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第二章 『アイロンと風』

 「ええ!辞めるの!もったいない」

 「当たり前だろう。あんな部活、命がいくつあっても足りやしない。それに、あんな場所でアイロンかけても意味ないし」


 あれから三日が過ぎ、登校し嶋本先生が作ろうとしていた部活を辞める旨をみかに伝えたところ、大仰に驚かれた。


 「なんで?結構楽しそうだったじゃん」

 「実際やってみてからそう言ってくれ」


 みかは何か不思議なものでも見るように僕を見つめていた。


 「真一に絶対合ってるよあのスポーツ」


 アイロンがけがあっているというのも心底馬鹿にされているようで腹が立つ。


 「冗談じゃねえよ。あんなんで死んでみろ。葬式でみんなに別の意味で泣かれるよ」

 「あー、それはあるかも、なんであんなアイロンがけで命かけたんだろう。馬鹿馬鹿しくて泣きたくなってくるって。うん、約束する。私が一番泣いてあげるよ。笑いながら」


 みかは面白そうに笑う。


 「でも、今までみたくダラダラしてるよっかはマシなんじゃない?」

 「それでも嫌だ」


 僕は不機嫌な顔を隠すことなく、そう突っぱねた。

 今日は授業も終わったことだから、これから家に帰ってダラダラする事に決めた。

 あんな体験をした後でわかる事だが、安穏とした日常に甘んじるのもまたひとつの人生の形である。

 僕は鞄を持って学校を後にした。


 「そんな事言って、絶対あんたはアイロンしだすわよ」


 僕は背中でみかの言葉を受け流しながら、学校を後にした。

 僕は家につくとそのまま自分の部屋に引き篭もり、ゲーム機のスイッチをつける。

 同級生に借りた、最近出たばかりのロールプレイングゲームで噂の超大作だ。

これで少なくとも三時間は潰せる。

 だが、どうしてだろうか三十分もしないうちに僕は飽きてしまった。

 なんだろう、やっぱり満足しない。

 前みたいな、何か胸の奥に蓋をしたような、そんな感覚だ。

 僕は小腹が空いたので、居間に降り、テーブルの上のみかんを食べる。

 その時、たまたま、そう、たまたま和室にあるアイロンとアイロン台が目に入った。

 親父のシャツだろう。

 純白のシャツがアイロン台に放り投げられており、その横にアイロンが立てられている。

 僕はそのアイロンに手をとってみる。

 スイッチを入れてシャツの上に押し当てる。

 アイロンの下のシャツに刻まれた皺が、アイロンを滑らすとまるで魔法にかかったみたく消えてゆく。


 「あんた何やってんの?」


 後ろから突如母親に声をかけられ、僕はびっくりしてその場を飛びのいた。


 「真一アイロンかけてくれてたの?珍しいね」

 「いや、やりかけだっただろ?ちょっと気になって」

 「ふーん、変なの」


 僕は適当に言い繕い、その場を離れた。

 どうかしてる。外に出よう。

 僕はジャージに着替え、ランニングシューズを履くと外に出た。

 なんだか無性に走りたくなった。

 体を思いっきり動かしたい。

 最初は早歩きくらいのペースで走り出す。

 徐々にペースを上げていく。

 そのうち息が苦しくなり、肺が激しく酸素を求めて喘ぐ。

 僕は公園まで走りきる。

 公園につく頃には僕はぜいぜいと息を切らし、そのまま砂場に倒れるように寝転んだ。

 しばらくは砂場に寝転んだまま、ぜいぜいと息を切らし、空を見上げていた。

 空は憎たらしいまでに遠く、青い。

 吸い込まれそうなくらい遠い空を見上げていると僕と空との間に、子供の顔が入った。

 自分の縄張りで寝転んでいる変な大人を見て不思議に思っているのだろう。


 「なにしてるの?」

 「なにしてるんだろうな」


 僕は息も切れ切れにそう答えた。


 「へんなの」

 「へんだな」


 そうだ、まったくおかしい。

 この三日間、家に帰るとこうなる。

 何か、こう、頭の芯から熱くなり、泣きたくなる。

 子供はしばらく僕を眺め、僕が砂場からどく事が無いのをわかり、走って立ち去った。

 僕は何をしているのだろう。

 こんなところで大の字になってたって仕方ないのに。

 その時、空からバスケットボールが降ってきた。

 それは僕の鼻の上にまっすぐに落ちると、僕の目の中に星を降らせた。

 遅れて感じる鈍い痛み。


 「……いってぇ」    


ジンジンと痛む鼻を押さえてよろよろと立ち上がる。

 僕は転がるバスケットボールの持ち主を探し辺りを見回すと、制服を着たみかが立ていた。

 学校帰りなんだろう。

 みかは地面を転がっているバスケットボールを拾い上げるとため息をつく。


 「ナイッシューだ。かなり痛かった」

 「そりゃどうも」


 みかは僕をみて呆れ果てたような顔をしていた。


 「何してんの?」

 「アイロンかけてるように見えるかよ」

 「見えないわよ」


 僕はよろよろと立ち上がる。

 丁度いい。

 僕はみかに言った。


 「みか、丁度いい。つきあえよ」


みかは驚いたように目を見開き、顔を赤らめると少し俯く。


 「真一の気持ちは嬉しいけど遙に悪いよ」

 「馬鹿野郎。違うって、運動すっからちょっと付き合えよって意味だ」

「……あっそ!」


 僕がそう言うとみかはバスケットボールを僕に思いっきり投げつける。

 僕はそれをかろうじてキャッチするが、思いっきり手が痺れた。

 腕に走る痛みに顔を歪めるが、僕はそれを地面に叩きつけ、ドリブルを始める。

 そして、公園の端に設けられているバスケットボールのハーフコートにドリブルしながら駆け込むと、僕はゴールに向かってシュートする。

 ドリブルシュートだ。

 ボールはゴール板の上でバウンドし、ゴールのリングに弾かれて地面に落ちた。

 だが、そのボールはすぐにみかに拾われ、弧を描いてリングの中に吸い込まれるように落ちる。

 さん、と網を揺らしボールが落ちる。

 僕がみかを見やるとみかは得意そうに笑っていた。


「ナイッシューでしょ?」


 その顔がとても、眩しく、また、僕を苛立たせた。

 僕は鼻の頭を親指でこすると、ボールを拾い上げるとみかに投げた。

 みかはそれを胸の前で受け止めると、地面にタムタムと叩きつけ、ドリブルを始める。

 そして、挑戦的に僕を見る。

 僕にボールを奪えと言っているようだった。

 僕はそのままみかに一直線に走る。

 みかは僕の前で体を左右に振り、僕が一瞬怯んだその隙に僕の脇を通り抜け、ゴールに走る。

 僕が振り向いた時には、みかはゴールに向かってジャンプしていた。

 みかの手を離れたボールが綺麗にゴールに収まる。

 そして、風の中に舞う羽のように軽やかにコートに降りたみかは憎らしいほどに眩しかった。

 みかがコートを転がるボールを僕に投げてよこす。

 僕はそれを受け止めると同じようにドリブルを始める。

 みかが次の瞬間には僕の前に立っていた。

 僕は体を半歩さげ、自分の後ろにボールをかばうようにしてみかの横を抜けようとする。

 みかは巧みに体をさばいて僕の前に立ちはだかる。

 僕が必死にみかを抜こうとするが、みかはそれを余裕でそれを阻む。

 その表情には余裕の笑みがあり、僕はそれが無性に腹立たしかった。


 「……っくそ!」


 僕はみかを押しのけるようにして抜く。

 だが、その時にバランスを崩し地面に倒れそうになる。

 僕は地面に倒れこみながら、やけくそ気味にシュートを放つが、ボールはゴール板の上で弾むと、そのままコートの上に落ちた。

 僕は地面に転がると、得意げな笑みを浮かべるみかを見上げた。


 「真一がバスケで私に勝てるわけないじゃん」

 「うるせえ」


 僕は立ち上がると、再び、みかに挑んだ。

 その後、何度も僕はみかに挑んだがことごとく負けさせられた。

 どれくらい僕は負け続けただろう。

 もう、気がつけばあたりは暗くなっていた。

 みかはもういい加減呆れたのだろうか、コートの上で倒れている僕を眺めながらボールを地面にタムタムとついている。


 「真一、もう帰ろうよ」


 公園の街灯が淡く輝く。

 蛾がどこからかやってきて、街灯にたかる。

 僕は鉛のように重たい体をひきずるように持ち上げ、立ち上がるとバスケットのゴールに支柱にしがみつく。

 靴を脱ぎ、靴下を脱ぐ。


 「真一?」


 みかが心配そうに僕を見るが、僕は構わずバスケットのゴールの支柱にしがみつくと、それをよじ登り始めた。


 「真一!危ないよ」


 僕はそれに構わずゴールの上によじ登る。

 僕はゴールの頂上まで上りきると、ゴール板の上に腰かけ、リングの上に足を乗せた。

 そして、僕はそのまま腰を上げる。

 直径2センチにも満たない鉄のリングの上に立ち、軋むゴール板に僕は何か落ち着きを感じている。


 「真一!降りなって!壊れたら危ないよ!」

 「……そうだな」


 僕は地面で心配そうに僕を見上げるみかから目を逸らし、空を見上げた。

 今にも壊れそうなゴールの上で空を見上げるとそこには僅かに星が浮かんでいた。

 僕はとりあえず、叫んで見た。


 「ウオオオオオオオオオオオオオオ!」


 みかがびっくりして何かを言っているが僕には聞こえなかった。

 僕は何かどうしようもない、憤りを叫ぶ事でしか表す事ができなかった。


「どうしよう……みか」


 呟く僕に、みかが心配そうな顔を向ける。


 「俺……どうしようもなく、アイロンかけたい」


 ふと、こぼれた言葉はどうしようもないまでの僕の本音だった。

 そう、遠藤真一は、ただ、今、この瞬間において生きている証が欲しかったんだ。


   ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 僕は次の日の放課後、嶋本先生のところに足を運んでいた。

どうしようもない思いが胸の中で渦巻いていた。

 それを止める術は僕には無かった。

 夕日の差し込む誰も居ない教室。

 嶋本先生は一人、明日の授業の用意をしていた。

 嶋本先生は何かを決意した僕の目を見て、開いていた教科書を閉じた。

 先生は僕の方を見て、全てをわかったような、そんな目で優しく聞いてきた。


 「遠藤、アイロン……好きか?」


 僕は泣きそうになりながらも答えた。


 「先生、俺、アイロンかけたいっす……」


 差し込む夕日の中、先生は優しく笑っていた。

 僕には迷いはもう、なかった。

 先生はがっしりと僕の手を握る。

 僕はその手を握り返した。


   ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 次の日以降、僕の生活は一変した。


「っしゃあっ!」


 まず、朝早く起きると早朝のランニングに出る。

 一時間、大体十キロ前後走ると今度は公園で筋力トレーニングを始める。

 腕立てを五十回、腹筋背筋を五十回、そして、インディアンジャンプを四十回、これを三セット繰り返す。


 「真一……もう駄目」


 トレーニングに一緒についてくるみかはいつも途中でギブアップする。

 そして、家に戻り体が暖かいうちにプロテインで朝食を採る。

 軽くシャワーで汗を流すと、登校する。

 僕のトレーニングに付き合うみかは、もうこの時点でふらふらしているが、僕も最初の頃は結構疲れた。

 そして、授業中に少し休み、放課後、今度は嶋本先生と特別メニューをこなす。

 グラウンドの隅にあったプレハブ小屋を改修し、そこを部室として使用し、先生から色々な講義を受ける。

 まだ、正式な部として認可されていないアイロン部には立派な部室等無い。


 「いいか、遠藤、エクストリームアイロンは危険な場所でやるから意味がある。そして、危険になれば危険になるほど死の可能性が高くなる。だが、正しい技術と体力、そして、万全の計画をもってすればその危険はコントロールできる」


 それが嶋本先生の口癖だった。

 嶋本先生は聞くところによると先生になる前は消防のレスキュー隊員だったらしく、ロープを使ったラペリング技術や、スキューバダイビングの技術に習熟しており、僕は先生といるときはもっぱらロープの結び方や、ダイビング機材の扱い方を学んだ。

 先生が居ないときは、みかが持ってくるバスケ部のユニフォームでアイロンがけの練習をしたりもした。

 そして、夕方、帰宅するとバイクの免許を取るため、教習所に通った。

 親を説得するのは大変だったが、親父と殴りあった結果、僕の真摯さを認めて通うことを許してくれた。

 僕がへとへとになって家に帰り着くのは、いつも夜九時を過ぎてからだ。

 そのまま泥のように眠り、次の日の朝を向かえ、また、同じ事を繰り返す。

 それはとても辛かったが、逆にそれが誇らしかった。

 それだけの事をできている自分が、また、着実に体ができていく自分が物凄く充実しているように思えた。

 僕が嶋本先生の下でアイロン部として活動するようになって二週間が過ぎた頃、僕はバイクの免許を取得し、先生が昔乗っていたCB400を貸してもらい、エクストリームアイロン部となって初のエクストリームアイロンを実施する事になった。

 誰もいない教室で先生が黒板にバイクと車の絵を書いて説明する。


 「いいか遠藤、今回のエクストリームアイロンは走る車の上にアイロン台を置き、そこにシャツを固定する。そして、バイクで併走するアイロナーがアイロンをかける。この時、気をつけなければならないのがスピードの調整だ。今回は時速四十キロで固定する。時速四十キロで進行すると秒速約一二メートルになる」


先生が黒板の上に数字を並べる。

 僕はその数字を眺めながら答えた。


 「となると、この実施予定地にある五百メートルの直線道路ではアイロンをかけれる時間は四一秒しかない」

 「そうだ、だが、実際には加速や写真撮影も含めるとアイロンを当てられる時間は二十秒あればいい方だと考えた方がいい」

 「しかし、先生、僕がアイロナーを担当するとして車の運転は先生が実施する事になりますよね?そうすると、写真撮影は誰がする事になるんですか?」

 「うむ、非常に頼みづらいのだが……」


 僕と先生の視線がたまたま廊下を通りすがったみかに向けられた。

 僕に教室の中に引きずり込まれ、事情を説明されたみかは驚く。


 「えええ!私がぁ?」

 「大丈夫だ。オートフォーカス式のデジタルカメラだ。横の緑色のランプが点滅したらシャッターを落とせばいい」

 「でもバスケ部で忙しいし」


 なんとか断ろうとするみかに対して僕が食い下がる。


 「みか、お前アイロン部のマネージャーだろう?いつも僕がバスケ部のユニフォーム洗濯してアイロンかけてやってるじゃないか」

「もう辞めます!」


 叫んで、みかが困ったような顔をする。


 「あんたもどうかしてるわよ!何で急にこんな馬鹿な事に夢中になってんの。信じられない。バカじゃん!」

 「馬鹿な事なもんか。みかもやってみればアイロンの素晴らしさに気づく」

 「ほんっとうに信じられない」


 みかは首を左右に振り、必死に断ろうとしたが、僕がしつこく頼み込んだら折れた。


 「……ただ、カメラのシャッターを押すだけだからね」


憮然とするみかを放って置き僕は先生と計画を煮詰める。


 「……先生、シャツは何色のを用意したらいいですか?」

 「一般的には白のシャツが多いが茶色系のカラーシャツの方が実は写真映りはいいんだ。できればカラーシャツの方がいいが、無い場合は白で大丈夫だ」


 僕と先生は再び、細部の調整にまつわる話を再開する。

 そうして、今現状で万端といえる準備をして、初のエクストリームアイロンに望む事になった。


   ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 決行の前の日、僕は和室にあったアイロンを充電にかけるとアイロン台を撫ぜる。

多分、嬉しそうな顔をしていたのだろう。

 それを後ろで見ていた母親が首を傾げる。


 「真一何やってんの。あんた気持ち悪いよ」


 うるさい。構うものか。

 僕はその日の夜、興奮してあまり眠れなかった。

 遠足に向かう前の日のあの期待に膨らむ胸の高鳴りがアイロン台を抱えて眠る僕の胸を締め上げる。

 殆ど一睡もできないまま、僕は朝を迎える事になった。

 だが、しっかりと意識は落ちていたらしい。


 「真一、起きてよ!もうすぐ先生との約束の時間だよ!」


 いつ、眠ってしまったのだろう。

ふと気がつけばみかがパジャマ姿の僕の襟首を掴んでがくがくと揺さぶっている。

 時計を眺めていると既に十一時を回っている。

 冷や水を頭からかけられたように意識が鮮明になり、僕は叫ぶ。


 「やっべぇ!」

 「何やってんの真一!早く着替えて!」


 僕はそこにみかが居るのにも関わらず着替え始める。


 「ばか!私が出てから服脱いでよ!」


 みかは顔を赤らめながら部屋を出る。

 僕はそんなことに構わずジーンズを履くと、この間先生から貰った皮ジャンに袖を通した。

 溜めていたお年玉をはたいて買ったフルフェイスのバイクのヘルメットを二つ持ち、外で待っていたみかに片方を渡す。


「真一!アイロンは?」

 「あ、忘れてた」

 「何やってるのよもぉ!」


 苛立たしいみかの声を聞きながら僕はベッドの下に転がっていたアイロン台を掴む。

 そして、急いで下に下りるとシャツとアイロンを手に右往左往している母親がアイロン台を抱えている僕をみつける。


 「真一、あんたがアイロン台持ってってたの?お父さんのシャツにアイロンかけるからアイロン台返しなさい」


僕は親父のシャツとアイロンを母親の手から奪うと


 「母さんがアイロン持ってたのかよ!今日使うのに昨日充電しといたんだから返せよ!親父のシャツも俺が使うからいいよ!」


 と、はたから聞いていたら訳の分からない日本語を言い残してそのまま家を飛び出した。


 「ちょっと真一、待ちなさい」

 「ごめんなさいおばさん。説明はまた今度です!」


 みかが母親に頭を下げながらもたもたしているのを急かすと僕は家の横に止めていたCB400のエンジンをかける。

 一発で小気味良く吹き上がったエンジンだが、軽くアクセルを開き勢いをつける。

アイロンとシャツを皮ジャンの中に収めると、アイロン台を背負う。

 ヘルメットを被り、後ろにみかが乗ったのを確認すると僕はキャスターを上げてクラッチを繋いだ。

 アクセルを開き、バイクを加速させる。

 みかが僕の背中から腕を回してしがみついてくるが、背中を圧迫するのはアイロン台の硬い感触だ。

 アイロン台がなければ絵になるのだろうが、それが間に挟まっているかぎり、その絵は少し滑稽だ。

 僕はアクセルを開き、ギアを徐々に上げていき先生の待っている約束の場所まで一気に駆け抜けた。

 僕は軽く法定速度を超えて加速する。


 「真一!ちょ、早い早い!」

 「大丈夫だって。これからもっと危ない事するんだから」

 「きゃー!怖い怖い!」


 後ろで悲鳴をあげるが僕はそれに構わずアクセルを入れた。


 「死ぬ死ぬ死ぬ。怖い死ぬ!」


 その悲鳴も、そろそろ風の音で消えそうだった。


   ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 そこはあまり車通りの少ない山道だった。

 なだらかな登りになっている山道は今回の舞台にはうってつけだった。

 車もすくなければ多少対向車線にはみ出しても事故の危険はそれだけ少ない。

 それに、なだらかな登りは多少アクセルワークを間違えても速度を出しすぎる事は無く、速度の調節をするには最適だった。

 山道に設けられた休憩所に先生は居た。

 約束の場所に着いた時、既に先生は既に準備が完了していた。

 真っ黒なスカイラインGTOに頬杖をつきながら僕が来るのを待っていたのだろう。

 僕がつくと先生は軽く手をあげる。

 僕はそれに対して中指と人差し指を立て、敬礼する。

 バイクを車の横に止めると、みかはよろよろとバイクから降りる。


 「真一、帰りは安全運転で帰ろう?でないと命がいくつあっても足りないよぉ」


 情けない声をあげ、みかは地面に座り込む。

 ヘルメットを脱いだみかに嶋本先生はカメラを渡す。


 「使い方はこの間教えたとおりだ。所定のポイントで俺と遠藤が走ってくるのを見て写真を撮ってくれ」

 「どんな写真を撮ればいいんですか?」

 「アイロンとシャツと遠藤が格好よく撮れてればいい」


 えらく端的な説明にみかは不承不承納得しながらよろよろと歩いていく。

 みかが遠く歩いていき、手を振った。

 撮影ポイントに到着したのだ。

 僕と先生はお互いを見合わせると、お互いが頷いた。

 先生が号令をかける。


 「これより!エクストリームアイロンを実施する!」

 「っ了解ッ!」


 鋭い気迫でそれに答える。


 「アイロン台、シャツ用意!」


 先生の号令を受け、僕はアイロン台を先生のスカイラインのルーフの上に固定する。

 ご丁寧にスキーキャリアーを改造したものが取り付けられており、それがアイロン台をがっしりと固定した。

 そして、更にそのキャリアーに親父の茶色のカラーワイシャツを挟み、固定する。


 「アイロン台、シャツ、準備よぉしッ!」

「ヘルメット装着!」

 「ヘルメット装着っ!よぉしッ!」


 僕がヘルメットを装着すると先生は車に乗り込む。


 「エンジン点火ぁッ!」


先生のGTOのエンジンが唸る。


 「エンジン点火ぁッ!準備よぉしッ!」


 僕のCB400がそれに答えた。


 「アイロン、用意ッ!」

 「アイロン、準備よぉしッ!」


僕の手の中でアイロンが静かに僕の手の中で熱を持つ。

ゆらりと熱気がアイロンから滲み出る。

 僕は今にもクラッチを繋ぎ、アクセルを解放したい衝動を必死に抑え、喉の奥から迸りそうな何かを堪えていた。

 先生が僕に向けて拳を突き出し、親指を立てる。

 僕も、親指を立ててにやりと笑った。

 先生がサンバイザーからサングラスを手に取り、それを目に被せると不敵に笑う。


 「行くぞ遠藤……」

「遠藤真一準備よぉしっ!」


 僕はアクセルを豪快に噴かして言葉無く答える。

 そして、先生が咆えた。


 「エクストリィィム………」


 確かにそれは僕の体の中で渦巻き、喉の奥までこみ上げていた。


 「アイロォォォン!」

 「っイヤァァァァァァァァアアアアア!」


 獣じみた咆哮が僕の喉から迸る。

 まずは、先生のGTOが暴力的に加速する。

 タイヤがトルクに耐えられず、発進の際、アスファルトを削り白煙を散らす。

 タイヤが叫び声をあげながらアスファルトを蹴飛ばすとGTOは風を切って飛び出した。

 その後を追う獣のようにCB400が咆える。

 エンジンが獣のような唸り声をあげて咆える。

 次の瞬間、首根っこから後ろに思い切り引き倒されそうな暴力的な加速度が僕の体を引っ張る。

 僕は必死にハンドルを握り、しっかりと股にタンクを挟み台風のような加速度をねじ伏せる。

 先を走るGTOに僕のCB400は間を置かず追いすがった。

 僕はブレーキを踏むことなく、体を左右に振り、バイクを右に、左にと揺さぶる。

 あわせてタイヤが白煙を上げ、グリッド痕をアスファルトに刻みながら咆え叫び、スラロームを描く。

 GTOが所定の速度になった後、僕はバイクをその左横につける。

 微妙なアクセルワークで一定の速度を保つ。

 そして、GTOとCB400があと僅かで触れるところまで接近する。

 僕はあの絶壁で感じた恐怖が背中を駆け抜けるのを感じた。

 僕が次の瞬間、ハンドル操作を誤りGTOと接触したらまず間違いなく僕は無事ではないだろう。

 そして、先生だってその責任を負うだろう。

 前に見たバイク事故の運転手のように膝の骨が肉を裂いて現れる。

 そんな恐怖を目の前に感じながら僕は最高の充実感を得ていた。

 僕は右手に掴んだアイロンをGTOに伸ばした。

先生はちらりとサイドミラーで僕の様子を確認し、親指を立てた。

 僕は口から迸るそれを留める術を知らなかった。


 「エクストリィィィィムアイロォォォォオオン!」


 熱くたぎった鉄の塊をシャツに押し付ける。

 それは茶色のシャツの上で迸り、皺を伸ばす。

 世の中の全ての不条理を消し去れるような凄まじいエネルギーの奔流を押し込んだアイロンがアイロン台の上で、シャツの上で迸る。


「アイロォン、ッイヤァァァアア!」


 僕は叫びながら、駆け抜け、ただその瞬間、自分が生きている証を、皺のなくなったシャツと、余熱の残るアイロンに見出していた。


   ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 次の日、僕が誰も居ない屋上で弁当箱を開いて遅い昼を食べているとそれはやってきた。

隣のクラスの水下学だ。

 水下は屋上のドアを開けて一直線に僕のところに駆け寄ってきた。


 「遠藤!お前、凄い事になってるぞ!」

 「あん?」


 僕は弁当箱の裏についた海苔を箸ではがしながら素っ頓狂な声を上げた。

 水下はずっと興奮したまんまだ。


 「お前、アイロン部って作るんだって?今、中庭でバスケ部の金井と二ノ宮がビラ配ってるぞ?」

 「うっそ!」


 僕は全身の血がさっと引いていくのを感じながら立ち上がる。

 屋上のフェンスに駆け寄り、中庭を見下ろす。

 そこにはグループを作って昼飯を食べている生徒に、片っ端から声をかけながらビラを配っているみかと二ノ宮が居た。

 というより、みかが無理矢理二ノ宮を引きずり回しているように見えた。


 「あいつ……」


 僕は舌打すると中庭に走る。


 「アイロン部でーす!入部希望者募集してますー!」

 「入部希望の方は二年A組の遠藤真一までお願いしますー」


 みかは通りすがる生徒にも片っ端から声をかけて回り、ビラを配っている。その後ろで二ノ宮がぺこぺこと頭を下げて回る。

 僕は二人に近づくと不機嫌な顔を隠そうともしなかった。


 「なにやってんだよ」

 「なにって……部員の勧誘してるんじゃない?マネージャーとして当然でしょ?」

 「バスケ部の正部員だろうお前は」

 「でもアイロン部マネージャーも兼務してるもん。ねえ?遙?」

 「はい!」


二ノ宮が嬉しそうに頷く。

 僕はこめかみの辺りを押さえ、難しい顔をしながら二人が配っているビラを見る。

 そこには一番最初に先生とやった断崖絶壁でアイロンをかけている僕の姿がプリントされており、そこにでっかく「さわやかな青春とシャツをあなたに」とロゴが斜めに入っていた。

 そして、その同じくらいの大きさの字で「金井クリーニング」とあった。写真を撮るのを嫌がった昨日と態度が違う原因はこれか。

 そう、みかの家はクリーニング屋だった。


 「お前、何勝手に人の写真で広告作ってるんだよ」

「商店街のおばちゃんたちには凄い好評だよ。いい男だって」


 みかは悪びれる風もなく、笑うとまた、近くを通りすがった男子生徒に声をかける。


 「あ、すみませーん!」


 僕は頭が痛くなるのを感じながら、これから起こるであろうトラブルを予想した。


   ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 「やっぱり……」


 僕が放課後、ロープや資材の扱い方を練習する空きのプレハブ小屋に行くと、そこには山積みされた運動部の練習着が置いてあった。

 倒れてくればそのまま僕を飲み込むのではないかと思う程積み上げられたそれは、北星学園の生徒の青春の汗を吸って、酸っぱく香っていた。

 せめて洗濯してからこっちに持って来いと言いたくもあったが、みかが配ったビラが悪い。

 これじゃあまるでクリーニング屋じゃないかと僕はうんざりした。

 僕に遅れて入ってきた嶋本先生も苦笑を浮かべた。


 「これじゃクリーニング屋だな。正式に部として認められたらアイロンだけじゃなくて洗濯機も要求しないとな?」


 冗談とも本気ともつかない事を言う。

 僕はため息をつくと、山になった洗濯物を眺める。

 さて、どうしたものか。

 僕が思案に暮れていると、そのプレハブ小屋に誰かが入ってきた。


 「あの、アイロン部の部室ってここでよかったんですか?」

 「うん、ああ?二ノ宮じゃないか」


 そこには二ノ宮が居た。

 いつもみかと一緒に居る二ノ宮が一人で居るのはシチュエーション的には珍しかった。

 だが、僕はそれよりアイロンとアイロン台を抱えているのに気がついた。


 「二ノ宮、それ?」

 「はい!先輩、私、アイロン部に入部します!」

 「はあ?二ノ宮はバスケ部だろう?」

 「いえ、今日バスケ部は正式に退部してきました!私、アイロン部の正部員になります!」


 二ノ宮は口早にそうまくしたてた。

 なんだろう、二ノ宮ってこんな子だったっけ?

 なんか、こう、もっとおとなしい子だと思っていたが、違ったみたいだ。


 「嶋本先生……女子にはちょっと危ないんじゃないですかね……」

 「いいんじゃないか?アイロンかけるのに男も女も関係ないだろう。今男女差別とかでうるさいけど絵的には女の子がアイロンをかけている方が絵にはなるからな?」


 先生はあくまで楽天的だ。

 僕は少々不安になりながらも、認めざるを得なかった。


 「遠藤真一ファンクラブ第一号として、アイロン部に入らない訳にはいかないですから!」

 「はあ!?」


 今度こそ僕は驚いた。


 「知らないんですか?先輩、今一年生の間で人気なんですよ?ホラ、毎朝こっそりランニングしてるじゃないですか?あの姿に憧れる人、多いみたいですよ」


 確かにこっそりランニングはしているが、それを知っている人が居る事に驚いた。


 「ま、私が言いふらしたんですけどね」


 言って二ノ宮が笑う。

 その直後だ。

 部室のドアを開けて水下と、あと一人誰か知らない男子生徒が入ってきた。


 「二ノ宮さん、洗濯機ここでいいのかな?」

 「あ、伊藤先輩、水下先輩。それ、外に置いておいて下さい」


 思い出した。水下と一緒に居る男子生徒は三年A組の伊藤新吉先輩だ。

 確か、校内の学力テストで三年生で一番を取った人だ。新聞部の作った校内新聞「北星タイムス」で見たことがある。

小さな眼鏡が、その丁寧な口調とあいまって爽やかな印象を与える人で、うちのクラスの女子にも人気が高かった筈だ。

 しかし、水下が一緒に居る事も不思議だった。校則で指摘されている茶髪に、ピアスが伊藤先輩と正反対なベクトルに位置する、典型的な不良学生だ。確か、軽音楽部の部屋によく入り浸ってた筈なのだが。


 「水下、お前どうしたんだ?」

 「どうしたもこうしたも、入部するに決まってるだろう。アイロン部でお前だけ女子にモテモテになるなんて間違ってるじゃないか。何でお前のファンクラブが出来てるんだよ」


 どうやら二ノ宮の言うとおり、本当に僕のファンクラブが出来ているみたいだ。

 一体どのくらいの規模のものか気にはなるが、今はそれどころじゃなかった。


 「それで遙ちゃんに入部したいって言ったらとりあえず伊藤っちゃんと一緒に洗濯機運んでくれって言われてよ?」

 「どうも」


 伊藤先輩は人のよさそうな笑みを浮かべて僕に対して頭を下げた。


 「ええっと、伊藤先輩ですよね?」

 「あ、今度アイロン部に入部する事になりました。遠藤部長。よろしくお願いしますね」


 校内一の秀才にそう言われて何かむずがゆく感じたが、それよりも、伊藤先輩も入部する気でいるらしいという事がわかった。

 昼にビラを配って、その放課後にこれだけの人数が集まった。

 部としては好調なのだろうが、みんな、アイロン部が何をするところかわかっているのだろうか?

 二ノ宮はこの間、僕が絶壁でアイロンをかけているのを知っているからいいとして、他の二人は分からない。


 「えっと、水下も伊藤先輩もアイロン部って何するところかわかってる?」

 「あれだろ?クリーニング屋の真似事だろ?男の中にある母性。それが運動部の女子にウケるんだろう?」


 と、水下。


 「アイロンの歴史か何かを勉強する部活ですか?」


 とは伊藤先輩。

 僕は一応、二人に対しアイロン部がするのはクリーニング屋の真似事ではなく、また、アイロンの歴史を調べたりするものでもない事を告げ、そして、エクストリームアイロンについて簡単に説明した。


 「はあ!そんなの聞いてねえよ!ばっかじゃねえの!」

 「それは危ないですねえ」


 水下と伊藤先輩は思ったとおりの驚きを顔に浮かべる。

 水下あたりはもう帰り仕度をしている。


 「そんなアブねえアイロンがけやるなんて遠藤お前馬鹿じゃねえの?俺は抜ける」

 「水下君はやめるんですか?」


 伊藤先輩は残念そうに水下を見る。説明を聞いても伊藤先輩は残る気でいるみたいだ。


 「女の子にモテると思って入ろうと思ったのに説明を聞いたらただの馬鹿じゃねえかよ、やってられっか」


 水下はそう残してプレハブを出て行こうとした。

 その時だ。


 「真一ぃ!遙こっちに来ていない?」


 みかが勢い良く部室に走り込んできて、部室を出ようとした水下と思いっきりぶつかった。


 「……ったぁ」


 額をぶつけて水下は仰向けに倒される。

 骨と骨のぶつかりあう、がつんという大きな音が鳴っていた。

 みかは額を押さえながら涙目になりながら、僕を睨む。


 「真一ぃ!遙に何を吹き込んだの!今日部活に出てみたら遙が退部してアイロン部に入ったって言ってたよ!」

 「僕もびっくりしてるよ」


 当の本人である二ノ宮は僕の後ろに隠れるようにして、みかを見る。


 「あの、金井先輩怒ってます?」

 「なんで私になんの相談も無いのよ!」


 どうやらみかは怒っているようだ。

 そりゃそうだろう、いっつも一緒に居たのだ。落ち着いていなければ、裏切られた感覚もあるだろう。


 「……でも、決めたんです」


 二ノ宮はいつもの二ノ宮らしくおとなしく控えめな、しかし、それでもはっきりとそう言った。

 みかは何かを二ノ宮に言おうと口を開く。

 二ノ宮は肩をすくめ、その形相に怯えるが、しっかりとみかを見つめていた。

 この二人の間に何があるのかはあんまりよくわからないが、みかはそこで何かを二ノ宮に感じたようだ。


 「……わかったわ。納得はいかないけど納得するわよ。ただし、私もマネージャー兼務してるんだから遙に何かあったら、真一!あんた責任取ってもらうからね!」


 みかは僕を睨んでくる。僕は釈然としないものを感じながらも、とりあえずはのろのろと起き上がる水下に手を貸した。


 「水下、大丈夫か?」

 「……ってぇ……金井がマネージャーって本当かよ?」

 「ああ、とりあえずはバスケ部と兼務らしいけど……」


 水下は複雑な顔をする。


 「金井って……二年女子ランキング二位の?俺、もうちょっとアイロン部に居てみよう」


そんなランキングがあるのは初耳だった。

 僕は一抹の不安を感じながら、この面子を見渡す。

 昼の騒動からほんの僅かで集まったこのメンバーが当面のアイロン部のメンバーなのだろう。

 僕が嶋本先生を見ると、先生はテーブルの上に座ったまま満足そうな笑みを向けてきた。


 「頑張れよ。部長」

 「嶋本先生……」


 いつの間にかアイロン部は形となっており、僕はその部長の座にすっぽりと収まってしまっていた。


 「じゃあ、部長、今日はまず、どうしますか?」


 二ノ宮が僕に対し何をするかたずねてきた。

 水下や伊藤先輩、みかが僕が何を言うのか待っていた。

 僕は咳払いすると、とりあえず部室の隅に押しやった洗濯物を指差した。


 「とりあえず、コレ、なんとかしよう。でないと臭くてどうしょうもない」


 青春の汗を吸った、洗濯物の山は酸っぱく黄色い匂いを徐々に部室の中に広げていた。  

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