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やったー!!!!!!
見切り発進じゃい!!!!!
……うっ…
男に混じって、煙草を吸っていた彼女が
堅物なアイツの些細な一言で煙草をやめた。
あーあー、らしくない恋なんかしちゃって。
そんな風に思ったが特に彼女を止めることをしなかった。
アイツの周りをうろつくようになった君は、
男と見紛う短髪を少しづつ伸ばし始めた。
挙動も心なしか、女っぽくなっていった。
椅子の上に膝を立てて座ることはしなくなったし、
常に死んだような先を見据えていた目は、
アイツを見つめる時だけ、キラキラと光った。
一番仲の良かった俺や、同じ部隊の奴らとも
一緒に過ごすことが少なくなった。
俺たちは寂しさも感じたけれど、
彼女の幸せを皆、静かに祈った。
俺たちといた時とは違う、平和な街のただの娘みたいに、花のような笑顔も増えた。
幸せに、
幸せにおなりよ。
なにも知らない少女みたいに
アイツの腕に抱かれ
戦など、血生臭いものなど、
全て忘れてしまえばいい
なにも知らない少女みたいに
どうか幸せに