表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

断罪返し

断罪返し

ある意味1話の翻訳

 今から君を断罪しよう。

 もちろん拒否権はない、君は自分がしたことを俺にやり返されるのさ。


 ……何だよ、その顔は。

 どうやら自分の置かれている立場が、まだ理解できていないようだな。

 君のしてしまったことは、俺を殺すことと同義なんだぜ?


 あ? おおげさだって? 貴方の風邪がうつったわけじゃない?

 おいおい、どう考えても俺の風邪がうつってるだろ。

 いいだろう。今日はとことん断罪してやるよ。

 ―――己の罪を、悔い改めろ。


 まずは、お粥の時間だ。

 温かい物を食べて、いっぱい汗を掻こうな。あーんして食べさせてやる。

 おっと、逃げようとしたって無駄だぞ。

 風邪を引いてる時ならいざ知らず、今の俺から逃げようなんざ考えるな。


 ふーっ、ふーっ。ほら、口を開けろ。

 良い子だ。ちゃんと食べれて偉いぞ。君ほど上手に作れないけど、不味くはないだろ?

 君のペースでいいから、よく噛んで食べような。


 ん? もうお腹いっぱいか。

 分かった。じゃあ次の看病に移ろう。


 次は……服を脱がせてしまおうか。

 汗で濡れちゃってるし、着替えた方が良い。

 パジャマを用意しといたから、着替えさせてやるよ。

 ついでに水で濡らしたタオルで君の身体を拭いてあげよう。


 くくっ、顔を真っ赤にしながら睨むなよ。

 そんなに恥ずかしいのか? 可愛いね。でも、自業自得だから止めてあげないぞ。


 さて、着替え終わったな。まるでお姫様みたいだ。

 なんだこの寝間着はって? ああ、君に似合うと思って買ってきた。

 最初はボーダー柄の囚人服みたいなパジャマでお揃いにしようかと思ったけど、その恰好の方が可愛いだろ?

 君は恥ずかしがり屋だから、あんまり可愛い服を着たがらないけど似合ってるよ。計算通りだ。


 それじゃあ次は、熱を測ろうか。

 おでことおでこをくっつけるぞ。


 は? そんなことはしなくていい?

 笑わせんな。君に拒否権は無いって言ったはずだろ。

 病人が看病を拒んだらダメだろうが。

 大人しく看病されてろ。


 よし、38℃といったところか。

 少しは熱も下がったみたいだけど、まだまだ安静にする必要があるな。


 ったく、風邪がうつるから近づくなって忠告したのに風邪ひきやがって。

 君が元気ないと俺も不安になっちまうじゃねえか。

 マジで健康には気を付けろよ。君が死んだら俺も死ぬからな。


 けっ、ようやく事の重大さが分かったかミセス・アウトブレイク。

 そうだよ。君と俺は一蓮托生なんだ。君の不幸は俺の不幸でもあるんだよ。俺を死なせたくないなら、ちゃんと看病されてろ。

 君の罪状は『風邪をひいた俺の看病をして風邪がうつったこと』だ。

 よって君は、風邪が治るまで俺に看病という名の断罪を受ける義務があるわけ。理解したか?


 オーケー。物分かりの良い子は好きだよ。

 そのままベッドで大人しく寝てな。


 あ? もう治ったから大丈夫? 心配かけてごめんなさい?

 ……ハッ、舐めてんのか。そんな誤魔化しが通じると思うなよ。

 どうやらまだ断罪され足りないようだな。

 気が変わった。もっと甘々に愛してやるよ。


 まずは氷嚢で頭を冷やしてあげてっと。

 そんでもって、お布団ポンポンしながら寝かしつけてやる。

 夫に子供みたいな扱いをされる屈辱を浴びながら、ぐっすり眠って養生してろ。

 ついでに寝顔も見守っといてやるよ、俺のカワイイお姫様。

 観念しとけ。君が治るまで、この断罪は終わらねーから。


 それじゃあ、おやすみ。

 どうか、良い夢を。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ