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番匠一代記  作者: まさき
序章
7/38

魔物到来5

「ありがとうございました。あなた様がいらっしゃらなければ我々はみな命を落としていました。本当にありがとうございました」


熊吾郎と菊は立ち上がり刀の男に深々と頭をさげ、礼をのべる。


「いやいや、とんでもない。困ったときはお互い様ですよ。それにしても魔物をあんな木っ端で叩きつけるのには恐れ入りました」

「力だけが取り柄でして。あっあの、お名前をお聞きしても?」

「左甚五郎と申します」

「左・・・甚五郎!あの伝説の大工のっ!」

「ええ、まぁ。伝説とはまた大仰な・・・」


甚五郎は苦笑しつつ答えた。


「私も大工をしてるんです。お会いできて光栄です」

「ほう、そうですか。あなたも大工を」

「はい。まぁこんな小さな村の一人しかいない大工ですから甚五郎様の前で大工なんて名乗るのも恥ずかしいぐらいですが」

「様なんてつけなくてもいいですから。村に大工が一人ですか」


甚五郎は周りを見渡しながら答える。


「それではこのあたりの建物は皆あなたが?」

「へへっ。そうですよ。建前の時だけ手伝いをもらってあとはコツコツやってるんですよ」

「ほぉ・・・」


甚五郎は建物を舐めるように見ていく。


「そんな見ないでくださいよ。恥ずかしいじゃないですか。甚五郎様・・・じゃなかった、甚五郎さんの眼鏡にかなうものなんかありゃしませんよ」

「いやいやご謙遜を。立派なつくりをしているじゃありませんか。少々粗削りなところもあるが木のクセを見極めて・・・よい木組みですよ」


甚五郎が真剣な面持ちで建物を褒めていくと熊吾郎は恐縮したように頭をかきながら縮こまってしまった。


「あのぅ、こんなところでは立ち話もなんですからお社までお越しいただけませんか」


今まで黙っていた神主が話を切り出す。


「ああっ、失礼しました。興奮しちゃってすみません。甚五郎さんお社へ行きましょう。あなたはこの村の恩人だ。村長にも挨拶させないと」


甚五郎の手をひきお社へとまくしたてる。


「いやそんな、私はこれで」


手をふりほどこうとする。


「なにをおっしゃるうさぎさんですよ。ささっ早く行きましょう」

「は、はぁ」


熊吾郎の熱意に勝てず、引きずられるようにお社へ連れていかれてしまった。


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