1:寂しさはお弁当に伝わる
始まりは私の退屈で、寂しい放課後を埋めるためだった。
お母さんはもともと体が弱く、私が産まれて間もなく亡くなってしまった。
だから、小さなころから母親というものを知らず
お父さんにずーっとくっついて育ってきた私ですが、
ファザコンにはなっておりません。
あ、ファザコンにならない程度にお父さんは好きですよ?
そんなお父さんはやっぱり男手一つで私を育てるのも大変なんだろう。
小学校の高学年にあがる頃に、お父さんも仕事を増やすべく
私はもともとお父さんと住んでいた家をでておばあちゃんに引き取られた。
あの頃はやっぱり高学年で何気に反抗期。
おばあちゃんに愚痴をこぼしたり、一人寂しく泣いていたっけ。
お父さんに会える日はどんなに嬉しかったことか。
中学になれば、私は周りの友達関係や勉強に必死。
お父さんも海外への出張で忙しいらしく、会うことが珍しかったくらい。
それでもお父さんは海外から、きれいな景色の絵はがきを
私に送ってなんでも応援してくれていた。
おばあちゃんも私を気にかけていてくれたので、
無事に高校生に入学することもできたのだ。
そして、高校生になる前に私はお父さんと
もともと住んでいた家に帰ることにしたのだ。
今思えばなんでまた唐突に…ってすっごい思うけどね。
高校生になったってまだ私は子供なのに、
もう自立しなきゃ!とかもう大人だから!みたいな考えをして
強がっていたかったのだと思う。
だって、結局は心の中では寂しいって思っているんだから。
最初のうちはおばあちゃんが遠い所からわざわざ手伝いに来てくれたり、
お父さんは仕事が忙しいのに、ちょいちょい面倒見に来たり
メールが毎日送られてきたり。
「もう、心配性だなぁ。私、全然平気だよ!何でもできるから!」
なんて、あの頃は口癖みたいに言って何でもできるように装った。
洗濯や掃除は何とかできるようになったけれど、
料理がどうしてもできなかったのである。
私の料理、美味しくない…
と、いうか料理するのも面倒だったから
ほとんど手抜きであったので自業自得である←
だから、コンビニは私の生活上最も必要な場所になったのは
言うまでもなく。
最初のうちはコンビニって便利だなぁ~なんて思って
平然としていたけれど、こんな生活を続けているとふと思ったのだ。
「なんで、うちにはお母さんがいないの…?」
なんてついつい口に出してしまいながら、買ったお弁当が
温まるのをじっと見つめながら待った。
なんだかどこか冷たくなっていく気がして
いつの間にか目には涙がいっぱい溜まっていった。
温まったお弁当はなんでか、冷たくて美味しくなかった。