短詩四篇『春』『風』『私』『波』
お久しぶりです 水梨イツ.
『春』
人の遠さに春を見る
呼ぶ声のする方へ
呼ばれた誰かが駆けていく
あるいは誰もが死にはせず
ただ熱心に消えるのみ
『風』
冷たい水が、湧き上がって(こみ上がって)
雲、高く上げる、熱い、風ね。
『私』
ここにはないよ。
おなじ呼吸/言語、と言って
どうしてないの。
あなたは世界じゃないからよ
『波』
机の引き出しを水で満たして
おもちゃのボートを浮かべた
──溢さぬようゆっくりと閉める
あとはその天板に突っ伏して
潮騒を思ってうたた寝をする
カーディガンを買いました