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魔族界へのゲート


 セキハラ草原に戻ると【名もなきジョブ】のメンバーとガーデン兄妹を、礼拝堂に集めてハーモニカを吹いた。


 ♪・・・♪・・・♪。


 心の中でディフラントシン様を呼んでいると、ご神体が輝き本人が姿を現した。


「ジュンイチか、何か用かな?」

 ディフラントシン様の砕け過ぎた態度にマググリ司祭をはじめ、全員が呆気に取られている。 


「魔人ベルゼブブが現れたので、魔族界に行く方法を教えて下さい」


「そうか。人間界と魔族界を繋ぐゲートを開く魔法陣を設置してやろう」


「ありがとうございます」


「ただし、魔族界の大気には魔力が充満しているので、普通の人間なら一日で死ぬぞ」


「そうなのですか」


「聖なる衣を身に着けているジュンイチとその眷属、並びに勇者の鎧を装備したカズラは魔力に対抗出来るので大丈夫だ」


「私達にも魔力に対抗出来る装備を作って頂けませんか?」

 正座して伏していたアマリアさんが顔を上げた。他の仲間も同じように伏せている。


「そんなに死にに行きたいのか?」


「リーダーを一人にするのが心配なのです」


「そうか。四人分の装備を用意しよう」


「ありがとうございます」


「フレッドとジュリアナにはセキハラ草原の管理が任せてあるので、二人分をお願いします」

 二人とも一緒に行きたがったが、守る物が増えすぎたので仕方のない選択だった。


「周りの事にも気配りが出来る余裕が出来てきたか。頼もしいことだ」

 ディフラントシン様が微笑んだように見えた。




「他に何かあるか?」


「魔石分離装置を魔人が使っているようなのですが、魔石分離装置とはどのような物なのでしょうか?」


「魔石分離装置とは、魔石に蓄積された魔力を取り出して別の力を組み込む装置だ」


「魔人はその働きを使って、人工魔石を作ったのでしょうか?」


「人口魔石を作るのに、魔石分離装置は使われていないだろうな。魔力無限発生装置が真に恐ろしいのは、魔石分離装置を使って取り出した魔力を魔石融合装置で組み換えられる事にあるんだ」

 ディフラントシン様の歯切れが悪かった。


「それはどう言う事なのですか?」


「元々魔力発生装置はエネルギーを生み出すだけの装置だったのだが、魔力を組み換える事で無限発生装置になり、組み換えられた魔力は数十倍の威力を持ち、世界を崩壊させかねない物になったんだよ」


「どうして、そのような危険な装置を残しておくのですか?」

 地球で電気を作るのに使われるのが、石炭とウランの違いだと理解して恐怖した。


「それは君には話せないのだよ」

 余程の事情があるのだろう、ディフラントシン様が苦悩する姿を初めてみた。


 魔人が僕を積極的に襲ってこないのは、まだこの事実に気が付いていないのだろうと推測できた。


「最後に魔人ベルゼブブの弱点があれば教えて下さい」


「ないだろうな。奴に勝つためにはドラゴン三兄弟を完全復活させる事だな。これ以上教えられる事はない」


「ありがとうございました」


「ゲートを開く魔法陣は墳墓の転移魔法陣の隣の部屋に設置しておくから、八色の魔力を流せば発動するぞ。大気中の魔力を遮断する装備もそこに置いておく、頑張ってくれ」

 ディフラントシン様は眩しい光と共に姿を消した。


 とんでもない話しを聞かされた皆は、黙って僕を見詰めていた。




 魔族界に行くにあたって緊急会議を開いた。


 僕としては稲刈りが終わってからにしたかったが、聖バレン王国に化け物が現れた事でその余裕がなくなっていた。


 セキハラ草原の留守はフレッド君とジュリアナさんとツバキに任せた。


 エンデルさんも残ってチャレンジ村を指揮する事になった。


 新しく魔法陣が描かれた部屋に革鎧と黒服が置かれていて、アマリアさんとユリナさんにピッタリフィットした。

 何故こんな危険を冒すはめになったのだろう? 仲間と友達を見渡すと、全員が真剣な表情をしている。


「あッ! 聞くのを忘れた」


「急にどうしたの?」


「いや、何でもないよ」

 魔族界に行く行為は自分で死を望んでいる行為なのか、ディフラントシン様に聞くのを忘れていたのを思い出した。


 仲間や友達が増え、いつの頃からか死をあまり意識しなくなっている事に気が付いた。


 ♪~~~♪~~~♪‼。


 人間界とはまったく違う魔族界を想像すると体が震えたが、強くなるための試練と決心してハーモニカを吹き始めた。


 ♪~~~♪~~~♪‼。


 暫くすると目の前の空間に亀裂が広がっていった。


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