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アマリアを説き伏せ、自分の仕事が終わる時間まで待つように伝えた。
子供は、たまたま今日休みだった、文官の友達が面倒を見てくれているそうだ。
寮に入るつもりでいたそうなので、仕事中は寮母さんに面倒を見てもらうつもりだったらしい。
アマリアは、待ってる間に隊服を貰いに行くそうだ。
「じゃあ俺は仕事に戻る、3時には合流出来るはずだ。もし、10分たっても門に来なかったらカフェにでも入って待っといてくれ。」
「…ええ、ありがとう」
アマリアと別れ、自分の受け持つ部隊の訓練場へと向かう。
「ダドリー中将!」
「おう、」
「訓練場ですか?ご一緒します!!」
途中で、5人の新人のグループに見つかり、一緒に訓練場に行くことになった。
中将の中で、どうやら、平民上がりの俺は分かりやすい目標でもあり、話しかけやすいらしい。
1年前の戦で階級2つ飛ばしで中将になってからというもの、今までにない暑苦しい尊敬の眼差しが少しうっとおしい。
「だ、ダドリー中将質問よろしいですか!?」
「ん?あぁ、なんだ」
「ありがとうございます!」
「あ、俺もしてよろしいですか!?」
後輩どもが可愛くない訳じゃない。
むしろ好意を隠しもせずに慕ってくるのだ、微笑ましい気持ちでもある。
しかし訓練場まで、10分は歩かねばならない。
それは勘弁願いたい。
「一人一つな〜」
「はい!ダドリー中将は…__」
「えっと!えー」
「おいあとお前だけだぞ!」
「早く聞けよ!」
一人一つと伝えてから1人だけ質問が決まらないやつを他の4人がせっつく。
「だって聞きたいこと沢山あるんだよ!」
「早くしろって!」
「おーおー、もう訓練場着くぞ〜質問締め切るぞ〜」
「ああ!!あの!噂なんですけど、ダドリー中将の同期にダドリー中将より早く少佐になった鬼みたいな奴がいるって聞いたんですけど本当でふか!!?」
「何でそれにしたんだよ!?」
あぁ、未だにそんな噂残ってんのか。
「誰から聞いたんだ?」
俺らは、あいつが貴族の世界に飛び込んでいく時、事実は消えないが、血腥い過去が少しでも早く周りから忘れられるようにあいつの武勇伝は仲間内でしか話さないように決めた。
「軍学校の教諭です!授業中にちらっとダドリー中将より早く少佐になったって!」
「俺も聞いたことあります!1年で少佐になったって!」
「軍学校首席?で1年目の演習で少将ボコボコしたんですよね」
あながち全部間違いではない。
「んー、まぁだいたい全部合ってるな。ただ、名誉のために名前は言わんがその少将っつーのは今の階級で実際そん時はまだ少尉だったぞ。」
「え、ええー!!!!!」
「ホントですか!?」
「あの!マルダ少将って噂もあったんですけど流石にあの人ボコボコにするとか無理ですよね!?」
「違うやつだろ絶対!」
マルダ少将は2m越えの巨漢だ。
俺でも単純な力比べは厳しいものがある。
もう、あいつの武勇伝を隠さなくてもいい事に、嬉しいと感じる。
だが、俺らが守ってきた秘密、こんなペーペーの新人共が知るにはまだ早い。
もう少し黙っておこう。
帰ってきたんだ。俺らの誇りはすぐにまた伝説を作るかもしれない。
俺の口角は自然と上がって、
「さぁな」
「えっ!」
「」
訓練場に着いて別れた新人5人
「か、かっこいい…!!!」
「ダドリー中将みたいになりたい」
「あれ、結局その鬼の人今どうなってんだ」
「そんな鬼の人を抜かして最年少で中将になったダドリー中将すごいな」
「ダドリー中将の同期って誰だっけ」
一応調べて書いたりしてるけど、なんちゃって軍( ´・ω・`)