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愛逢月  作者: はなはな
1/5


「あんたさ、あたしのこと好きでしょ」


唐突な台詞だった。

隣の席になって2時間ちょっと。

そんなことを言ってきた彼女は、名前すらわからない。


「え」


とりあえず手に持っていたシャーペンを落下させ、わからないと言った表情で俺は苦笑いをしてみた。


「ね、あたしわかるんだから」


彼女は短く揃えて切った前髪を横に揺らしながら、無邪気に笑ってそう言った。


「……」


俺はと言うと、笑ったときに右頬にだけできるえくぼになぜか見とれて、押し黙っていた。



「ねえ」


いま、あの時よりも大分綺麗になった隣の彼女に問う。


「俺たちが初めて話したとき、おまえ何て言ったか覚えてる?」


きょとん、とした顔で彼女は俺を見つめた。

そしてふいに、笑顔になる。

いまも変わらない。

彼女は右頬にだけえくぼができる。


「あれね」

「うん?」

「そうであればいいなって思ったの」


それでね、言っちゃった。

彼女は小さく零す。

まるで悪戯をして叱られた子どものように、少しだけ縮こまった。


「そう」


最初から、俺はしっかり彼女に踊らされていたわけか。

なにが嬉しいのか、俺の頬は勝手に緩む。


「ほら、早く」


そんなデレデレな表情をしていたら彼女に急かされた。

そっと手を握る。



「幸せになろうね」



僕らは今日、結婚します。





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