけではない。
じゃぁなにをサボるかと言うと、委員会をサボるわけで。
「そろそろホームルームはじまるんじゃねーの?」
「だな。んじゃ、戻るか」
「あ・・・癒羽・・・」
「ん?なに?」
「あ、いや、その・・・。髪、いいのか?」
「え?あぁ、これなぁ。。。ゴムが落下した以上なんともできないしな」
はぁとため息つく。
今日はめっちゃ邪魔なんだな・・・はぁ・・・。
「ちょっと一個言っていいか?」
「いやだ」
「なんでだよ、いわせろ」
「やなこった。どーせいらんこと言うんだろ」
「だれもそんなこと言ってない」
「常習犯は毎回こういう風に疑われるのさ」
「お前何様だよ。まぁいいけど。つかいわせろ」
「・・・しゃぁないなー。はい、どうぞ。いってください」
「・・・癒羽って、髪下ろしても可愛いな」
・・・えーっと・・・。
こいつは何を言ってんだ?
髪下ろしても可愛い・・・。
私に一番当てはまらない言葉なような気がするのは気のせい?
「れお君。なに言ってるのかね、君」
「・・・さぁ。俺もわかんね」
「自分で言ったくせに」
頬を染めているれおが少し可愛くみえた。
「なんだよ・・・こっちみんな・・・」
「いやだって・・・プフッ・・・あんた、めっちゃ顔赤い・・・」
「なっ。。。!?そんなことを言うのかお前は!?」
「自業自得と言う言葉を知らないのかキザ野郎が」
「はぁ!?おま・・・人がせっかくほめたってのに!もうちょっと女らしくできねーのかっ」
はぁ・・・。
なんだこいつは、本当に。
「ほら、早く行くよ?ホームルーム始まっちゃう」
久しぶりの女口調。
自分でも新鮮だと思った。
「あ、あうあ・・・?あ、あぁ、そうだな」
頬をボッと赤色に染めて、目をそらしまくるれおが今は可愛い。
毎回こういう風ならかわいいんだけどなぁ。
あ、一応いっておくけど、私も中学校までは普通に女口調だったわけなんだけど。
相変わらず女子と絡む事は少なかったけど、口調は普通だ。
なんでこんな風になったかっていうと、女子からの変な批判を受けないため。
男子と話していても、「こいつ男好き~」とか思われるのがうっとしーので、
男口調でそんなこといわせねーみたいな感じにしている。
できるものなら女口調に戻したいものだ。
「ね、れお」
「え?!あ、なに!?」
「・・・私って、やっぱり女口調のほうがいいのかな?」
「あ、いや・・・それは、その、どっちでもいいと・・・」
「・・・そっか。じゃぁ、容赦なく男口調でいいか」
「うわぁ・・・男口調にしっくりくるとかこわぁ・・・」
「知るか」
後数年経てば、私も普通に女口調になっているだろうか。
なんににもとらわれず、さらけだせるのかね。
・・・願うはこの未来に、私とれおが二人一緒であること。
屋上で解けた私の髪だけでここまで考えさせられるとは思わなかった。
「ね、あんたって私の事好きなわけ?」
「は、はぁぁぁ?!なっわけないじゃ、じゃん・・・・」
「うろたえてるれおに拍手」
「鬼ぃぃぃぃ!!!」